【インタビュー】ダーティ・ループス、カヴァー曲の秀逸なアレンジと超絶テクを誇るスウェーデン王立音楽アカデミー出身の新世代バンドが堂々のデビュー

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YouTubeでアデルやジャスティン・ビーバー、果てはレディー・ガガの楽曲までを独自のアレンジでカヴァーすることで注目を集め、数々のアーティストを手掛けたデイヴィッド・フォスターの目にとまりデビューが決まったという3人組、ダーティ・ループス(Dirty Loops)。全員がスウェーデン王立音楽アカデミー出身という音楽エリートでありながら、アヴァンギャルドとも思えるアレンジに各々のプレイヤーとしての力量を存分に注ぎ込んだデビュー・アルバム『ダーティ・ループス』は実に個性的だ。プロモーションとショーケース・ライヴのために来日したときに敢行した、彼らの姿に迫るロングインタビューをどうぞ。

■ライヴのブッキングをするためにビデオを撮ってYouTubeにアップした
■それがここまで注目されるとは思わなかったので凄く嬉しい


――みなさんはレコード会社への売り込みをせずにYouTubeで有名アーティストの曲をカヴァーすることで注目を集めたということなんですが、どんな理由があったんですか?

ヘンリック(B):もともと、結成してからライヴのブッキングをするために、自分達がこんな音楽をやっているかということを見てもらおうとビデオを撮ってYouTubeにアップしたんだ。それがここまで注目されるとは思わなかったので凄く嬉しい。

――ダーティ・ループス結成の経緯を改めて教えてください。

ジョナ(Vo、Key):それぞれがセッション・ミュージシャンとして活動していたんだけど、セッション・ミュージシャンは「こういう風に弾いてくれ」とか制限が多いんだよね。そこからの逃避ではないんだけど、自分達が音楽的にやってみたいことに挑戦できたり、楽しんで演奏できる場を作りたくて3人で集まったんだ。

――全員がスウェーデン王立音楽アカデミー卒業ということですが、アカデミーにはポップスやロックを学べる学科ってあったんですか?

ヘンリック:うん、実は最初はジャズかクラシックで入らなければいけないんだ。ただ2年生からは自分で課題を作って、よりファンクなことやポップなことをやりたいと言えば、より見合う先生に学べて、それによって単位も取れるんだよ。だから比較的自由な教え方をしてくれていたね。ただ、入るまではちゃんとした基礎ができないと入学できなかったけどね。

――お互いをプレイヤーとしてどう思っていますか?

ジョナ:ヘンリックは一緒に演奏していてとにかく楽しいんだ。音楽に対して凄くオタク的で、細かいところにこだわったり、みんなが知らないようなことを引っ張り出して来たり、コードやハーモニーの付け方にもこだわってる。しかもそれをいかに完璧にしていくのかということも含めて、結構自分と似ているところがあるから楽しいんだよね。アーロンはリズム感が自分と合うし、世界で一番好きなドラマーだね。

ヘンリック:ジョナとは同じものを目指しているんだけど、そこで使うテクニックが違うというか。彼は耳で音楽を覚えて理論的に分解していくんだけど、逆に僕は理論的に入って耳で確認して行く方なんだよね。彼の音楽へのアプローチが刺激になってる。それとなんといっても歌が上手いしね。アーロンとは2人で何時間も一緒に演奏して培った結束があるので、僕たちが作り出すグルーヴというのは他の人とは違うし、今では暗黙の了解でできているよ。

アーロン(Dr):ジョナにしてもヘンリックにしても、不可能は無いって感じさせてくれるんだよね。コードの作り方や選択にしても、いつも驚かされるんだ。それくらい才能があるんだなと思うことが多いね。

――メンバー同士、尊敬しあえる関係なんですね。

全員:うん、そのとおりだね。

――ヘンリックは6弦ベースをプレイしていますよね?プレイヤーとして影響を受けている人はいますか?

ヘンリック:特定のプレイヤーが弾いていたから6弦にしたわけじゃないんだけど、ハーモニーを出すために、弦が多い方が色々な弾き方ができるということに可能性を感じて、若い頃から6弦を弾いていたんだ。6弦を使ってみて4弦に戻る人もいるけど、僕はずっと6弦ベースに夢中なままだね。今は7弦ベースも弾くけどね。

――ジョナはボーカリスト・キーボーディストとして影響を受けた人はいますか?

ジョナ:歌の方だとスティーヴィー・ワンダーとブライアン・マックナイトだね。キーボードはパット・メセニー・グループのライル・メイズ。あとはチック・コリア。それとロシアのピアニスト、ニコライ・カプースチンかな。

――どちらかというと、ジャズやフュージョン系の人からの影響が大きいんですね。

ジョナ:うん、そうだね。

アーロン:僕はジェフ・ポーカロ、イエロー・ジャケッツのウィリアム・ケネディ、デイヴ・ウェックル、サイモン・フィリップスが好きなドラマーだね。

――デビュー・アルバム『ダーティ・ループス』(原題『Loopified』)に収録の「ヒット・ミー」や「サヨナラ・ラヴ」は80年代のマイケル・ジャクソンのようなテイストを感じさせます。

ヘンリック:うん、みんなマイケル・ジャクソンは大好き。あとはもしかしたらデイヴィッド・フォスターの作ってきた作品からの影響があるかもしれない。

――デイヴィッド・フォスターとの出会いがダーティ・ループスにとって大きかったようですが、彼からはどんな評価を得ましたか?

ヘンリック:初めて会った時に、「ぜひ君たちと契約したい。僕以外と契約したら君たちはバカだ」って言われたよ(笑)。

――デイヴィッド・フォスターは実際に会ってみたらどんな人物でした?

アーロン:凄く面白い人だよ(笑)。

ヘンリック:仕事もしやすいし、自分のアイデアを持っているけど人の意見も聴く懐の深さがあるから、とても建設的な話ができた。成功するのは当然だなっていうのが彼の人柄からも伝わってきたよ。

――彼から新しいアイデアを得て作られた曲はどんなものがありますか?

ヘンリック:「ヒット・ミー」だね。アルバムで一番最初に、自分達のサウンドの方向性が見えない中で手探りしてアレンジをした曲なんだ。基本はあまり変わってないんだけど、サビがもっとストレートでポップだったんだよね。でもそれを聴いたデビッドが「これじゃあ全然君たちらしさが出てないから、もっと自分達らしさを加えなくちゃ駄目だ」って言ってくれて。もっとひねりを加えて遊ばなきゃ駄目だって。その結果この曲ができたんだけど、それが今回のアルバムの大きな突破口になったんだ。

◆インタビュー続きへ
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