パンクからキャラソン・アニソンまで、SONARを駆使するパフォーマー&コンポーザー、エンドウ.(GEEKS)の曲作りの秘密を聞く vol.1
ハードなギターサウンドを核に多彩なキーボードサウンドを加え、時にはQUEENを思わせるコーラスワークまで聴かせるバンドGEEKS。4月には福山雅治主演の月9ドラマ『ラヴソング』にパンクバンド役で出演、その姿を見た人も多いはず。ドラマ内では赤のモヒカンヘアで登場、ギターとボーカルを担当していたのがGEEKSのフロントマンのエンドウ.だ。GEEKSではほとんどの楽曲の作詞・作曲を手がけるほか、他アーティストへの楽曲提供も多数。ももいろクローバーZほか佐藤聡美、イヤホンズなど声優・アニメ関連の作品も数多く手がけている。また、TBSで現在放送中のTVアニメ『坂本ですが?』のオープニングテーマ『COOLEST』(カスタマイZ)もエンドウ.の作詞・作曲・編曲によるものだ。
◆エンドウ.(GEEKS)~画像~
ゴリゴリのパンクから、かわいい女の子キャラが歌うアニメソングまで、幅広い楽曲づくりの秘密はどこにあるのか? エンドウ.に音楽経験や制作環境について聞いた。なお、今回のインタビューは、エンドウ.が楽曲制作においてはDAWソフト「SONAR」を使用しているという縁から、SONARの国内販売元であるティアック/TASCAMの加茂尚広氏とともに同社のショールームであるGibson Brands Showroom Tokyoで行われた。
■最初の音楽体験はゲーム音楽とスーパーユーロビート
―― そもそも何歳ぐらいで音楽に目覚め、楽器を始めたんでしょうか?
エンドウ. 音楽に目覚めたのは、中1の時にゲーム・ミュージックのCDを初めて自分で買ったのが最初ですね。
―― ゲームミュージックなんですか?
エンドウ. そうなんですよ。ファイナルファンタジーとかそういうゲーム・ミュージックの電子音をずっと聴いてて……。バンドとか歌謡曲もまったく興味がなかったので。ずっと童謡とデジタルミュージックを聴いてて、で、中1ぐらいの時に友達が「お前、音楽何聴いてんの?」みたいになって、「いや、ゲーム・ミュージックよりもっとかっこいいのがあるよ」って、聴かせてくれたのが、ユーロビートだったんですよ。
―― んん(笑)
エンドウ. (笑)スーパーユーロビートだったんですよ。かっこいい!と思って、ずっとユーロビート聴いてて。それで中2の終わりか中3ぐらいの時に「バンドって知ってる?」って言われて。僕、バンドをまったく知らなくて。当時、日本だとブルーハーツとかだったんでしょうけど、そういうの一個も知らなくて。「GREEN DAYってのがいるんだよ」って言われて。それがすごくかっこよくて。そっからバンドにはまって、じゃあギターやってみようってなって。最初はゲーム・ミュージックとスーパーユーロビートなんです。
―― 楽器を始める前がそういった音楽だった。
エンドウ. はい。恥ずかしい経歴を持ってるんです(笑)。
―― いやいや。これ、あとでなんかつながるかもしれないですね。
エンドウ. つながるんですかね(笑)。もともとそうなんですよ。
―― それが、ギターを始められたのは、中学3年……
エンドウ. 中学の3年生ですね。それは。
―― コピーバンドみたいなカタチ?
エンドウ. そうですね。当時クラスではやってたのが、NIRVANAとHi-STANDARDだったので。その2つのコピーバンドをやってましたね。必死になってかせいだ金で、初めてイケベ楽器でエレキギターを買って。
―― なるほど。で、高校の時はもうバンド漬けみたいな感じですか?
エンドウ. そうですね。それで高校の時はもう、ずっとバンドをやってて。部活には入ってなくて。軽音部とかなかった……あったのかな? 学校に。ライブは小さなライブハウス主催のコピーバンドイベントに、1、2回出たことがあるぐらいで、ライブ活動ってあんましたことないんです。
―― じゃあ、仲間内っていうか、バンドメンバーでスタジオで音出してっていうのがメインで……。
エンドウ. そうですね。ずっとそうやってましたね。高校の終わりぐらいに一回ギターやめてるんですけどね。Fがうまく押さえられなくなって。
―― 何を言ってるんですか!(笑)
エンドウ. むずかしくって(笑)。
―― (一同爆笑)
エンドウ. あんまり押さえられなくってダメだなと思って、同時期に打ち込みもやってたんですよ。当時はハードディスクが650MBぐらいの時代でしたけど、Windows 3.1とか95ですかね、95が出たあとぐらいで。その当時は「Singer Song Writer Audio」を使ってやってたんですよ。
―― いわゆる外付けの音源を使って?
エンドウ. でも、音源は持ってなくて、全部オーディオでやってたんですよ。ちっちゃいピンマイクみたいのでギターをペンペンって弾いて、それをWindowsの当時のメディアプレーヤーのしょぼーいやつで、スピードを速くしたりとか、音を加工できたんですよ。あと音源を持ってないので、当時は、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンのCDが出てた前後かな? そのCDを鳴らしてマイクで録って、ドラムの音を(Singer Song Writerのトラック上に)並べてたんですよ。
―― へえ(一同感心)。
エンドウ. それで、打ち込みっておもしろいなって。ずっとオーディオ録音でやってたんで音源とかって触ったことないんですよ。
―― それが高校卒業する前ぐらい?
エンドウ. そうですね。卒業して1年ぐらいはそういう遊びもしてて。でも、もうやることがなくなって、やっぱりバンドやりたいなと思って、高校卒業して1年ぐらいはフリーターやりながらバンドを組んで……。
―― その前後って、たとえば「ミュージシャンになるんだ!」みたいな気持ちの人も多いじゃないですか?
エンドウ. あっ、僕、漠然と高校生の時、途中で挫折しつつも、「ああ、なんかできること……あっそうだ、音楽で飯食おうかな」と当時思ってました。カンタンに(笑)。できるとは考えもせずに(笑)。思ってましたね(笑)。
―― お話を伺うとバンド→打ち込みからバンドみたいな。これってつまみ食いみたいな感じですかね?
エンドウ. そうですね。でも、打ち込みの音楽って、あんまり聴いたことがなくて。ゲーム・ミュージックは聴いたことがあるんですけど、電子音じゃないですか? 打ち込みの音楽ってあんまり知らなくて。好きなバンドが全部、BURRN!とかギター・マガジンに載ってるようなアーティストだったので。だから必然的に音楽をやるならバンド意外あんまり思いつかずに。はい。
―― 高校を卒業後、しばらくしてバンドを組んで……。
エンドウ. そうですね。で、最初に組んだバンドが「アカツキ.」ってのがあるんですけど。それでメジャーデビューしました。
―― それは今のGEEKSに通じるようなわりとハードな?
エンドウ. その時は、いわゆる青臭いパンクバンドだったんですけど。でも、僕が好きだったのはぜんぜんそういうんじゃなくって。まあ何年かしてやめちゃったんですけど。
◆インタビュー(2)へ
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