【インタビュー】VAMPS、アルバム『BLOODSUCKERS』完成「死は永遠のファンタジー」

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VAMPSが実に4年ぶりとなるオリジナルアルバム『BLOODSUCKERS』をリリースする。首を洗って待っているBLOODSUCKERS(※ファンの愛称)の期待を裏切るような作品にはしないという強い意志のもと、じっくり時間をかけて練っていった新作はVAMPSの最新形であり、阿吽の呼吸に達しているHYDEとK.A.Zの美学とセンスが高いレベルで融合した作品となった。

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制作はシングル「AHEAD」から数えれば約1年以上にもおよぶ。ミックスには2週間を費やした。結果、産み落とされたサウンドは、攻撃性といかがわしさとロマンティシズムに貫かれたロックがVAMPSならではの仕上がりだ。楽曲のみならず、アートワークや曲順にもこだわり抜いたアルバムだからこそ、BARKSは収録曲の1つ1つについてじっくりと語ってもらった。難産から解き放たれ、自信作を生んだ2人のリラックスした空気感も含めてお伝えする爆笑につぐ爆笑のロングインタビューをお届けしたい。

■これからステージで演奏していくことによって
■もっと曲の良さが伝わっていくようなアルバムになった──K.A.Z

▲HYDE
──約4年ぶりのオリジナルアルバム『BLOODSUCKERS』は濃い作品になりましたね。神聖な面もありつつ、官能的でもあり、もちろんアグレッシブでワイルドだし。

HYDE:そうですね。ライヴをかなりやっていたので、4年も月日が経った感覚はないんですけれど、早くニューアルバムの曲を演奏したいなと思っていましたね。ただ、VAMPSの流れ的にベストアルバム(世界デビューベスト盤『SEX BLOOD ROCK N’ ROLL』2013年9月25日発表)を出しておきたかったので、オリジナルアルバムとしては間隔が空いてしまいましたけど、その分だけ、“待っていてよかったな”と思えるような作品にしないといけないなって。気合い入れて丹精こめて、K.A.Zくんとじっくり乳くりあいました(笑)。

K.A.Z:アルバムができてホッとしたと同時に、少し時間が経つと客観的に聴けるようになるので、“また、いいアルバム出来たな”って自信にもなりましたね。制作期間が長かった分、いい意味で思い出にもなったし。

HYDE:高校生活で部活に打ち込んで“もっと恋愛しておけばよかったな。でも、いい青春をありがとう”っていう感じなんじゃないですか(笑)。

──ははは。具体的にはいつ頃から曲作りに?

HYDE:シングルを含めると2013年春ぐらいから作っていたんですけど、本格的な部活に突入したのはツアーが終わったあたりだから、年末ぐらいですね。その時点で3曲は完成していたものの、ほかの10曲を10ヵ月ぐらいかけてレコーディングしたので、かなり長い時間をかけてますよね。クオリティの高い作品を作りたいという気持ちはどんどん増しているから。ただ、ツアースケジュールが先に決まっていたので、そこには間に合わせました。部活ですけど、プロは締め切りまでにいい曲を作らないといけないんです(笑)。

──それがプロの仕事ですよね(笑)。クオリティを高めていく上で2人が特にこだわって時間をかけるのは曲や歌詞ですか? もしくはアレンジ?

K.A.Z:それら全てが合わさっていい曲になると思うんですよね。サウンドにしても音の種類がちょっと違うだけで曲の印象が変わってくるし、歌詞の世界にしてもそうだと思う。そうやってこだわってきたことがようやく納得した形になりましたね。生みの苦しみがあって出来た曲をどうやって育てていくかがライヴだと思うし、これからステージで演奏していくことによって、もっと曲の良さが伝わっていくような、そういうアルバムになったと思います。

──先行して行なわれた試聴会でK.A.Zさんは「難産だった」とコメントしていましたが、どのあたりが大変でしたか?

K.A.Z:アルバムを作るに当たっては同じ系統の曲というより変化やヴァリエーションを付けていくんですけれど、3枚目のアルバムになると過去の楽曲もあるわけだから、これまでと違ったものが欲しくなるし、理想とするレベルも求めるクオリティも上がっているんです。例えば自分が昔から聴いてきた音楽は変わらずルーツとしてあるけれど、時代によって音楽は変わっていくから、ちょっとした変化をいかに新しいアルバムに反映させることができるか?とか。そこで煮詰まったりもしたし、曲が出来ないときは全然出来なかったし、そういう意味で難産でしたね。

HYDE:時間をかけることを許してくれるまわりのスタッフに対しても、信頼して待ってくれているファンに対してもありがたいと思いましたね。自分たちでもそういう状況を作ってきたし。じっくり作ればいいものができるとは言い切れないですけど、これだけ待たせておいてつまらないものを出すわけにはいかないんですよね。僕自身も楽しみにしていたアーティストの久しぶりの新作聴いて“待たせておいて、これ?”って思うことがありますもん。

──いちリスナー視点で聴いたときに?

HYDE:そういうときは“これでファンは離れるな”と思うんですよね。そうならないように死守しないと、プロじゃないと思うんですよ。

──ふふ。第2のプロの条件ですね。

K.A.Z:太字にしておいてください(笑)。

HYDE:そこを冷静に見極めることがいちばん重要なんじゃないかと思いますね。アルバムは毎年作れないから、少々、時間をかけてでも高めていかないと。僕自身は客観的に聴いても今回のアルバムはいいと思います。これはヤバいもの作っちまったぜっていう。

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