【インタビュー】デススターズ「地球は“デス・スター=死の星”になる。日本もターゲットのひとつだ」

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スウェーデンのインダストリアル・ゴシック・メタル・バンド、デススターズが4作目となるニュー・アルバム『ザ・パーフェクト・カルト』を発表した。彼らのダークな美学が貫かれたこの新作は、“完璧なカルト宗教”というタイトルが示唆するように、バンドの信奉者を世界規模へと広げていく可能性を持った危険なアルバムだ。

◆デススターズ画像

ボーカリストのウィップラッシャーが、新作について語ってくれた。

──約5年ぶりのニュー・アルバムを完成させた今の気分はどんなものですか?

ウィップラッシャー:『ザ・パーフェクト・カルト』はバンドにとって新章の始まりなんだ。新しいメンバーも加わって、とても新鮮な気持ちだよ。デススターズはアルバムごとに毎回3年以上インターバルを置いてきたから、決して長い時間がかかったわけでもない。2枚目のアルバム『ターミネーション・ブリス』(2006年)のとき、アルバムを作るのを急ぎすぎた経験があったんだ。それを反省して、自分たちが納得いかない形で作品を出すことは避けてきた。『ザ・パーフェクト・カルト』でも妥協はしなかった。楽曲とプロダクションに100%満足するまでは、出すつもりはなかった。だから自然と、アルバムごとの間隔が拡がってしまうんだ。


──アルバムの制作はいつ頃から始めましたか?

ウィップラッシャー:もう3年前、ロサンゼルスで始めたんだ。ただ、その時点ではまだアルバムを作るだけの新曲が揃っていなかったし、時期尚早だと思った。その後、ラムシュタインとの5ヶ月のツアーもあったし、あまり進展がなかった。ツアーを終えてから本腰を入れて、曲を書き始めた。その中から厳選したのがアルバムの全10曲なんだ。俺とナイトメア(G)が書いた曲のうち、アルバムに入るのは5%程度だ。だから200曲ぐらい書いたんじゃないかな。でも、ベストな曲以外はアルバムに入れたくなかった。「まだ収録時間があるんだし、もっと曲を入れれば?」という意見もあったけど、そういうものではない。アルバムは単に曲を並べたものではなくて、流れと起承転結がある。良い曲であっても、アルバムに居場所がなければ、ボツにせざるを得ないんだ。


──『ザ・パーフェクト・カルト』の曲作りの作業はどのようなものでしたか?

ウィップラッシャー:基本的な過程は、いつもと同じだよ。俺とナイトメアは子供の頃から友達で、もう20年間ずっと一緒に曲を書いてきた。デススターズ以前のソードマスターというバンドでもそうだったし、『ザ・パーフェクト・カルト』でもそうだった。このアルバムでは、すべてドラム・マシンを使ってレコーディングしたんだ。ドラマーのボーン・W・マシーンも腕を怪我して、ツアーで叩けなくなったし、人生にいろいろ変化があったことで、バンドを脱退することになったからね。全編ドラム・マシンで作業するのは、とても効果的だった。それにニューヨークやロサンゼルス、ストックホルムでレコーディングするにあたって、大勢の人間が移動しなくて済むというのは経費面でも助かったよ。ただ、デススターズは根本的にロック・バンドだし、ツアーではドラマーを起用する。新加入のヴァイス・リーンダーは最高のドラマーだよ。


──ドラム・マシンを使ったことで、デススターズの個性のひとつであるインダストリアル的な要素が強調されたのでは?

ウィップラッシャー:デススターズを結成してからビートを強調するようになったし、ギターでなくピアノやシンセサイザーで曲を書くようになったことで、インダストリアルに接近したかも知れない。『ザ・パーフェクト・カルト』は全曲キーボードで書いたよ。ただ、インダストリアル・ミュージックからはほとんど影響されていないんだ。ナイン・インチ・ネイルズやKMFDMには敬意を持っているけど、彼らのコピーをしようとは考えていない。ラムシュタインについては、もちろん模倣はしないけど、デススターズが彼らと比較されるのは、理解できるんだ。ヘヴィなギターとエレクトロニクス、それから歪んだユーモアが共通しているからね。彼らとはツアーもしたし、友達だよ。

──アルバム制作前にギタリストの片割れキャット・カジノが脱退しましたが、後任は入れずに、4人でやっていくのでしょうか?

ウィップラッシャー:うん、ライブでもサポート・ギタリストは起用せず、4人編成でやっていくつもりだよ。キャットの代わりになるギタリストはそういないし、彼が脱退した後、何度かフェスティバルで4人編成のショーをやって、大丈夫だと確信した。将来的に新しいメンバーを加える可能性はあるけど、それには演奏能力はもちろん、人間性も重視する。一緒に世界中をツアーするんだから、友達でなければやっていけないよ。

──ツアーの予定を教えて下さい。

ウィップラッシャー:9月にロシアから始まって、ヨーロッパを回る。それから初めて本格的なアメリカ・ツアーをやるんだ。これまでは正直、アメリカについては消極的だった。毎晩、小さなクラブで3人の前でプレイすることになるから金を損するだけだと思っていたんだ。でも『ザ・パーフェクト・カルト』の前評判もなかなかだし、そろそろ機が熟したんじゃないかと思ってね。さらに南米やオーストラリア、日本を含むアジアもツアーしたいと考えている。日本については、良い噂ばかり聞いている。イン・フレイムスのみんなも、日本は最高だって言っていたよ。だから日本も当然、俺たちのターゲットのひとつだ。地球は“デス・スター=死の星”になるんだ。

──デス・スターといえば映画『スター・ウォーズ』ですが…。

ウィップラッシャー:実はデススターズというバンド名は、『スター・ウォーズ』のデス・スターから取ったものではないんだ。“死”と“ロック・スター”という2つの要素を会わせたバンド名なんだよ。でも我々の世代の誰もがそうであるように、俺たちも『スター・ウォーズ』は大好きだ。ただ、『エピソード1』から『3』はCGに頼りすぎで、あまり好きじゃなかったけどね。『エピソード7』は大道具やロケが多いと聞いているし、すごく期待しているよ。映画のデス・スターはもう爆発してしまってないから、必要になったら俺たちに声をかけて欲しいな(笑)。

取材・文:山崎智之


【メンバー】
ウィプラッシャー(ボーカル)
ナイトメア(ギター&キーボード)
スキニー(ベース)
ヴァイス(ドラムス)

『ザ・パーフェクト・カルト』デススターズ
2014年6月11日発売
CD ¥2,300+税
1.エクスプロード
2.ファイア・ガロン
3.オール・ザ・デヴィルズ・トイズ
4.ゴースト・リヴァイヴァー
5.ザ・パーフェクト・カルト
6.アスファルト・ウィングス
7.ボディズ
8.テンプル・オブ・ジ・インセクツ
9.トラック、クラッシュ・アンド・プリヴェイル
10.ノイズ・カッツ
11.オール・ザ・デヴィルズ・トイズ(8-bit ヴァージョン)
12.エクスプロード(リミックス)
13.テンプル・オブ・ジ・インセクツ(リミックス)
14.エクスプロード(インストゥルメンタル)[日本盤限定ボーナストラック]

◆『ザ・パーフェクト・カルト』デススターズ・オフィシャルサイト
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