【インタビュー】家入レオ、一緒に未来に向かってみんなと歩いていきたい「僕たちの未来」
家入レオが日本テレビ系土曜ドラマ『お迎えデス。』の主題歌でもあるニューシングル「僕たちの未来」を5月11日にリリースする。「未来って何?」「希望って何?」と問いかけた時に浮かび上がった答えが、一緒に未来に向かってみんなと歩いていきたいという想いを込めたスケール感たっぷりのナンバーを生み出した。孤独と葛藤を抱え、自分の気持ちをわかってほしいと思っていたデビュー当時、ひたむきなゆえに自身の音楽とイメージを守りたいと戦っていた頃──。そんな季節の中で、家入レオが掴み取ったもの、信じたものが“僕たち”という言葉になって結実した。ひとりだと思って歩き始めた道にいつしか多くの人たちが共に歩んでいた。そんな心境の変化も浮き彫りにするロングインタビューをお届けする。
◆家入レオ~画像&映像~
■自分の中に他者を感じられる気持ちが育ってきたことを実感できた
■だからこそ自然に出てきた言葉が“僕たち”だったんです
──前作「Hello To The World」で新しい扉を開いたなと感じていましたが、ニューシングル「僕たちの未来」は、さらにスケールの大きい愛の歌になりましたね。
家入レオ(以下、家入):今回の曲はドラマ主題歌のお話をいただいたところから始まったんです。プロデューサーの方が「ドラマのテーマが生命を描くものなので、ポジティブな楽曲をお願いしたいんです」とおっしゃっていて、私も次は希望のある曲を作りたいと思っていたところだったので、すごくいい機会をいただけました。そこからは自分と向き合う作業だったのですが、「未来って自分にとって何だろう?」、「希望って何?」って問いかけたら、「ファンの人たち」という答えが自分の中から返ってきたんです。言葉にしてしまうとありきたりかもしれないけれど、本当に無意識にそういう答えが出てきたことにすごく感動して。
──それはなぜですか?
家入:デビューしてから“葛藤”や“孤独”について歌うことが多かったこともあって、自分の中に他者を感じられる気持ちが育ってきていることを実感できたからだと思います。だからこそ、自然に出てきた言葉が“僕たち”だったんです。以前は苦しくなると“やっぱり人間は一人なんだ”っていう気持ちに逃げることがあったのが、今は一緒の気持ちの人がいるんだって思えるし、そんな想いが自分の中から言葉になって出てきたのが嬉しくて、私にとってすごく大事な1曲になりました。
──振り返ると、以前のレオさんは自分の気持ちを吐き出すことでいっぱい、いっぱいだったというか。
家入:自分の気持ちをわかってほしいという気持ちが強かったんです。そういう曲をリリースした時に「自分もそうでした」っていうメッセージをたくさんいただいて、「こういう葛藤や悩みを抱えているのは自分だけじゃないんだ」って思えたのが最初の一歩で、ライヴ活動を始めとする出会いの中で、自分の心境も少しずつ変わっていったんだと思います。以前は見たい景色を見るためだったら、いくらでも犠牲は払うって考えていたんですよね。
──その見たい景色というのは?
家入:CDが何万枚売れるとか、大きな会場でライヴをするとか1分でも1秒でも早くそういうところに辿り着きたいと思っていました。もちろん、そういう気持ちだけではないですけれど、17才の時に恵まれた環境でデビューが決まったので「早く結果を残さなきゃいけない」って自分を追い詰めていたところがあったんです。でも、活動していくうちに思い描く景色に到達することが大事なんじゃなくて、その過程でいろいろな景色を見たり、いろいろな人と出会うことが自分の財産になっていくことに気づいたんですよね。そこから「今すぐ行きたい」という気持ちが「いつか辿り着けたらいいな」というふうに変わっていって、私が行きたいというより、家入レオの曲に心を重ねてくれた人たちと一緒に行きたいと思うようになったんです。そういう想いを改めて伝えたいと思って「僕たちの未来」を作りました。ここまでファンの人たちや、より広い世界の人たちに寄り添った曲は初めてかもしれないですね。
──そうなんですね。じゃあ、爽快なロックチューン「Hello To The World」も大きかったけれどーー。
家入:もう一つ先の扉を開けられた感じですね。
──なるほど。歌詞には“星”という言葉が多く使われていますが、“生命”とリンクさせているんでしょうか?
家入:ファンタジーな世界観の歌詞にしたいなと思っていて、楽曲が上がった時に夜空の雰囲気を感じたので、星という言葉を使ったんです。例えば東京タワーだったり、高いところから街を見下ろすと“すごくちっぽけなことで悩んでいたんだな”って思ったりしますよね。悩んでいる時は内に籠もりがちですけど、ちょっと視点をズラしてみたら、同じような人は東京の中だけでもきっとたくさんいて、結び合わせると星座になるっていう。「一人じゃないんだよ。仲間なんだよ」、「同じ気持ちを共有できる人がこんなにいるんだよ」ということに気づいてほしいなと思って書きました。
──それで「僕らの未来」には泣いている人や、差し伸べられた手を拒む人が登場するんですね。
家入:そうですね。弱さを肯定したかったんです。弱さがあったから、ファンの人たちは私の歌と出会ったのかもしれないし、自分自身、今も孤独や悲しみに襲われる日もあるけれど、それは決して悪いことではないと思っているんです。ネガティブな自分を否定し続けると救いがなくなってしまう。人間だから生きていれば苦しいこともあるし、嬉しいこともある。そういう時に「いいんだよ」って言ってあげられたらいいなと思ったんです。
──とても優しくて強い曲になりましたね。プロデューサーであり、作曲者の多保(孝一)さんにサウンド面でリクエストしたことはありましたか?
家入:はい。まず、ドラマのプロデューサーの方とお話しした後に「こういうことを歌詞で書きたいんです」って想いを伝えました。それとサカナクションのライヴに行かせていただいた時にすごく音が良かったので、サカナクションのチームの方と音作りがしたいと思って、参加していただいています。そこも変化した部分ですね。以前は「私の領域は侵さないで」みたいなやり方で曲作りをしていたんですが、「この方とお仕事したい」って提案したら、叶うかもしれない環境にいるのに自分でシャットダウンしているのはすごくもったいないと思うようになったんです。
──キャリアを積んでベテランとか大御所と言われるようになると、確かにそうなっていきがちですよね。
家入:そうなんです。「あなたはこうした方が面白くなるよ」とか、どんどん意見を言ってもらったほうがもっと大きいアーティストになっていけるんじゃないかなって。今回はレコーディングでもギターソロを「アドリブで弾いてください」ってお願いしたり、キーボードの方から「流れ星がいっぱい流れている感じの曲だから、そういうイメージで弾いてみてもいい?」って言われて「じゃあ、お願いします」みたいなやりとりがあったりとか。自分でもプロフェット5(1970年代後半から1980年代前半にかけて発売されていたアナログ・シンセサイザー)を弾いていたりするんです。いろいろな人の力を借りて「僕たちの未来」は大きな作品になったと思います。
──ライヴでみんながシンガロングする景色が浮かぶ曲でもありますよね。後半の“ウォーウォー”というコーラス部分もレオさん発信ですか?
家入:はい。ずっと「ライヴでファンの人たちと一緒に声を出せる曲が欲しい」と伝えていたので、多保さんが「レオちゃんが前から言ってた感じでコーラス入れようか」って言ってくれたんです。小学生の頃から合唱をしていたので、コーラスはたくさん入れるほうなんですが、今までは全部、自分の声で完結させていたんですね。今回はみんなで未来に向かっていく気持ちを表現したかったから、歌い手さんの方たちと一緒にマイク1本でレコーディングして……初めて私とプロデューサー以外の方の声が入った曲でもあります。
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