【ライブレポート】パワフルでダンサブル、そしてハッピーな歌姫、Beverly
Beverlyが12月14日、マイナビBLITZ赤坂で<Beverly 1st JOURNEY「AWESOME」>の追加公演を終えた。
◆ライブ画像
ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』主題歌「I need your love」や『仮面ライダービルド』主題歌「Be The One」のヒットをはじめ、アリアナ・グランデの来日公演のサポート・アクトを務めるなど、飛躍の2017年を締めくくる晴れ舞台だ。一階席の熱烈なファンはもちろん、2階席を埋めた関係者の多さが目を引く。日本でのアルバムデビューから半年、彼女への注目度がぐんぐん上がっていることが、ここに座っているだけで肌で感じられる。
オープニングは「Tell Me Baby」。ファーストアルバム『AWESOME』の1曲目を飾るパワフルなR&Bチューンを、とてつもない声量と圧巻のハイトーンで歌う。噂通り、いや噂以上にナマで聴く彼女の声は素晴らしい。ドラムにパーカッション、2台のキーボードにコーラスも加えたバンドのゴージャスな音圧に拮抗している。続けてファンク色の濃い「Too Much」へ、そして早くも「I need your love」を繰り出して一気に畳みかける。R&B、ファンクにさらにロックを加えたような、洋楽とJ-POPとのハイブリッド。セクシーなシルエットの白い衣装に銀の厚底ヒール、ポニーテールに束ねた髪、そして輝くようなキュートな笑顔で、マイクを持たない右手を「届け!」とばかりに客席に伸ばす。全身を使った元気いっぱいのパフォーマンスだ。
「特別な1年を締めくくるワンマン・ライブ、特別な夜をみなさんと過ごせることが本当にうれしいです」
彼女がフィリピンから日本に拠点を移したのは2016年のことだが、わずか1年ちょっとでしっかりとした言葉を話す。勘の良さに加えて努力家なのだろう。『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』挿入歌「Empty」のように切々たる感情の機微が必要な曲も、日本語の表現力はばっちりだ。「Dance in the Rain」から「Nowhere to go…」へ、AOR風のアダルトなグルーヴもダークなロック調も、どんな曲調も揺るぎない歌唱力で歌いきってみせる。
アリアナのサポート・アクト、a-nationでのパフォーマンス、そしてASEAN設立50周年記念晩餐会でのパフォーマンスなど、今年の想い出を振り返りながら、「支えてくれたみなさんに大きなTHANK YOUを送ります」とひとこと。さらに「来年は私の日本語がもっとうまくなりますように(笑)」と付け加える、お茶目なMCがかわいい。曲はドラマチックなロックバラード「Future」からJ-POPの成分多めのスローチューン「今もあなたが...」、そしてダークで緊張感あふれる「Unchain My Heart」へ。スロー&ミドルテンポの重厚な曲を歌う時のBeverlyは、ドキッとするほど大人びた色気のある表情を垣間見せてくれる。
「フィリピンに比べて日本の冬は寒いけど、でも大丈夫。ホッカイロも電気ブランケットも、ヒートテックもあるから。鬼に金棒です!」
そんなゆるふわトークがいつの間にか脱線し、バンマスを務めるギターの和田健一郎と、ブロークンすぎる日本語と英語の掛け合いで盛り上げるシーンに観客は大笑い。Beverly、バラエティ番組の才能ありますよ。テレビ局のみなさんよろしく。というわけで、テレビでおなじみ『仮面ライダービルド』主題歌、小室哲哉と浅倉大介のユニット・PANDORAにBeverlyが参加した強力なダンスロック・チューン「Be The One」で華々しく後半がスタート。二人のことを“J-POPレジェンド”と紹介する、J-POPへの愛を感じる言葉がうれしい。さらに切ないピアノバラード「Just once again」、ダンサブルな「Never Ever」と、アルバム『AWESOME』からの曲を立て続けに。右手を激しく動かしながら歌う、Beverlyの歌はパワフルな上にとてもエモーショナルだ。
アパマンショップCMソングになった新曲「All I Want」では、ミラーボールがぐるぐる回り、ダンス・クラシック風の曲調に合わせて得意のハイトーンがどこまでも高く伸びてゆく。続くオールディーズ調の「Mama Said」もそうだが、Beverlyの声は機能的なダンスミュージックよりも、人間くさいあたたかみのあるソウルやR&B成分が多い曲のほうがきっとよく似合う。パワフル、ダンサブル、そしてハッピー。本編ラストに歌われた「Sing My Soul」でも、ゴスペル風のコール&レスポンスを織り込んだ、力強いソウルフルな歌がたっぷりと聴けた。ここまで15曲、パワー全開で歌いきって声量も表現力もまったく落ちない。なんてすごいシンガーだろう。
アンコールではツアーグッズのTシャツに着替えたBeverlyが、2017年を代表する世界的ヒット・チューン「Despacito」を、哀愁のスパニッシュ・ムードたっぷりに歌い、続いてオールディーズ・ポップ風の「Xmas With You」を元気よく華やかに歌う。さらにディズニー映画『ライオン・キング』主題歌として知られる「Can You Feel The Love Tonight」へ。強い説得力を持つ彼女の歌は、映画やドラマの主題歌などストーリー性のある楽曲との相性が特に良いようだ。「今日は50曲用意しました。1時まで大丈夫です(笑)」と、かわいらしいジョークも冴えている。クラシカルなディスコ・チューン「Do That!」では、フロアを巻き込んだコール&レスポンスでもうひと盛り上がり。アウトロでバンドを煽り、最後は自らジャンプで曲を終わらせる。何をやってもキュートなBeverlyだ。
「来年も素晴らしい年になりますように。祈りを込めて歌います」
いよいよ、本当のラスト・ソング。「英語でしゃべっていいですか?」と断ってから話した長いスピーチの内容はわからなかったが、家族へ感謝を伝えたことは聞き取れた。たぶんBeverlyの家族だろう、2階席のどこかでうれしそうな笑い声が聞こえる。そして歌い出した「Amazing Grace」の、真心のこもった素晴らしい歌を、何と表現すればいいか。SPIRITUALよりもSACREDと言った方が近い、祝福の歌声。Beverlyは技巧で歌うのではなく、魂で歌うシンガーであることがよくわかる。
歌い終えて笑顔で手を振るBeverlyに、会場いっぱいのあたたかい拍手が贈られる。まだ彼女をよく知らない人であるほど、この日のライブは心に残ったはずだ。2018年、彼女はどこまで大きく羽ばたいてくれるのか。その祝福の歌声を、より広く遠い世界まで響かせてほしいと願う。
取材・文◎宮本英夫
写真◎田中聖太郎
セットリスト
2.Too Much
3.I need your love
4.Empty
5.Dance in the Rain
6.Nowhere to go...
7.Future
8.今もあなたが...
9.Unchain My Heart
10.Be The One
11.Just once again
12.Never Ever
13.All I Want
14.Mama Said
15.Sing My Soul
en.
1.Despacito
2.Xmas With You
3.Can You Feel The Love Tonight
4.Do that
5.Amazing Grace
配信限定シングル「Xmas with you」
▼レコチョク
http://recochoku.com/a0/beverly_xmasWithYou/
【レコチョク限定ダウンロード特典】
「Beverly クリスマスメッセージ付き 壁紙」をプレゼント(2017年12月25日23:59までの限定特典)
▼iTunes
https://itunes.apple.com/jp/album/id1319131200?app=itunes&ls=1
▼Spotify
http://open.spotify.com/album/30iZpZ9nTFdd73O2pv7lSe
▼AWA
https://s.awa.fm/track/0d42e0926ea604691d13
◆Beverly オフィシャルサイト
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