【インタビュー】PENICILLIN、3年ぶりのオリジナルアルバム完成「今も3人で遊んでいる感覚で曲を作っているのかもしれない」
途切れることのない衝動と好奇心。結成22周年を迎えたPENICILLINの3年ぶりのオリジナルアルバムが完成した。タイトルは『瑠璃色のプロヴィデンス』だ。シングル「幻想カタルシス」で昭和の歌謡曲をカバーしたこと、ダリの絵画にインスパイアされたことなど、さまざまなファクターが現在の彼らを突き動かし、最も新しいPENICILLINと初期PENICILLINをかけあわせたような刺激的かつキャッチーな全10曲の楽曲たちが生まれた。リスペクトしあい、お互いの感性を面白がれる3人の関係性が変わらないからこそ、キラキラした輝きは曇ることがない。後輩のミュージシャンに影響を与え続ける究極のアンチエイジングバンドここにあり。アルバムについてメンバー3人が語る。
◆PENICILLIN 拡大画像
■初期のアルバムは日本人ならではの感性が自然と出るといいなと思っていた
■今回もそういうアルバムを自然な流れで作った気がします──HAKUEI
──3年ぶりのオリジナルアルバム『瑠璃色のプロヴィデンス』は激しい曲も含めてメロディが立った曲が多くて、今のPENICILLINと初期のPENICILLINが融合したような印象を受けました。アルバムを作るに当たって、メンバー同士で話したことはありました?
O-JIRO:2013年の秋にリリースしたシングル「幻想カタルシス」のカップリングで昭和のヒット曲(中森明菜、大橋純子、高橋真梨子)をカバーしたんですけど、懐かしくて切ないメロディとPENICILLINのサウンドをかけあわせてみたら、すごくしっくり来たので、アルバムもそういう雰囲気が漂うものにしたいねっていう話はしましたね。
HAKUEI:日本の音楽の良さとか日本人ならではの感性が自然と出るといいかなって。カバーしてみて、いろいろ再認識したところがあって、昭和生まれだし、染みついているものってあるんだなと思ったんですよね。
──じゃあ、選曲もメロディを重視して?
HAKUEI:ボツ曲なかったですね。
──100発100中ですか。
HAKUEI:たぶん、メロディを意識して各自が書いてきたから、ハズれたものがなかったんだと思いますね。あと、ある程度曲が出揃ってから千聖くんが激しい曲を書いたりとか。
千聖:1曲目のバラード「少年の翼」もだいたい曲達が出そろってから、あ、バラードもいるなって思って書いてきましたね。激しい曲「記憶の固執」は最後の最後にスタジオのブースで、ギター片手にみんなの前でリフを弾いてみせながら作りあげました。
HAKUEI:さっきテーマについて話しましたけど、PENICILLIN初期のアルバム『Missig Link』(1994年)は自然とそういうことを考えて曲を作っていたような気がするんですよ。当時の僕らの音源を聴いていて、今、ミュージシャンになっている人たちと話す機会があると「激しい曲なのにメロディックなところが好きだった」って言われるんですけど、今回もそういうアルバムを自然な流れで作った気がしますね。原曲の段階でメロディラインがしっかりしていて、全体的にシンプルなアレンジの曲が多いのかなって。表と裏の拍を逆にしてみたりするトリッキーなこととかそんなにやってなくて、気持ちよく聴けるアプローチというか、ストレートでソリッドな方向に行った気がしますね。
──ストレートなアレンジということもあるのかもしれないけど、歌詞が届いてくる曲が多いので、ヴォーカリストとして意識したこともあったのかな、と。
HAKUEI:歌に関しては自分の中でしっかりイメージを作りこんでからレコーディングに臨みました。自分のコンディションをいい状態に持っていって、身体も喉もベストな状態の間に録りきるっていう。
千聖:HAKUEIくんは曲を覚えるのも早いんですよ。特にO-JIROくんの曲はメロが複雑な時があるから大変だと思うんですけど、曲出ししたプリプロの日に仮歌詞に合わせてすぐにバーって歌っちゃう。
O-JIRO:初見に近い感じで譜面もない状態で歌ってもらうんですよ。1日、6曲とか7曲とか。
千聖:やっぱりプロは違うなって(笑)。
──確かに凄い。でも22年も一緒にやってるんだから、プロって(笑)。
千聖:ははは。自分のギタープレイに関しては申し訳ないけど、あんまり記憶がないんだよね。
──はは。記憶がないって。カッコいいなぁ。
千聖:今、ツアーリハ中なんだけど「快感∞フィクション」っていう曲なんて改めて弾いてみると、こんな速いギターリフ弾いたっけ?って(笑)。意外とノリ一発なときもあるんだよね。でも家で作ったときから、ちゃんと弾いてあったから、やっぱりオレは天才なんだなって(笑)。「ファンタスティックファンタジー」とか「プリンセスアカデミー」とかもスタジオで原曲聴かせてもらって、その場でギターフレーズ作ったけど、細かく覚えてない(笑)。
──アッパーな曲は感覚で弾いてるってことですか?
千聖:どうだろう? ケースバイケースかな? バラードの「少年の翼」の後半の転調後のギターソロもかなり感覚的というかエモーショナルだけどね。
HAKUEI:激しい曲は「記憶の固執~融けゆく時間~」と「快感∞フィクション」の2曲ですけど、ギタリストの個性が出るなぁって。パワー感とかノリのカッコよさ、生き生きしたプレイは千聖くんならではだと思いましたね。今回もキタな!!っていう。それこそ記憶にないっていうのがわかるっていうか、血で弾いてるっていうね。
千聖:ははは。確かね。激しいギタリストにもいろんなタイプがいるけど、相当、個性的なのかもしれない。「記憶の固執~融けゆく時間~」はHAKUEIくんに「詞も書いてみない?」って言われてサルバドール・ダリの有名な絵『記憶の固執』を見て書いみたんですよ。ぐにゃって溶けてる時計が描かれている絵で、歌詞でシュールリアリスム的な世界観が表現できればいいなって。視覚から入って詞を書いたのは初めてだったけど、面白かった。歌も本番一発ぐらいのノリで歌ってくれて、さすがだなって。俺らの呼吸もあるんだろうけど。
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■初期のアルバムは日本人ならではの感性が自然と出るといいなと思っていた
■今回もそういうアルバムを自然な流れで作った気がします──HAKUEI
──3年ぶりのオリジナルアルバム『瑠璃色のプロヴィデンス』は激しい曲も含めてメロディが立った曲が多くて、今のPENICILLINと初期のPENICILLINが融合したような印象を受けました。アルバムを作るに当たって、メンバー同士で話したことはありました?
O-JIRO:2013年の秋にリリースしたシングル「幻想カタルシス」のカップリングで昭和のヒット曲(中森明菜、大橋純子、高橋真梨子)をカバーしたんですけど、懐かしくて切ないメロディとPENICILLINのサウンドをかけあわせてみたら、すごくしっくり来たので、アルバムもそういう雰囲気が漂うものにしたいねっていう話はしましたね。
HAKUEI:日本の音楽の良さとか日本人ならではの感性が自然と出るといいかなって。カバーしてみて、いろいろ再認識したところがあって、昭和生まれだし、染みついているものってあるんだなと思ったんですよね。
──じゃあ、選曲もメロディを重視して?
HAKUEI:ボツ曲なかったですね。
──100発100中ですか。
HAKUEI:たぶん、メロディを意識して各自が書いてきたから、ハズれたものがなかったんだと思いますね。あと、ある程度曲が出揃ってから千聖くんが激しい曲を書いたりとか。
千聖:1曲目のバラード「少年の翼」もだいたい曲達が出そろってから、あ、バラードもいるなって思って書いてきましたね。激しい曲「記憶の固執」は最後の最後にスタジオのブースで、ギター片手にみんなの前でリフを弾いてみせながら作りあげました。
HAKUEI:さっきテーマについて話しましたけど、PENICILLIN初期のアルバム『Missig Link』(1994年)は自然とそういうことを考えて曲を作っていたような気がするんですよ。当時の僕らの音源を聴いていて、今、ミュージシャンになっている人たちと話す機会があると「激しい曲なのにメロディックなところが好きだった」って言われるんですけど、今回もそういうアルバムを自然な流れで作った気がしますね。原曲の段階でメロディラインがしっかりしていて、全体的にシンプルなアレンジの曲が多いのかなって。表と裏の拍を逆にしてみたりするトリッキーなこととかそんなにやってなくて、気持ちよく聴けるアプローチというか、ストレートでソリッドな方向に行った気がしますね。
──ストレートなアレンジということもあるのかもしれないけど、歌詞が届いてくる曲が多いので、ヴォーカリストとして意識したこともあったのかな、と。
HAKUEI:歌に関しては自分の中でしっかりイメージを作りこんでからレコーディングに臨みました。自分のコンディションをいい状態に持っていって、身体も喉もベストな状態の間に録りきるっていう。
千聖:HAKUEIくんは曲を覚えるのも早いんですよ。特にO-JIROくんの曲はメロが複雑な時があるから大変だと思うんですけど、曲出ししたプリプロの日に仮歌詞に合わせてすぐにバーって歌っちゃう。
O-JIRO:初見に近い感じで譜面もない状態で歌ってもらうんですよ。1日、6曲とか7曲とか。
千聖:やっぱりプロは違うなって(笑)。
──確かに凄い。でも22年も一緒にやってるんだから、プロって(笑)。
千聖:ははは。自分のギタープレイに関しては申し訳ないけど、あんまり記憶がないんだよね。
──はは。記憶がないって。カッコいいなぁ。
千聖:今、ツアーリハ中なんだけど「快感∞フィクション」っていう曲なんて改めて弾いてみると、こんな速いギターリフ弾いたっけ?って(笑)。意外とノリ一発なときもあるんだよね。でも家で作ったときから、ちゃんと弾いてあったから、やっぱりオレは天才なんだなって(笑)。「ファンタスティックファンタジー」とか「プリンセスアカデミー」とかもスタジオで原曲聴かせてもらって、その場でギターフレーズ作ったけど、細かく覚えてない(笑)。
──アッパーな曲は感覚で弾いてるってことですか?
千聖:どうだろう? ケースバイケースかな? バラードの「少年の翼」の後半の転調後のギターソロもかなり感覚的というかエモーショナルだけどね。
HAKUEI:激しい曲は「記憶の固執~融けゆく時間~」と「快感∞フィクション」の2曲ですけど、ギタリストの個性が出るなぁって。パワー感とかノリのカッコよさ、生き生きしたプレイは千聖くんならではだと思いましたね。今回もキタな!!っていう。それこそ記憶にないっていうのがわかるっていうか、血で弾いてるっていうね。
千聖:ははは。確かね。激しいギタリストにもいろんなタイプがいるけど、相当、個性的なのかもしれない。「記憶の固執~融けゆく時間~」はHAKUEIくんに「詞も書いてみない?」って言われてサルバドール・ダリの有名な絵『記憶の固執』を見て書いみたんですよ。ぐにゃって溶けてる時計が描かれている絵で、歌詞でシュールリアリスム的な世界観が表現できればいいなって。視覚から入って詞を書いたのは初めてだったけど、面白かった。歌も本番一発ぐらいのノリで歌ってくれて、さすがだなって。俺らの呼吸もあるんだろうけど。
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