【インタビュー】サンサナー、ポップスと民謡の融合が耳に心地よいネオ沖縄ポップス『サンサナー4(ユーチ)』
サンサナーは2010年に沖縄で結成された女性3人組のユニット。沖縄音楽をベースにしながら、ポップスの要素も加えた彼女達の音楽はネオ沖縄ポップスと呼ばれ、作品をリリースするたびに進化し続けている。7月23日にリリースされた『サンサナー4(ユーチ)』は、沖縄の景色が浮かぶような夏にピッタリの5曲を収録。BARKS初登場となる彼女たちに、ルーツ等も含め、作品について聞いた。
◆サンサナー~拡大画像~
■一人は真っすぐ唄うけど一人は波があり一人は思いっきりコブシを効かせる
■3人の声が一つになったときに、この3人でしか出せない雰囲気っていうのがある
──まずは自己紹介を兼ねて、それぞれのルーツを伺いたいと思います。アイさんは小学生から琉球舞踊を習っていたんですね。
アイ:沖縄で琉球舞踊は伝統芸能なので、小さい頃から習っている人は多いんです。私の場合、母親がやっていたんですが、満足いくまで琉球舞踊ができなかったので、娘に託したという感じですね。
──高校時代からはヒップホップダンスも始めたんですよね。
アイ:ちょっとジャンルを飛び越えてみようかなと(笑)。始めたのは姉の影響なんですけど。興味を持つことって、家族から刺激を受けてということがすごく多いですね。
──好奇心旺盛ですね。ユリエさんもお母さんの影響で民謡を始めたとか。
ユリエ:はい。2歳から。母は沖縄で大御所の方のバックでコーラスをやっていたんです。ステージで唄う母の姿を舞台袖でもずっと見てきたし、家でもずっと母の歌を聴いてきました。始めた頃は、カラオケとか誰かに演奏してもらわないと唄えなかったので、10歳の時に自分で三線を弾いて唄いたいと思って、お師匠さんについて習うようになって、今に至るという感じです。
──アーサさんは沖縄出身ではなく、もともとは大阪なんですよね。
アーサ:はい。沖縄はまったく関係ない、純粋な関西人です。
──でも、沖縄に移住してしまった。
アーサ:きっかけは大学進学だったんです。沖縄県立芸術大学で琉球芸能を専攻して。
──そもそも沖縄県立芸術大学を選んだのは?
アーサ:これが、めちゃくちゃ不思議な話なんです。実家の近所に沖縄料理屋さんがあって、そこで両親と私の進学について話をしてたんです。そうしたら、隣の席の知らないおじさんに肩を叩かれて、「君は沖縄の芸大に行くべきだ!」って言われて。大学のことも何も知らないのに「ハイ!」って、導かれるように決めてしまいまして。
──もともと沖縄が好きだったの?
アーサ:いえ(笑)。まったく関係なくて。ただ、ずっとお三味線をやっていたので、お三味線が三線に変わったという。
──似ているけど、ぜんぜん違うでしょう?
アーサ:違いますね。でも、同じ三弦なので感覚は変わらずです。
──沖縄民謡はユニゾンで唄いますが、息を合わせるために3人ならではの工夫はありましたか?
ユリエ:工夫というのは特になかったんですが、最初は個性もわからなくて。1stアルバムを作ったときに、プロデューサーから「君はこういうタイプだよ」っていう話はされました。一人は真っすぐ唄うけど、一人は波がある、一人は思いっきりコブシを効かせるとか。2ndあたりからそういう個性を意識するようになりました。3人の声が一つになったときに、この3人でしか出せない雰囲気っていうのがあるんで、合わせるのはバランスとタイミングだけですね。
アーサ:ニュアンスは合わせるんですけど、あとは好きなように唄っています。あと、私たちはネオ沖縄ポップスなので、ハモリもやるんですよ。最初はユニゾンだけでやってたんですけど、前作のアルバムからハモりをするようになったんです。
ユリエ:本当は最初からやりたかったんですけど、「お前達はちゃんとした音がとれてないし、バラバラだから!まずは合わせろ!」って言われて(笑)。
アイ:まだ早いって言われたんだよね。
──それでようやく最近はハモりが入ったと。っていうことは、最新作の『Sansanar4』には、やりたいことを詰め込むことができた?
アーサ:はい。詰め込めました。「サンサナー」っていう名前は沖縄の方言で「蝉」という意味なんですが、これから夏本番ですよね。今までの作品も夏をイメージして作ってはいたんですけど、今作はさらに夏の一枚になりました。
──「ちゅらさちゅさ」は、聴きながらカチャーシーを踊りたくなるような一曲ですよね。
アーサ:私たちの曲を聴いて、沖縄を知ってくれたり、好きになってくれたり、行きたいなと思ってくれたらいいなって思いながら曲を作っているので、そう言っていただけると嬉しいです。
ユリエ:三線はとても苦労しました。民謡とか古典とかの枠を越えた弾き方をするので、今までの基礎や基本は、全部一回頭から抜かなければいけないんですよ。それがとても大変で。三線じゃないものとして挑まなければいけないので、最初はその違和感がすごくて。ポップスの要素が入ることで、今まで使ってなかった音がバンバン入るんです。新しいことを始めるのって難しいことなんだなぁと思います。でも弾いてて楽しかったです。難しいことほど楽しい。簡単に弾けちゃったら面白くないんです。難しいからこそ頑張ろうって気になりますから。サンサナーの曲を三線で弾けるようになりたいって言う人がいるんですけど、「楽譜を書いてもらえませんか?」って言われても、「書けません!自分で頑張ってください!」っていうくらい。コピー出来たら、あなたは素晴らしい!グンとレベルが上がった曲になっています。
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