【インタビュー】MERRY、いままで使わない言葉やテーマを引っぱり出し自分を殺すことから始めた『NOnsenSe MARkeT』
「神様なんていねぇ」──ネロはそうつぶやいた。前作からじつに3年5ヵ月。ガラのヘルニアの手術、その復帰後にテツを襲った事故……。なにもかも満身創痍のなか生み出した作品。それがMERRYのニューアルバム『NOnsenSe MARkeT』である。バンドは傷だらけ。なのに聞こえてくる楽曲は哀愁レトロにニューフォーク、MERRYならではのダンスチューンなどじつに小気味いい。そこで歌われる絶望、そのさらに先にある“ドン底”を味わったものが見つけたもの。それは“生きる”というただ一つのシンプルなメッセージだった。バンドが死にかけ、ゾンビにまでなっても生き続けるMERRY。その再誕を刻んだ新作についてメンバーに話を訊いた。
◆MERRY~拡大画像~
■ベースを弾いているのはテツ(B)さんです
■テツさんの参加は絶対的だったんです
◆「NOnsenSe MARkeT」フルバージョン映像
▲『NOnsenSe MARkeT』初回限定盤A |
▲『NOnsenSe MARkeT』初回限定盤B |
▲『NOnsenSe MARkeT』通常盤 |
ガラ(Vo):テツ(B)さんです。最初はライブ同様、誰かに弾いてもらうかとか考えていたんですが、MERRYにとってこのアルバムがどれだけ大切なものかというのはメンバーも分かっていたので、テツさんの参加は絶対的だったんです。それで、全曲テツさんに参加してもらいました。
──アー写に写ってるのは最新のテツさん?
ガラ:はい。まだリハビリ中なんですが普段の生活は大丈夫なので、アー写やPVは5人で撮影しました。4人でやったとき、やっぱり寂しかったんで(笑)。
──では、本作『NOnsenSe MARkeT』についてなんですが。前作から3年半。その間、あまりにもいろんな出来事がありすぎたMERRYでしたよね。
ガラ:負の連鎖続きでした。個人的なところでも。そこで見た地獄、それはこのアルバムに反映されていると思っています。そこを経験したからこそ作れた歌詞、曲じゃないかな。
ネロ(Ds):この3年5ヵ月の間、攻めてる時期はいいニュースを発信できたんですが、それと同じぐらいみなさんに心配をかけてしまうことがたくさんあって。“なんで俺らだけこんなことになんなきゃいけないんだ”と。そのときは“神様なんていねぇんだ”と思いました。でも、そんなときこそ、いまの自分たちが出来ることを最大限やるしかないと思って。“いまに見てろよ”と包丁を研いでるような気分で曲作りをしていました。
健一(G):それで、テツさんが怪我して以降もライブをやり続けることを決めて。だからこそ、こういうアルバムにたどり着いたという気がします。
結生(G):テツさんの事故があったとき、バンド活動を止めるという選択肢もあったんですが、あそこで止めてたらもっとドロドロした楽曲が詰まったアルバムになっていたかもしれない(笑)。あそこでMERRYはライブ活動を続けることを選択したので、こういうアルバムになったんだと思います。
──だからなのか、バンドが置かれた状況的には満身創痍だったにも関わらず、楽曲がとにかく小気味いいんです。中盤の「Zombie Paradise ~地獄の舞踏会~」のディスコ、「Carnival」のサンバをモチーフに新しいMERRYのダンスチューンを展開するところとか、気持ちいいですもん。
ネロ:「Carnival」は、ファンのみんなのおかげだと思っています。みんながライブで育ててくれて。
──ライブ同様、アルバム内でもアガるパートになっていますね。
ネロ:なのに歌詞はまったく真逆で怒り狂ってるという。そのコントラストがいいですね。
──健一さんの「暗闇にピンク」も独特で。
健一:これは自分がリード(ギター)を弾いているんですが、すでにライブでやっています。これはちょっとマニアックな話になるんですが、エフェクターを踏み替えるタイミングが上手くいくと、かなり気持ちよくなれるナンバーなんです。
──かなりマニアックですね(笑)。
健一:歌詞の宇宙という視点はいままで無かったんで、そこは新鮮だなと思いました。
──これ以外にもMERRYならではの哀愁レトロやフォークな楽曲も入っていて。
結生:そういうものも自然と出てきました。肩の力が抜けた感じで。あまりにも刺激のある出来事がたくさんあったので、それだけで曲が書けたんです。
──ああ、なるほど。
結生:だから、このアルバムは作ろうと思って作った曲じゃなくて、必然的にできた曲たちで構成できた気がします。歌詞も含めて。だから、1曲1曲がいまのMERRY。ノンフィクション。そういう意味でいうと、俺は1st『現代ストイック』っぽい感触で。いろんなものがごちゃまぜに入っていて、MERRYとはこうですというものに近い。
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