【インタビュー】植田真梨恵、新曲「スペクタクル」で「前を向く気持ちだけを形に」
植田真梨恵が2016年1月20日、4thシングル「スペクタクル」をリリースする。映画等の壮大さを表すのに用いられる“スペクタクル”という言葉が冠されたタイトルはインパクト大。しかし、その歌詞が描くは、追い風や向かい風、響く雷鳴のなかを歩み続ける人生がなぞらえられた日常だ。それも“しゃべる言葉のまま”で綴られたものだから、優しく力強い。
◆「スペクタクル」ミュージックビデオ
サウンドはストレート。ツアーバンドと行なったアレンジは、生バンドの躍動感に貫かれている。加えて、サビで大きく轟くティンパニーや、その中を淡々と進行するベースが楽曲の持つドラマの起伏を流暢に物語り、ギターソロは「スペクタクルな部分を表した」というほど、音楽的なこだわりがそこかしこに溢れ出した。「こうしていきたいというのは頭の中にはあるんです」と語る植田真梨恵の楽曲制作は、ますます全身全霊の純度を高めている。「スペクタクル」レコーディングについて、無敵の学生時代について、闘い続ける制作について、ディープに語ったロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■一対一で対峙してしゃべっている言葉で
■大きく広がっていけたらいいな
──ニューシングル「スペクタクル」は、かつてなくストレートで、はじまりの躍動感が音になったような楽曲ですね。
植田:常に変わらず“パワーの強い歌を”と思っているんですけど、秋口にいろんな曲を書き始めていったなかで、一番前向きなメッセージの曲が今回シングルという形になりました。秋らしく、いろんな気持ちの浮き沈みみたいなものもあったので、そういう顔の曲も何曲かあったんですけども、選んでいくなかでこれになったという感じです。
▲「スペクタクル」初回限定盤 |
植田:心境的には落ち込んでいて……というより、凄まじく凹んでいて。何を書いてもガクーンみたいな暗い曲ばかりで、これじゃ新年明けられないなと思ったんです(笑)。どうしようかなぁと思いながら、そのなかで突如、“もういいかな”って吹っ切れた瞬間があって、自分の気持ちが前向きになるタイミングで出来てきたのが、この曲でした。
──2015年はライヴがたくさんあったり、刺激も多かったり、充実もしていたと思いますし、突き進んで前を向くしかないっていうところだったと思うんです。そのなかで、いっぱいいっぱいになることも?
植田:そうですね。メジャーデビューしたくらいから、よく考えたら落ち込むタイミングってなかったかなと思いますね(笑)。
──考える時間がないような。
植田:映画を観たりしてインプットしたり、自分が次にどんな曲を書こうかと考えていた時期に、単純にいろんなことが日常のなかで起きて。そのままのものが楽曲として出ていったら、超暗かったので(笑)。これはどうしようかなと思っていたんですけどね。でも、気持ちとしては新しく、ストレートななかにも音楽の持っている余韻とか匂いとか、音符だけでは表わせない部分をもうちょっと封じ込められる曲を作っていきたいなと、ツアーを経て考えていたところだったので。そういう部分も意識して、優しいニュアンスで、ふんわりしているけど、ストレートな曲にしたいなと思いながら作っていきました。
──植田さんならではの、ひねりやクセのあるメロディが今回は抑えてありますね。言葉の強さをより聴かせていく感じとか、疾走感であるとか、それはこの曲に向けた強い意識だったのかなと思いました。
植田:音楽を作って届けていく上で、いろんな機会をいただいて。なんでもチャレンジしていきたいなという気持ちはあるんですけど、何よりも“歌を作って届ける”というのが私のやりたいことなので。別に何の補足もなく届けられるような1曲であるといいなと思いながら書いてるところです。
──「スペクタクル」というタイトル通りの、昂揚感とか広がりというのは意識した感じですか。
▲<植田真梨恵LIVE TOUR UTAUTAU vol.2>2015年10月3日@東京 TSUTAYA O-EAST |
──歌詞の面ですね。
植田:近い距離間で、言葉尻もナチュラルになるように気を付けました。これまでは、言葉が持ってるそのものの要素や、それから連想されるモチーフみたいなものを表現するのが好きだったんですけど。というよりは、もっともっと普通の言葉で書いている歌詞だと思います。
──新しい書き方ですね。遊びや連想させる面白さとはまた違った、一対一のまっすぐさゆえの難しさもあったのでは?
植田:そうですね、なのですごくまじめな曲になってます(笑)。ほんとに、ただただ真っ直ぐ。その時の“よし、前を向く”という気持ちだけを形にしているものだなと思います。
◆インタビュー(2)へ
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