【インタビュー】fhana、今の自分達がイメージする2014年の90年代J-POP「星屑のインターリュード」
『僕らはみんな河合荘』『ウィッチクラフトワークス』『ぎんぎつね』『有頂天家族』など、さまざまなTVアニメの主題歌を担当してきたfhanaが、TVアニメ『天体のメソッド』のエンディング主題歌を担当する。エンディングをイメージして作られたという表題曲「星屑のインターリュード」は、クラシカルながらも鮮やかな4つ打ちサウンドに仕上がった。そんな今作は、自身5枚目のシングルとしても、新たな挑戦となった1枚でもあったという。
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■90年代初期のキラキラしたイメージのJ-POPを意識して作り始めた1曲
■中学生くらいだった頃に聴いていたJ-POPを呼び起こしながら作ってみたんです
──5枚目のシングルとなる訳ですが、表題曲の「星屑のインターリュード」は、TVアニメ『天体のメソッド』のエンディング主題歌として作られていったんですか?
佐藤純一:そうですね。今回は、『天体のメソッド』のエンディング主題歌を担当することが決まってからの曲作りでした。
──「星屑のインターリュード」はダンスミュージックを彷彿させる楽曲であるし、カップリングの「ソライロピクチャー」はバンドサウンドを色濃く感じる楽曲だけど、どちらもどこかクラシカルな雰囲気を持っている楽曲だなと思ったんですが、「星屑のインターリュード」の方はかなりリズミックですよね。
佐藤純一:そうなんですよ。「星屑のインターリュード」は、90年代初期のキラキラしたイメージのJ-POPを意識して作り始めた1曲でもあったんです。『天体のメソッド』の脚本を読ませていただいたときに、ちょっと懐かしい感じもしたので、自分が中学生くらいだった頃に聴いていた90年代初期のJ-POPを呼び起こしながら作ってみたんです。でも、最初にデモを作ったときは90年代初期のサウンドをそのまま再現する形だったんですが、ちょっと古臭いなって感じたので、ベースラインを跳ねたグルーブにしたり、EDMっぽいシンセを入れたり、2014版にアップデートしていったんです。
──なるほど。たしかに、ベースラインとかグルービーですもんね。
佐藤純一:そうなんです!まさに、アレンジし直していったのは、ベースラインでしたね。ブラックミュージックっぽい跳ね感のある音にしていったんです。あとは、ストリングスのアレンジにもこだわりました。最初はアニメソングによく使用されている感じの大きく広い印象で入っていたんですけど、そこをディスコソウルっぽい印象にアレンジを変えてみたんです。歌と歌の間に速いオブリが合いの手的に入ってくるっていうイメージに差し替えていったというか。
──ドラムも今っぽいのかなと。
佐藤純一:ですね。ドラムに関しては、ダブステップっぽい音色をDメロに入れています。シンセサイザーで、EDMっぽい感じの音と4つ打ちのキックに合わせて入れていったり。細かい部分で2014年を意識した音作りをしていったんです。なので、90年代のJ-POPの焼き直しという訳ではなく、“今の自分達がイメージする2014年版の90年代J-POP”っていう楽曲が作り出せたんじゃないかなと思いますね。
yuxuki waga:ギター的には、4つ打ち曲だし、躍れる感じがいいなと思い、ちょっと80'sっぽいカッティングを入れてみたりしました。いままでのfhanaの楽曲の中にはなかった1曲になったんじゃないかな。
kevin mitsunaga:僕は、1つの楽器を担当しているという役回りではなく、その曲にどういう音が必要か? っていうところを見て、そこに音を足していくという作業をする役割りでもあるので、この曲は結構内容的には複雑な1曲でもあったから、どういう音を入れていこうか悩みました。
──なるほど。スタートは“90年代初期のJ-POP”だったけど、そこからどんどん進化していった1曲でもあったんですね。
kevin mitsunaga:そうなんです。さっきリーダー(佐藤純一)が、ダブステップって言ってましたけど、towanaさんのボーカルが一番高くなるDメロのところで、そういう最近のクラブミュージックを連想させる場面も差し込んでいたりするんです。
towana:音域時代はこれまでリリースしてきた楽曲と比べると狭い方だと思うんです。
──でも、すごくキーが高いよね。
towana:ですね(笑)。音域はそこまで広くはないけど、高い部分でずっと歌っている印象の曲なので、高さは強調されているのかも。でも、自分的に低いのがあまり得意ではないなので、この曲のキーはすごく自分に合ってて出しやすいんです。でも、やっぱり、いままでバンドサウンドが中心だったこともあり、4つ打ちサウンドっていうモノにあまり馴染みがなかったので、跳ねたリズムの中に音符を当てはめていくのが難しかったです。
──なるほど。歌詞的には?
towana:歌詞は、毎回、林英樹さんにお願いしているんですが、今回も林さんに書いていただきました。アニメのストーリーにリンクした、とても文学的な歌詞ですごく気に入ってます。英単語がサビ頭に入ってくるというのが、いままでにはないパターンだったので、すごく新しさを感じましたね。でも、私的には、それがすごく90年代のJ-POPっぽいなって感じたところでもあったんです。
──なるほど! 言われてみたらそうだね(笑)。90年代のJ-POPってサビの頭が英語だったりしたもんね!
towana:ですよね(笑)!
yuxuki waga:どっぷり90年代っていうことじゃなく、ところどころに90年代っぽさがあるって感じの1曲になったなって感じです。
──たしかにね。歌詞へのリクエストはあったの?
佐藤純一:先に楽曲を仕上げてお渡ししたんですけど、そのときに、90年代っぽいところを意識して作曲したことを伝えたのと、ストーリー的に文学的な言葉を入れてもらえると嬉しいっていうのはお伝えしましたね。
──だから、小説っぽい言葉使いが多いんだね。
towana:そう。曲調は明るいんですけど、わりと歌詞は攻めてる感じなんですよね。
kevin mitsunaga:けど、わりと悲しげというかね。切ないというか。
towana:そう。明るい曲調なのに、“終わりの日が来る”とか“湖に沈めたの”とかっていう暗いイメージの言い回しが出てくるんですよね。そこのアンバランスさもすごくおもしろかったですね。明るくて、暗くて、でもキャッチーっていう、すごく不思議な1曲だなって思います。
──この曲は、ダブルボーカルですよね。
towana:はい。ツインボーカルで歌うのは、ここ最近ちょっと増えてきています。
佐藤純一:男性パートは僕が歌っているんですけど、まさに、そこも90年代を意識した部分でもあったんですよ。90年代と言えば、小室サウンドですからね。女性ボーカルがメインにきつつ、小室さん(小室哲哉)のコーラスがデッカい音で入るというあの音像がすごく気持ち良かったので、そこをリスペクトしつつ今回入れてみました。
──それはfhanaの定番?
towana:定番という訳ではないんですけど、最近増えてきましたね。
佐藤純一:もともと僕はfhanaをやる前に自分が歌っていたりもしたので、fhanaのインディーズ時代からイロとしてはあってカップリング曲とかではよくやっていたんですけど、ここ最近は表題曲でも増えてきましたね。
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