【ライヴレポート】MUCC、[Alexandros]を迎えた<ARMAGEDDON>で「ナイスガイなやつら」
MUCCが2014年3月より、全55本におよぶライヴプロジェクト<SIX NINE WARS –ぼくらの七ヶ月間戦争->を開催中だ。七ヶ月間連続で毎月異なる全6種類のツアーを各9公演ずつ行なっていくこのプロジェクトは、8月から毎公演ごとにビッグネームを迎えた2マンツアー<Episode 6.「ARMAGEDDON」>へ突入。その初日が8月6日、Zepp Nagoyaにて開催された。この日の名古屋は気温36度を超える真夏日。夕暮れ時には一時雷が鳴り響いたが、会場内にはそれをも凌ぐ嵐のような爆音が渦巻くことになった。
◆MUCC×[Alexandros] 拡大画像
<Episode 6.「ARMAGEDDON」>オフィシャルサイトで発表されているタイムスケジュール通り、ライヴは[Alexandros]のステージからスタートした。開演予定時刻の午後6時30分に場内が暗転、オープニングSEが鳴り響くと、ステージ上の配置に着いたメンバーたちがSEを受け継ぐように演奏し始めたのは「Burger Queen」だった。「初めまして、[Alexandros]です。よろしく! 準備はできてるか!? 最高の夜にしようぜ」というヴォーカル&ギター川上洋平の煽りに続いて、オープニングナンバーにして最新両A面シングルの「Droshky!」へ。弦楽器隊のユニゾンリフによる音圧が凄まじい。刺激度の高いグルーヴに支配された同曲から続けざまに披露された「Stimulator」「Waitress, Waitress!」といった序盤の3曲は、まさにライヴで盛り上がらずにはいられないナンバーの揃い踏み。現在、各地の夏フェス出演を重ねる彼らのサウンドが、ここZepp Nagoyaを大きく揺らしていく。
「改めまして、[Alexandros]と申します。今日はMUCC先輩との対バンに呼んでいただいて本当に感謝しています。今回の対バンツアーのラインナップでは、一番異色だと自覚しているんですけど、“音楽”の前ではそんなことは関係ないので、今日はよろしくお願いします。もうちょっと音楽していいですか!」との川上の言葉に、一際大きな歓声と拍手が会場を包み込んだ。
事実、彼らのステージは、インターにMETALLICAの「Master Of Puppers」を豪快に挟んだ「Cat 2」や、ギターのメタリックな16ビート刻みとバスドラムの連打がカオスを演出した「Kick&Spin」など、このバンドだからこその濃厚な”音楽”が絶えず狂騒の空気感を伴いながら転がり続けた。
「お話をいただいたときから、“対バン”というよりも“対決”な空気が漂っていてですね(笑)。我々もやるからには対決するつもりで挑んでますけど、寛大なんだよね、MUCC先輩は。持ち時間が同じなんですよ。なかなかないことですよ、すごいことです。通常はメインのアクトのほうが時間が長いんですけど……もうホントにガチンコじゃないですか(笑)。そういうバンドは本当に好きで」と賛辞を贈った川上は、普段はワンマンでしか演らないという「Travel」を披露して、彼ららしくサウンドでMUCCと全観客へ特別なサプライズを。
怒濤の後半は、ギターとベースの異なるリフの絡み合いが極上の高揚感を描く「Kill Me If You Can」、キレ味鋭い各パートのアンサンブルが小気味いい「city」、ヴォーカルの旋律とギターフレーズが美しくユニゾンする「Starrrrrrr」で一気に駆け抜けた。ラストナンバーは「Adventure」だ。「またいつか、我々のライヴにお招きしたいと思っています」と告げて演奏された同曲では、会場を一体にするシンガロングが響き渡る。MUCCに対する敬意と音楽による真剣勝負に溢れた約1時間10分、全11曲の[Alexandros]によるステージが終了した。
こうした[Alexandros]の躍動的にして綿密な音の余韻が残るなか、セットチェンジを経て場内が暗転した。SATOち、YUKKE、ミヤ、逹瑯が配置につき、グリーンのレーザーに照らされた会場に逹瑯が「名古屋。始めよう」と静かに呼びかけると、瞬時にして空気がMUCC色に染め上げられる。
<Episode 6.「ARMAGEDDON」>はまだ始まったばかりゆえ、具体的な演出やセットリストについて、ここでは触れないでおきたい。が、このツアーは、最新アルバム『THE END OF THE WORLD』収録曲を中心に行われた<Episode 5.「THE END OF THE WORLD」>とも、乱入を含む3バンドの共演が見どころとなった<Episode4.『TRIANGLE』>とも、暴れまくれる曲に特化した<Episode 3.「Thanatos & Thanatos」>とも、また大きく異なるMUCCを堪能することができる。
それも、ビッグネームとの連戦となるARMAGEDDON=最終決戦だけに、セットリストには万全のものが組まれていた。さまざまな時代の多種多様なテイストを持つナンバーたちが散りばめられていたことはもとより、特筆すべきは、それらがいわゆる集大成的な空気感ではなく、今の4人が鳴らすヘヴィで胸を射貫かれるような切れ味を伴うものだったということ。ひとつだけ例を挙げるとすれば、ステージ初披露された9月10日リリースのニューシングル「故に、摩天楼」は、それらナンバーの中に入ってもまるで慣れ親しんだ楽曲であるかのような錯覚を覚えるほどマッチしたものであり、その事実は、<Episode 6.「ARMAGEDDON」>が彼らの現在進行形そのものを映し出した、と言い換えることもできるはず。
また、YUKKEがアップライトベースを手にした数曲は特殊なベースサウンドが印象的な一方で、各々の楽曲テイストはまったく異なっており、そのアンサンブルの巧みさが際立つものとなっていた。マニアックな話だが、個々のプレイやサウンドメイクの多彩さは、彼らの楽曲表現になくてはならぬもの。つまりは見どころ/聴きどころに事欠かないというわけだ。
そしてこの夜、新たなツアー初日特有の堅さなどが微塵も感じられなかったことも印象深い。それは、ライヴプロジェクト<SIX NINE WARS –ぼくらの七ヶ月間戦争->として数えれば、トータル46本目という驚くべき本数を経ているからかもしれないし、[Alexandros]のあまりにも熱量の高いステージが彼らのハートに火を点けたからかもしれない。たとえば[Alexandros]への感謝は、逹瑯のMCひとつとってみても明らかだった。
「[Alexandros]のメンバーは初対面なんですけど、すごくナイスガイなやつらで。この夏のクソ忙しい時期に、こんなわけわからないバンドのオファーに(笑)、ふたつ返事でOKしてくれたんだよ。本当にインテリジェンスのあるメンバーさんたちでね。これからも仲良くさせてもらいたいと思います。初めての[Alexandros]のファンもありがとうございました」──逹瑯
MUCCのステージは[Alexandros]と同じく、約1時間10分の熱演にて最終決戦の第一夜が幕を閉じた。開演前の緊張感はステージが終わる頃、笑顔が似合う夜に姿を変えていたようで、この日の2バンドによる打ち上げはかなり良い感じに盛り上がったとのこと。次の公演は8月9日(土)の新木場STUDIO COAST。対バン相手は氣志團だ。
なおBARKSでは、このステージ直前に逹瑯と川上洋平の対談取材を行っている。その模様は後日掲載するほか、詳細ライヴレポートも改めて公開する予定だ。
取材・文◎BARKS編集部 梶原靖夫 撮影◎瀧本行秀
<Episode 6.「ARMAGEDDON」>
2014年8月6日@Zepp Nagoya
[Alexandros]セットリスト
SE~「Burger Queen」
01.Droshky!
02.Stimulator
03.Waitress, Waitress!
04.Run Away
05.Cat 2
06.Kick&Spin
07.Travel
08.Kill Me If You Can
09.city
10.Starrrrrrr
11.Adventure
MUCCセットリスト
※後日掲載予定
■<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Episode 6.「ARMAGEDDON」>毎公演異なるアーティストとの2マンTour
2014年8月06日(水) Zepp Nagoya VS [Alexandros]
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月09日(土) 新木場Studio Coast VS 氣志團
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月17日(日) 京都KBS HALL VS GRANRODEO
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月19日(火) Zepp Namba VS BUCK-TICK
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月20日(水) Zepp Namba VS シド
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月22日(金) 川崎CLUB CITTA' VS D'ERLANGER
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月24日(日) 大阪城野外音楽堂 VS ゴールデンボンバー
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月26日(火) Zepp DiverCity VS MICHAEL
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月28日(木) 恵比寿LIQUIDROOM VS geek sleep sheep
OPEN 17:30 START 18:30
■<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Final Episode「THE END」>
2014年9月23日(火・祝) 国立代々木競技場第一体育館
前売券¥5,569(税込) 当日券¥6,500(税込)
※全席指定、3歳以上のお子様はチケットが必要です。
チケット一般発売日:2014年8月2日(土)
◆SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- 特設サイト
◆チケット詳細&購入ページ
◆MUCC オフィシャルサイト
◆[Alexandros] オフィシャルサイト
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