【インタビュー】高橋洋子「まだ見ていないのに歌詞で言い当てちゃったんですよ」
1年10ヶ月ぶりのシングルとなる「真実の黙示録」が、TVアニメ『クロスアンジュ 天使と龍の輪舞』の後期オープニングテーマとして現在オンエア中の高橋洋子。この楽曲は、彼女の代表曲として国民的な認知度を誇る「残酷な天使のテーゼ」や「魂のルフラン」などを手掛けた大森俊之が作曲&編曲を担当している。ゴールデンコンビが放つこの新曲について、高橋洋子にたっぷりと語ってもらった。
◆高橋洋子~画像~
■「高橋洋子は次はどんな歌を唄うんだろう」っと期待を裏切るのも大事ですが
■「やっぱり高橋洋子だ」って言ってもらわなければいけない部分もある
――新曲の「真実の黙示録」はTVアニメ『クロスアンジュ 天使と龍の輪舞』の後期オープニングテーマということですが、制作時、何を発端として楽曲を広げていったんですか?
高橋洋子(以下、高橋):「クロスアンジュ」は、水樹奈々さんが主役のアンジュを担当してらっしゃって、1クール目は彼女が主題歌も唄っていたんです。その2クール目の主題歌を……ということで私がオファーを受けました。お話をいただいた時はまだ1クール目のオンエアもされていなかったので、絵柄やちょっとした作品の概要を見せていただいて。さらに、いただいたオファーの中に、「アンジュの母親が1話目で亡くなってしまうので、母性のようなところで書いてほしい」というのがありました。
――アニメは、平和だったところから、突然、戦わなければいけない状況になるというストーリーですが、この曲では、そういう状況を母親が天から見守っているような感じなんですね。
高橋:母として考えると、伝えたいことってすごくシンプルですし、いくつもないわけです。できれば戦って欲しくないけど、戦わなければならないとしたら、生きていて欲しい。アニメから離れたとしても、母親は皆、同じことを考えると思うんです。それをあえてテーマソングとして唄うとしたら……と考えた集大成がこの歌詞になっています。ストーリーとしても、もともと王女様だった人が、それまで自分がいた環境とはまったく逆の闘いの場に置かれて、葛藤と悲しみを抱えて生きていくわけですよね。そこで覚醒しようとしている。だから「目覚めよ」という歌詞も出てきます。そういう世界観を主題歌で唄い切るというのも爽快でしたね。少ないヒントから広げたにもかかわらず、相性が良かったみたいで、実は歌詞を書いたときに、「ここは直して欲しい」と言われた箇所があったんです。なぜならば、その部分がネタバレになってしまうからってことだったんです。
――アニメの内容を深く知らなかったのに、言い当ててしまったんですか!?
高橋:そうなんです(笑)。そんな話、私は聞いてなかったのに。そういう意味では、向いている方向とか、捉え方でシンクロしているところがあったんでしょうね。それは嬉しい誤算というか。そうなのであれば、すごく良いストーリーだなと思いましたし、でも、それは誰にも言えないという感じで(笑)。
――なるほど。制作側の意識が全員一丸となって同じ方向を向いている作品って、たいてい良いものになりますよね。
高橋:そうですよね。それは今までのアニメも全部そうです。私は監督にお会いしたわけではないですし、それぞれが自分の担当を持って、最高の仕事をするっていう集団なんですよね。その中で私は主題歌の担当として、アニメの世界を表現させていただくという立ち位置。他のスタッフさんが何を考えているのかというのはわからないんですが、合間合間で来るレスポンスを見ていると、同じ方向を向いているということは感じながら制作をしていました。
――高橋さんが考える、アニメ主題歌の立ち位置ってどんなものですか?
高橋:看板ですよね。名刺みたいなこと。最初に飛び込んでくるもので、見るか見ないかを決めると思うんです。どうして主題歌があるかと言うと、その世界の中に入るための大事なクッションの役割をしていると思う。だから、毎回主題歌があって、ストーリーがあって。主題歌でどういう顔を見せるかで皆さんもどういう評価をするかが変わると思うので重要だなと思います。今までやってきた作品で考えると、「高橋洋子は次はどんな歌を唄うんだろう」って、いい意味で期待を裏切るのも大事ですが、「やっぱり高橋洋子だ」って言ってもらわなければいけない部分もあるので。双方を兼ね備えるというのも意識しています。
――アニメにはそのアニメの世界観がありますが、その主題歌を唄う上で、自分の色というのは、どういう風に考えてらっしゃるんですか?
高橋:どんな色かっていうのは、あまりわからないんですけど、「これが高橋洋子だ」っていう色は持っているんじゃないかと思います。今まで私が関わってきたものとしてのイメージは、テンポ感があって、唄い上げるような感じで、ちょっと難しくて、カラオケで唄いたくなって、なおかつアニメーションに合っていて。「このアニメと言えば、この曲だよね」って、作品と楽曲がスッとつながってっていうことだと思うんです。だから、今回の「真実の黙示録」もそうなったらいいなぁと思って作っています。
――しかも、「真実の黙示録」は、ゴールデンコンビと言われる大森俊之さんの作曲ですしね。
高橋:はい。今回の場合は、大森さんは何曲か準備してらしたんですけど、決めかねているようなところがあったんです。どれも違う曲調で、「これ唄ったことないな」っていうようなタイプのものもあったんです。最終的に、高橋洋子らしくて、大森俊之らしいという楽曲がこれだったんです。大森さんはいろんな曲を書かれる方なんですが、私とコンビでやるときの主題歌というイメージで言うと、ゴージャスで荘厳でちょっと胸がキュンとして、でも歌い上げるというものだと思うんですよね。そこが表現できるのがこの曲ということで、2人の意見も一致して。
――まるで組曲のような構成ですよね。この短い分数の中で、よくこれだけ展開があるなぁというくらい。
高橋:盛りだくさんですよね。お互いに意見を言い合って作り上げるんですよ。この言葉はここにはハマらないから変えてくれとか言われますし、私も言いますし。根底に信頼関係があるので、心底腹を割って。お互い遠慮してしまうと、100点のものにはなりませんからね。今回も私の想像を超えたアレンジをしてくれて、さすがだなと思いました。
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