【インタビュー】HIM、「VAMPSはもっとヨーロッパでツアーするべき」
VAMPSが11月12日、ツアー<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>の初日をZEPP TOKYOにてスタートさせた。同ツアーはVAMPS恒例の“籠城型ライヴハウスツアー”を東京・大阪・名古屋で各6公演ずつ開催、各地に国内外からのゲストを組み込み、2マンによるジョイント形式で行なわれるというものだ。対バンとしてツアーに登場するのはMY FIRST STORY、MONORAL、ASH DA HERO、HIM、Nothing More、Apocalyptica。未発表アーティストを含め、ジャンルや国籍を超越した顔ぶれが連日激戦を繰り広げる。その4日目から東京公演最終日までの3DAYSを飾る対バン相手がフィンランドのロックバンドHIM(ヒム)だ。
◆VAMPS × HIM 画像
ヴォーカルのVille Valoを中心として1995年に結成されたHIMは、フィンランドはヘルシンキ出身の5ピースバンド。2003年リリースの2ndアルバム『RAZORBLADE ROMANCE』収録シングル「Join Me in Death」がヨーロッパ規模での大ヒットを記録したほか、2006年リリースの5thアルバム『Dark Light』がアメリカでゴールドディスク認定(フィンランド初)を受けるなど、始動から現在までの20数年間、フィンランド本国はもとよりヨーロッパのビッグバンドとしての地位を確立している。HYDE曰く、「The Missionとか僕の好きな世界観の現代版という印象」というサウンドはゴシックやメタルを基調としたもの。VAMPSとはライヴ初共演となるが、「もちろん、VAMPSの存在は以前より知っていた」とはヴォーカルのVille Valoの言葉だ。ZEPP TOKYO 3DAYSの最終日、楽屋で行なったVille ValoインタビューはVAMPSとHIMが築いた強い繋がりを示すものとなった。
◆ ◆ ◆
■僕たちはひたすら音楽を提供し続けるし、それを止めない
■なによりVAMPSはとてもいい人たちなんだ
──HIMにとっては3度目の来日公演となりますが、<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>ZEPP TOKYO公演 3DAYSの合間に日本を満喫できましたか?
Ville Valo:ドラマーのJukka“Kosmo”KrögerがドラムメーカーのTAMAを訪問したり、キーボードのJanne Puurtinenがローランドを訪問したりと、それぞれがサポートしてくれる楽器メーカーと親睦を深めたんだ。ただ、僕は基本的にはホテルで休んでいた。なぜなら、数日前にパリの同時多発テロがあったよね。僕たちの本国フィンランドと陸で繋がるヨーロッパで起きたテロ事件のニュースを凝視していたから。
──テロの標的の1つとなったパリ中心部の「バタクラン」は、HIMもライヴを行なったことのあるコンサート会場だとか。
Ville Valo:2年ほど前にライヴを行なった会場だし、まさにライヴをしていたEagles of Death Metalとは交流もある。地元ヨーロッパで大変な事件が起きたときに、僕たちは遠く離れたところにいるわけで。凄く心配で気がかりでね。
──テロに関しては、日曜日のMCでHYDEさんも「どんな言い分があってもテロは卑怯だろ」という短く強いメッセージを発信しました。
Ville Valo:それはグレイトなことだよ。HYDEが伝えるべきことをひと言で届けたということにも共感する。音楽とは現実から逃避できるものでもあるからね。僕がステージに立つときは、政治的なことや世の中の悪のことは一切考えずにパフォーマンスしているし、音楽に集中して届けたいと思っているんだ。
──では、今回の件がHIMの音楽に影響するようなことはない?
Ville Valo:たとえ個人的な理由でダークな気持ちを持って会場に来たオーディエンスがいたとしても、ライヴの間だけは、そういったことから解き放させることができるのが音楽だと思う。銃撃事件があったからといって、僕たちがそれを心配してステージに上がるようでは、それこそテロリストの思惑通りになってしまう。僕たちはひたすら音楽を提供し続けるし、それを止めないよ。
──なるほど。
Ville Valo:それに、日本では毎回凄くよくしてもらっているし、なによりVAMPSはとてもいい人たちなんだ。スタッフもこちらのリクエストに100%応えてくれる。今回の滞在にはとても満足しているよ。
▲HIM in<SUMMER SONIC 05> |
Ville Valo:そう。ツアー中は移動も多くて、あまりゆっくりと楽しむことができないんだけど、初来日は僕たちにとって特別で印象深いものだったんだ。というのも、ヘルシンキ初の日本料理店“KABUKI”にアキさんという日本人がいてね。彼はHIMのサポーターで、<SUMMER SONIC 05>に通訳として一緒に来てくれた。アキさん自身も日本は25年とか30年ぶりだったんだけど、いろいろなところを紹介してくれたんだよ。フグを食べたり、サントリーのビールをたくさん飲んだり(笑)。カラオケにも行ったし、大阪のROCKROCK(バー)にも行ったな。残念ながらアキさんは5年前に亡くなってしまったけど、僕たちにとっては凄くいい思い出なんだ。
──当時のステージやオーディエンスのことは覚えていますか?
Ville Valo:国によってオーディエンスの反応は違うもので、たとえばヘルシンキのオーディエンスはとにかく酔っ払うし(笑)、大合唱が巻き起こるような国もある。その時の日本のオーディエンスはニコニコしていたことが印象深かった。HIMのようにダークでヘヴィなロックミュージックは、真剣な表情でステージを観るオーディエンスが多い。ヨーロッパでは笑顔を見ることがないんだよ。ところが日本のオーディエンスは凄く楽しんでいるのが伝わってきたし、熱心に聴き入って盛り上がってくれたことを覚えているよ。当然、日によっても会場によってもオーディエンスの反応は異なるし、日本ではまだ数えるくらいしかライヴをやっていないから、もっともっとライヴを重ねたいね。
──HIMの音楽を形容して“ダーク”とか“ヘヴィ”という言葉がありましたが、まさに最新アルバム『Tears On Tape』はヘヴィでダークでメロディアスなサウンドが詰め込まれたものでした。この20数年にわたる活動のなかには、“LOVE METAL”や“ゴシック”がキーワードとなるアルバムもあったと思います。楽曲作りのほとんどを担うVille Valoさんは現在のHIMサウンドをどう捉えていますか?
Ville Valo:自分自身がHIMの音楽に近すぎるから、“こうだ!”と答えることはなかなか難しい。たとえるなら、自分たちは“木”を見ているわけで、“森”を見ていないからね。ただ、HIMというバンドは、もともとBLACK SABBATHやType O Negative、JANE'S ADDICTIONが好きで始めたもので、そこを起点に自分たちの音楽を追究し続けている。こういう服を着なければいけないという決まりはないし、それは音楽的にも言えることなんだ。ただ、服に関しては“黒”だけどね(笑)。
──昨晩のステージもメンバー全員が黒でした(笑)。
Ville Valo:そうそう(笑)。
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