【対談】ひとしずく×やま△&イラストレーター鈴ノ助、新作に込めた“ボーカロイドの感情表現”の極意。
小説化、コミック化もされ絶大な人気を誇る楽曲「Bad ∞ End ∞ Night」シリーズをはじめ、ボーカロイドを使って創作活動をしているひとしずく×やま△。作詞・作曲・ストーリー創作をこなすひとしずくP、作曲・編曲・ミックス・マスタリングを行なっているやま△による新作であり壮大なファンタジー大作『ミスルトウ~神々の宿り木~』が、9月30日にリリースされた。今回は、二人の生む世界観を美しくヴィジュアライズするイラストレーターの鈴ノ助も交え、クリエイターとしての想いやお互いの魅力について、たっぷり語ってもらった。
◆『ミスルトウ~神々の宿り木~』 関連画像
取材・文=杉江優花
■次はどんな衣装にしようとか、どんな曲を歌わせようとか、
■アイドルをプロデュースするようなノリでやっている。
ひとしずく:これまでボーカロイドの曲をたくさん作ってきて、ちょうど節目のような作品になったのかなということを感じておりまして。ひとつの集大成というと大袈裟なんですけど、いろいろな曲を聴いたり、動画を観てくださった方々には、そういうものとして受け取っていただけたら嬉しいなと思っています。
──過去、現在、そして未来までも示せた作品であると。
やま△:そうです。僕としては、すごく達成感のようなものがありますね。
──鈴ノ助さんが控えめなことをおっしゃっているんですが……。
やま△:ねぇ。(完成した『ミスルトウ~神々の宿り木~』のパッケージを手に取りながら)実物を見て、あらためて思いますよ。(鈴ノ助さんに)いてもらって良かったって。
やま△:うん、そうね。
ひとしずく:なので、さっき鈴たんは“ひとしずくとやま△が生み出す世界観のサポート”と言っていましたけど、自分たちとしては、もともとあるリンとレンっていう魅力的なキャラクターを、さらにどれだけかわいくとか、かっこよくとか、面白く見せられるかなっていうことを考えているだけというか。アイドルをプロデュースする人が、次はどんな衣装にしようとか、どんな曲を歌わせようとか、そんなノリでやっているので、自分たちのカラーがどうとか、そういうこだわりはあんまりなくて。やっぱり鈴たんと同じように、みなさんに喜んでいただけたらいいなという感じでやっています。そして、今回は鈴たんの得意なファンタジーで幻想的なイラストを描いてくれているし、やま△もサウンドの重厚感を出してくれて、私は……適当にストーリーを書いたくらいです、はは。
──やはり控えめ(笑)。
やま△:ホントですねぇ(笑)。
──私がこれだけの大作を生み出せたら、もっとドヤな感じになります(笑)。と思うくらいなんですが、そもそも、『ミスルトウ~神々の宿り木~』という壮大な物語はどうやって生まれたのでしょう。インスパイアされたものなどあったりするのでしょうか。
やま△:ははは。
鈴ノ助:ふふふ。CDジャケットの打ち合わせのときに、“鳥がいいんじゃない?”っていう話の流れになって、“じゃあ鳥の曲作るよ”って(ひとしずくが)言ったんじゃなかったっけ。
ひとしずく:そうそう。本当に、そんな感じでした。
──だとすると、想像力がとても豊かなんでしょうね。
ひとしずく:いえいえ……鳥って調べていくと神話とかにも登場して、そういうところから膨らませただけなので。
やま△:でもね、傍から見ていたら、(ひとしずくは)想像力が豊かだと思いますよ。っていうか、すごく視野が広いっていうのかな。いろんなことを深いところまで考えるところ、さすがやなって思っていますよ。
ひとしずく:え……(照)。
やま△:それは、物語とか音楽以外のところでもそうで。いつもしょうもないことで相談に乗ってもらっていたりするんですけど、そういうときにも思いますもん。
──見る角度とか掘り下げ方で、ものの見え方って変わってきますけど……。
やま△:そうそう。今回だったら、青い鳥とか不死鳥をボーカロイドのリンとレンに置き換えてみるとか……そういうアレンジがすごくうまいと思う。持ってくるもの持ってくるもの、全部“さすがやな”って言うしかないですよ。
──なんというホメ言葉。楽曲制作においても、触発される部分が多々あるでしょうね。
やま△:まさに、その通りなんですよ。そこまでしっかりと見えているものがあると、サウンドも影響されたりしますから。
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