【インタビュー】doa 、10thアルバム完成「相手がいて初めて成り立つ自由がある」
doaが1月27日、10枚目のオリジナルアルバム『FREEDOM × FREEDOM』をリリースする。“大人の自由”を描いてみたいという想いを立脚点にスタートした制作は、パワフルなロックチューンから切ないラブバラードまで、バラエティに富んだ楽曲とその表現方法が、人生の喜怒哀楽を感じさせる仕上がりを生んだ。結果、同作は恋人や家族、仲間や親友など、愛すべき“君”との忘れられない過去や現在、そして未来に貫かれている。
◆『FREEDOM×FREEDOM』全曲紹介映像
前述したようにサウンドは多彩だ。美しくも力強い3声のコーラスワーク、アグレッシヴなビート、涙腺を刺激する珠玉のメロディをはじめとするdoaの持ち味が発揮された全12曲を収録。その歌詞制作やレコーディングなど細部に至るこだわりを明かすべく、徳永暁人(Vo&B)、大田紳一郎(Vo&G)、吉本大樹(Vo)の3人に訊いたロングインタビューは、爆笑に次ぐ爆笑。3人の優しく大きな人柄がうかがい知れるものとなった。
◆ ◆ ◆
■ここ最近のdoaよりもロック感はアップしているかもしれない
■それもアルバム『FREEDOM × FREEDOM』の特徴になっている
──10thアルバム『FREEDOM × FREEDOM』を作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?
徳永:特に何も考えていなかったです。いつも通り3人で集まってレコーディングをして、曲が揃ったので出しますという感じでした(笑)。ただ、わりと最初の頃に「FREEDOM × FREEDOM」という曲ができて、「“大人の自由”を描いてみたい」という想いがスタートになった部分はありましたね。大人は子供と違って自由がないってよく言われるじゃないですか。でも、実は一番自由だと思うんですよ。どんな職業に就いてもいいし、どこに住んでもいい、誰を好きになってもいいし、好きなものを好きな時に食べていい。
──自分で選べるという。
徳永:そう。自己責任が発生するけど、自分のことはすべて自分で決められる。そういう中で、“みんな、どれだけ生きているんだ?”と問いかけたいなと思ったんです。遊ぶ時間も自由に取れるのに、時間がないという口実のもとに、なんとなく生きてしまっていないか?と。自分に対する戒めとかも含めて、僕らと同じ働く大人世代の人たちに自由というものをもう一度考えてもらって、思い切り遊んでほしいなって。そういうことを歌いたいと思いながら作った結果、「FREEDOM × FREEDOM」は最近のdoaには珍しい、パワフルな曲になりました。
──歌いたいことと曲調が同時に出てきたんですね。パワフルな「FREEDOM × FREEDOM」も含めて、今作はこれまで以上に曲調の振り幅が大きくなっています。
吉本:doaらしさを継承しつつ幅が広がったなということは自分たちも感じています。個人的に今回のアルバムで印象が強いというか、一番手こずったのは1曲目の「君はMILLIONDOLLARS」。この曲は僕が歌詞を書くということになっていたんですけど、全く書けなくて(笑)。徳永さんが作るデモはいつも英語で歌った仮歌が入っていて、“MILLIONDALLARS”という言葉が最初から入っていたんですよ。それが、どうしても頭の中から抜けなくてね。だいぶ時間を掛けて考えたけど違うテーマが浮かばないし、かといって“MILLIONDALLARS”という言葉に結びつく歌詞も出てこない。僕の中には、歌詞というのは無理に絞り出して書きたくないという気持ちがあるんですよ。なので、「ムリッ!」と言って、大先輩の大田さんにお願いしました(笑)。
大田:困ったからといって、僕に振らないでほしい(笑)。
吉本:ええっ? でも、大田さん、いい歌詞を書いてくれたじゃないですか。助けてくれて感謝しています(笑)。
──歌詞や歌をメンバー同士で助け合えるdoaの強みが活きましたね。サウンド的なことをうかがいたいのですが、「君はMILLIONDOLLARS」はエレキギターがフィットしそうな曲調ながら、アコースティックギターを押し出していることが印象的です。
徳永:確かに「君はMILLIONDOLLARS」は、エレキギターを主体にしたアレンジ手法のほうがオーソドックスだと思うんですよ。でも、doaはデビュー当時から、アコースティックギターサウンドに3人の声というスタイルを核にやってきたというのがあって、あえてアコースティックギターをフィーチャーしました。それに、そういう曲を1曲目に持ってくることで、初めてdoaを聴く方にも“こういうことなんだ”と分かってもらえるんじゃないかなというのがあって。
大田:今回の曲で、僕の中で特に印象が強いのは「拳」ですね。最初にデモを聴いた時は、のどかなトウモロコシ畑をトラクターがゆっくり走っているようなイメージだったんです。それが、徳永君が書いた歌詞を読んでみると、すごく重いことを歌っていて(笑)。そのギャップに驚きました。
徳永:俺の中では一貫性があったけど、はたからみるとそういう感じかもしれないね。歌詞は最近のニュースとかを見て感じたことが元になっていて。自分の拳というものをどこに向けて、何に使うのかということも、“自由”ということに繋がるじゃないですか。この曲に関して言えば、主人公が子供の頃から拳を握る場面を何度か経験して、その度に成長していくストーリーを描いている。聴いてくれた皆さんなりに、それをいろんな解釈してほしいな。
──サビパートは歌詞がなくて3人の歌声だけなのに、この曲に託した想いが伝わってきて衝撃を受けました。
徳永:いつも胸に引っ掛かっているやるせなさや、やりきれない想いというのは僕が音楽を作る原動力なんです。ただ、強い激情に駆られて拳を握る時の気持ちというのは、言葉では表せないんですよ。言葉は出なくて、ただ声を発するだけだよなって。それであえて歌詞はつけなかった。なので、声だけで感情が伝わると言ってもらえると嬉しいです。
──doaの表現力に改めて圧倒されました。今作は本当に曲調の幅が広くて、王道的なロック感を活かした「LADYLUCK」なども注目です。
大田:これは昔のdoaを感じさせますよね。久々だなと思いました。
──10枚目という節目のアルバムなので、昔のテイストも出そうかなと思ったのでしょうか?
徳永:いや、そういう気持ちは全くなかった(笑)。これも自分の中から自然と出てきたもので。前はこういう曲もやっていたなと思ったけど、そこに引っ張られることもなく、今の自分たちが良いと思う形にまとめました。
──「FREEDOM × FREEDOM」もそうですが、doaのロックチューンは本当にカッコいいです。「見つめていたい」のイントロとかは、そこはかとなくレッド・ツェッペリンっぽいですよね。
吉本:あのイントロは僕も好きです(笑)。
大田:確かに、今回はここ最近のdoaよりもロック感はアップしているかもしれない。それもアルバム『FREEDOM × FREEDOM』の特徴になっている気はしますね。
──ロックチューンに限らず、メロディアスかつ爽やかな「Run to you」や独自のアンプラグド形態を活かした「ニュー☆スター」、スローチューンの「真冬の花」など、上質な曲が揃っていて楽しめます。
徳永:そうですね。
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