【ライヴレポート】L'Arc-en-Ciel、<30th L'Anniversary TOUR>東京公演で「これはみんなが作ってくれた未来」

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2021年9月より、30周年アニバーサリーツアー<30th L'Anniversary TOUR>を開催していたL'Arc-en-Cielが12月22日、23日、25日、26日、東京 国立代々木競技場第一体育館4Daysで全19公演の<ラニバ>ツアーを締めくくった。東京公演はクリスマスシーズンに重なったこともあって、会場敷地内に<LIVE 2018 L'ArChristmas>同様、クリスマススペシャルツリーが登場。セットリストに「Hurry Xmas」が加えられるなど、ツアーの最終章を盛り上げた。

◆L'Arc-en-Ciel 画像 / 動画

L'Arc-en-Cielと国立代々木競技場第一体育館といえば、2003年に7日間にわたるライヴを開催した<Shibuya Seven days 2003>をはじめ、ファンとともに記憶に残る様々な伝説を築き上げてきた思い出の地でもある。2020年に新型コロナウィルスの影響で、横浜公演と東京公演が余儀なく中止となってしまった<ARENA TOUR MMXX>、その最終公演を予定していたのも同会場だった。今回のライヴMCでも「リベンジ」という言葉がメンバーの口から発せられていたが、国立代々木競技場第一体育館でツアーを締めくくることへの想いはとても強かったであろうことが想像に難くない。だからこそ<30th L'Anniversary TOUR>はアニバーサリーの祝祭感を保ちつつも、この状況下にアリーナクラスの巨大ライヴでファンと思いを共有し合うという課題に向き合ってきたはずだ。コロナに負けないライヴエンタテインメントを作るという想い、そしてリベンジ。その最終形態をL'Arc-en-Cielは圧倒的なステージングで見せつけた。客席から歓声が出せないという制限など完全に忘れさせてくれるほどの最高の一体感を築き上げた。国立代々木競技場第一体育館4Daysから、12月23日公演のレポートをお届けしたい。

「センターステージ、クセになりますね。みんなが近いから。これでいろいろ考えていくと面白いかもね」──ライヴの終盤、hyde (Vo)はファンに向かって笑顔を浮かべてそうつぶやいた。その表情はまるで勝者の笑顔のように未来へ輝いていた──





場内に入ると、ステージがアリーナのド真ん中に位置し、そこから四方に向かってランウェイが設置されている。アリーナクラスの会場でも多くのファンが至近距離でライヴを楽しむことのできる360度型の円形センターステージは<ARENA TOUR MMXX>も同様。また、鳴り物アイテムの持ち込みは<30th L'Anniversary Starting Live “L'APPY BIRTHDAY!”>以降、可能となっている。そして、観客のほとんどがオフィシャルグッズの“バットマラカスライト”を持ち、ライヴ中、演奏に合わせて音と光で場内を盛り上げ続けた。360度であるがゆえ、客席も目前に広がる光の景色を楽しめるという相乗効果もあった。

開演時刻の18時00分に客電が落ち、オープニング映像が流れた。早速バットマラカスライトが本領発揮するかのように、真っ白い氷の壁がステージを囲んだ。オープニング映像の中では男が頭を激しく氷壁にぶつけ、氷を突き破るとその奥にメンバーが構えていて、ライヴは「get out from the shell」で幕開け。観客が振るライトがここで一斉に赤になり、緊張感の高い同楽曲のスリリングでサスペンスな空気作りに一役買った。そこから曲は「Caress of Venus」へ。2曲目にこの曲をもってきてレインボーカラーのレーザーを走らせ、会場の空気を華やかに一変させるのはL'Arc-en-Cielの定番であり、そんな演出をきちんと楽しめるのも<ラニバ>ならでは。

「ラニバへようこそ! L'Arc-en-Cielです」と挨拶をしたhydeは、「去年は予定されていた代々木でのライヴが出来ませんでしたが」と語りかけ「声が出せない分、今日はいろんな楽器を使って楽しんでください」と客席に伝えた。


そして1996年発表の切なさとポップさを併せ持つ「the Fourth Avenue Café」へ。ここでは狙いすましたかのようにhydeが横顔をカメラに近づけ、“横顔でも素敵だったから”と歌う。アリーナクラスの会場は場内に映し出されるLEDビジョンをどれだけ有効に使うかで、その盛り上がりが変わってくる。hydeはカメラ使いのスペシャリストだ。

ken(G)のメインギターのボディカラーも含め、眩しいほど真っ白な空間に場内が包まれたなかでの「winter fall」、「flower」では円形ステージの外周部分が回転し、そこに乗ってステージ外周を移動したhydeとtetsuya(B)。そしてふたりは同曲2番の“歩いてた僕は きっと君を探してたんだね”という歌詞部分で出会い、肩を寄せ合う仕草を見せるというドラマティックな場面も。tetsuyaがhydeを見つけた──そこから始まったL'Arc-en-Cielのヒストリーを知ってるファンには、たまらない場面だったに違いない。ライヴ前半から大ヒット曲の連打で、瞬く間に場内を熱狂させたあと、hydeがこう語った。

「三十路になりました、L'Arc-en-Ciel。今宵も大人っぽく」──hyde


このMCに続けて妖艶な打ち込みサウンドが響いた「X X X」から、ダークで妖艶なアクトへ変貌。hydeはカメラを狙いすまして色っぽいウインクを飛ばし、LEDビジョンから客席を悩殺。幾つもの円盤形照明が舞台を取り囲み、それが上下に動いて蝶のように舞う同曲では、ヴォーカルに絡みつくtetsuyaのコーラスも艶めきを増す。そして、ステージ上方のLEDビジョンに針葉樹の森が映し出されると「fate」へ。淡々としたリズムながら、しかし徐々に高揚感を高める同曲のバンドサウンドのテンション感が素晴らしい。

LEDビジョンの映像がサイバーパンクなイラストに変わり、インダストリアルなギターリフが場内に流れると、yukihiro (Dr)のシャッフルビートにのせて「REVELATION」が始まった。すると、hydeとtetsuyaを乗せた円形ステージの外周部分がものすごいスピードで回転し出す。気づけば、kenとyukihiroを乗せたステージ中央も外周部分とは反対回転をしていた。<ラニバ>はステージ自体が回転することによって、舞台正面が東西南北に移り変わり、観客が4人を360度から見られるところも大きな特徴だ。そして、柔らかで小気味よいアンサンブルが印象的な「NEO UNIVERSE」へ。tetsuyaの6弦ベースソロや、kenのe-bowによる伸びやかなギターサウンド、スネアを最後の一打まで使用しないyukihiroのビートが一体となり、天空まで羽ばたいていけるような空気が描かれた。


シンセサウンドを駆使した不穏なイントロから始まる「DRINK IT DOWN」はダークでゴシック。ここからは退廃的なL'Arc-en-Cielが本領を発揮していく。正確無比なyukihiroのドラムプレイに煽られるように暗然たる世界へ落ちていくと、そこから静かに「花葬」へ。ステージ上に何本も出現したトーチが燃え上がり、フードをかぶって歌うhydeのヴォーカルが会場に張り詰めた緊張感を呼び込んだ。歌が終わっても、そのテンションが途切れない場内に雨音が広がると、「EVERLASTING」の映画的なドラマが深い闇へ飲み込んでいく。打ち込みに寄り添うyukihiroのドラム、kenとtetsuyaが弾くギター、hydeのヴォーカルといったシンプルな演奏が、美しくも虚無的な世界観をより際立たせた。観客は息をするのも忘れて立ち尽くした状態で、そのパフォーマンスに酔いしれた。

「EVERLASTING」の余韻に包まれた静寂を少しずつ解きほぐしていったのは、kenが奏でるギターインプロビゼーションだ。深い闇に光を当てるように響くギターの音色が、「MY HEART DRAWS A DREAM」の主題となるギターフレーズを奏でた瞬間の感動たるや。それに同調してLEDビジョンには雨上がりの壮大な青空が広がり、観客の視界を並々ならぬ開放感で満たし、一気に幸福感のピークへと導いていく。yukihiroが最小限の音量でリズムをキープするなか、シンギングパートでは観客がハミングするシーンも加わり、メンバーを笑顔にしていった。


tetsuyaの「お元気〜?」という挨拶を合図にMCへ。そしてtetsuyaの指示で客席がクリスマスカラーの緑と赤のライトを灯したところで、季節感たっぷりの楽曲「Hurry Xmas」だ。ステージ下のスクリーンには同曲シングルジャケットのトナカイをフィーチャーしたクリスマス仕様のファンタジックなイラストムービーが映し出され、この季節だからこそ披露されたのであろう楽曲と映像のプレゼントに観客はバットマラカスライトやクラップを鳴らして、1日早いクリスマスをL'Arc-en-Cielとともに楽しんだ。

「東京! Are you ready?」──hyde

エンジン音が鳴り響く中でhydeがこう叫び、スタートしたのは「Driver’s High」。疾走感たっぷりのサウンドに合わせてhydeとtetsuyaが勢いよく花道に駆け出し、怒涛のライヴ終盤戦へ向けて導火線に火を点けた。その勢いのまま演奏された「HONEY」のスパーク感には凄まじいものがあった。また、同曲エンディングから次の曲へ繋げるべく、yukihiroがビートを途切れさせない。


「声を出せなくても、愛情示せるでしょ? ジャンプして!」というhydeの言葉が合図となり「READY STEADY GO」へ。“ここで立ち止まるような時間はないさ”という歌詞と同調するようにステージ外周が高速回転を始め、足を大きく広げてギターを弾き倒すken、固定カメラに向かってhydeと掛け合いコーラスを歌ったtetsuya、どこまでもエモーショナルなhydeが客席と至近距離で向かい合った。3人がステージから去ったあともドラムを叩きまくったのはyukihiroだ。レーザービームが飛び交うなかで2バスの連打を基調に激しくタイコとシンバルを打ち鳴らし、「READY STEADY GO」を1人でフィニッシュさせた。そしてステージを下りるyukihiroに観客が精一杯の拍手を贈った。

インターバルを挟んで、LEDビジョンに映像が映し出された。マスク姿の女の子がL'Arc-en-Cielの始まりの場所となったライヴハウス“大阪 難波ロケッツ”の跡地を巡るという内容が30年の歴史を物語る。そして再びステージにスタンバイした4人が演奏を始めたのは、2021年にリリースされたミドルチューン「ミライ」だ。観客がスマホのライトを点灯して左右にゆっくりと振り、“夜空へと向かい炎の矢を放て”とhydeが歌った直後、ステージに美しい虹がかかる演出が感動的なワンシーンとなった。



「美しいライト、ありがとうございました。ありがとう、とても綺麗でした。次の新曲「FOREVER」は、ただでは聴かせられない法律がありまして」と、ウェーブが場内を一周しなければならないミッションを成功させないと楽曲がスタートしないことを告げる。「綺麗なウェーブとジャンプが成立したら、自動的にL'Arc-en-Cielが演奏を始めます」と宣言。さっそくhydeの合図でミッションがスタート、客席をウェーブが一周した。ところが、メンバーは立ったままの状態で微動だにせず、演奏が始まらない。再チャレンジでウェーブもジャンプも美しくきまり、「FOREVER」へ。疾走感溢れる曲調に会場が一気に煌めく。2021年にリリースされた「ミライ」「FOREVER」といった新曲の連投に現在のL'Arc-en-Cielが浮き彫りになる。

そして、hydeがホイッスルを指先でくるくる回すと「Blurry Eyes」、さらにステージ外周が高速回転した「GOOD LUCK MY WAY」といったポップなロックチューンが畳み掛けられると場内があっという間に興奮のるつぼとなった。

「ありがとうね。声が聴こえなくてもマスクをしてても、気持ちは伝わりますね。30年もライヴをやらせてくれて、みんなもこうして喜んでくれる。こんな嬉しいことはないです。これは、みんなが作ってくれた未来だと思ってます。コロナが大変な時期、僕らはみんなにこうして会えただけでラッキーです。センターステージはクセになりますね。これでいろいろ考えていくと面白いかもね。ツアーもあと2本。無事完走できそうな感じがしております。次に会えるまで、元気でいてください」──hyde


最後のMCでhydeがこう語るとミラーボールが輝き出し、壮大なバラード「あなた」へ。そのサビでは観客がハミングで合唱を届け、メンバーはその声に聴き入る。そのエンディングでは光り輝く銀の紙吹雪が舞台上から降り注ぎ、多幸感に包まれたなかでライヴは終了。ギターを置いたkenがステージを去り、ドラム台から立ち上がったyukihiroは全方位に丁寧にお辞儀。微笑みを浮かべながら手を降ってステージをあとにした。tetsuyaは自撮り棒を片手に、ステージ上からインスタライヴで生配信。tetsuyaとハイタッチを交わしたhydeが舞台から姿を消すと、ステージに残ったtetsuyaは「ありがとー! まった明後日ねー!」と手を振り、国立代々木競技場第一体育館の2日目が終演した。

L'Arc-en-Cielが<ラニバ>で見せた、今の時代を生き抜くためのライヴエンタテインメントの在り方とは、コロナ禍と向き合って勝ち取った音楽の未来だと言い換えることができるだろう。多くのアーティストや音楽ファンに見てもらいたい素晴らしいライヴだった。

撮影◎岡田貴之/石川浩章 (2021年12月23日@国立代々木競技場第一体育館)

■<30th L'Anniversary TOUR>2021年12月23日(木)@国立代々木競技場第一体育館 SETLIST

01. get out from the shell
02. Caress of Venus
03. the Fourth Avenue Café
04. winter fall
05. flower
06. X X X
07. fate
08. REVELATION
09. NEO UNIVERSE
10. DRINK IT DOWN
11. 花葬
12. EVERLASTING
13. MY HEART DRAWS A DREAM
14. Hurry Xmas
15. Driver's High
16. HONEY
17. READY STEADY GO
18. ミライ
19. FOREVER
20. Blurry Eyes
21. GOOD LUCK MY WAY
22. あなた



■<30th L'Anniversary LIVE>

2022年5月21日(土) 東京ドーム
open15:30 / start18:00
2022年5月22日(日) 東京ドーム
open14:30 / start17:00
※open / start時間は状況により変更になる可能性がございます

▼チケット
・全席指定 W会員シート ¥22,000 (tax in) ※SS席メモリアルグッズ付
・全席指定 SS席 ¥22,000 (tax in) ※SS席メモリアルグッズ付
・全席指定 S席 ¥16,500 (tax in) ※S席メモリアルグッズ付
・全席指定 A席 ¥11,000 (tax in)
【「W会員」チケット最速1次先行受付 (抽選)】
2022年1月07日(金)17:00~1月11日(火)17:00
※チケットボードにて抽選受付(電子チケット発券)
【2次受付 (抽選)】
2022年1月14日(金)12:00~1月17日(月)17:00
※チケットボードにて抽選受付(電子チケット発券)
【3次受付 (抽選)】
2022年1月14日(金)12:00~1月17日(月)17:00
※チケットボードにて抽選受付(電子チケット発券)
【ticket board会員 (抽選)】
2022年1月21日(金)12:00~1月24日(月)23:59
※チケットボードにて抽選受付(電子チケット発券)
※今回のチケットはチケットボードのみで発売となり、各プレイガイドでの発売は一切ございません
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999

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