【インタビュー】KAGERO 萩原朋学「自分の好きな音楽を聴くときって100均のイヤホンでも良いんですよ」
オリジナル・アルバムとしては前作から2年9ヶ月ぶりとなる『KAGERO IV』をリリースしたKAGERO。その間も精力的な活動を続けてきた彼らだけに、久しぶりという印象はない。それどころか、音楽への探求心と凶暴なまでのグルーヴはこの3年間でより研ぎ澄まされていることはアルバムを聴けばわかるはずだ。このインタビューをおこなった後に観た自主企画ライブ<FUZZ'Em All vol.5>でもそれは遺憾なく発揮され、KAGEROの楽曲に言葉が必要無い理由もわかった気がする。今回はリーダーの白水悠抜きの3人にアルバムの制作過程を訊いてみた。貴重な編成でのスペシャル・インタビューをお届けしたい。
◆KAGERO 画像
◆基本的に“太く・短く”やりたいっていうイメージがあるといえばあるんですよ、今も。
ユルく永くやっていたいバンドだとは思っていないので。
──『KAGERO IV』は2年9ヶ月ぶりとはいうものの、アルバム自体はベスト・アルバム『KAGERO ZERO』、カバー・アルバム『Beast Meets West』も出しているので作品としてはコンスタントに出していますよね。しかもベスト盤は新録、カバーもほとんどオリジナルのような作品でした。
萩原朋学(Dr):確かに、カバーだベストだっていう意識はなかったですね。僕は今回初めてなんですよ、このバンドでオリジナルを録ったのが(萩原は2012年4月に正式加入)。でもやっぱり形として残したのは3枚目だから。そんなに“満を持して”という感じではないですね。ペースは変わってないですし。
佐々木“RUPPA”瑠(Sax):そうだね、年一で出していこうという感じで。それがオリジナル・アルバムなのか、カバー・アルバムが良いのかというのはその時々というか。丁度アメリカに行くというのもあって、そういうのを加味しつつ色んな曲をやってみて。メンバーが変わって“どんなのが得意なのか実験”があったと思うんですよね。ベストを出すときにちょっとアレンジを足して行ったりとか、カバーをやるときに、このリズムはどんな感じでやれるのかな? とか。ゼロから作るよりもいじるときの方がわかりやすいじゃないですか?
──そうですね、元の曲があるぶん。
RUPPA:「これはそのままやってみよう」とか、「割と変わるね」とか、「これはそのまんまになっちゃったから変えないとな」とか。そこらへんで色々こねくり回しているうちに、出来ること出来ないこと、やりたいものが出てくるっていう。そんな感じでやってましたね。
──USツアーでのお客さんの反応はいかがでしたか?
菊池智恵子(Piano):サークル・モッシュしてました。めっちゃ嬉しかったです。日本でもみんなやってくれれば良いのに。
萩原:お客さんはやっぱりわかりやすいというか、本当に興味ない人は観ないんだっていう。
菊池:興味ある人は“ワァ~”ってね。
RUPPA:周りの人の様子を見る人がいないよね。サークルが出来たって、全員がそこに入っているわけじゃないし。
萩原:でも各々全力出してる感はあるよね(笑)、見てると。だからそれは凄くこっち側はやってて気持ち良かったですね。
RUPPA:様子を見てる時間が少ないんだよね。始めたらすぐ乗るっていう。
萩原:ああ、そうだね。本当に最初の1曲目の半ばくらいでジャッジを決めてるみたいな。興味がなかったらそのままバーカウンターにいるし。たぶんそういう人はその後も来ないよね。もうアンテナ閉じてる気がする。
菊池:チャージが安いから、5ドルとかなんでパッと飲んでパッと帰りやすいっていうのもあるかもしれない。
──KAGEROとしては初の海外ツアーだったわけですけど、ちなみに今年は結成から数えると10周年なんですよね。
RUPPA:ははははは!まずいよね(笑)。
──あまり意識していないですか(笑)?
RUPPA:いや、一応白水とちょっとだけ話したんですけど。「なんかやる?」って。たぶん2005年の3月にライブを始めてるんですよ。同時期に始めてるバンドもいくつかあって、今年10周年ライブをやったりしてて、懐かしいお客さんが来てくれたりとかというのもあったんで。悪くないなというか、節目として一個やっとくのもありかなとは思ってたんですけどね。まあそのときは「名前が付けずらいツアーがあったら10周年って付けとこう」くらいで話が収まったんで(笑)。でもこんなに続くと思わなかったんで、不思議といえば不思議です。
──世の中何かにつけて「○○周年」とイベントに付けることが多いのでKAGEROはあんまりそういうことをやらないのかな、と思ったんで。
RUPPA:基本的に“太く・短く”やりたいっていうイメージがあるといえばあるんですよ、今も。ユルく永くやっていたいバンドだとは思っていないので。
萩原:うんうん。
RUPPA:それが10年やれたのはそんなに太くなかったのかなと(笑)。まあそんなこともないと思うしそれはそれで悪くはないことだけど、別に10年経ったから自分達で終わりにしようと思うわけじゃないですしね。
◆インタビュー(2)へ
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