【ライブレポート】Berryz工房、10周年。「一言でありがとうございますっていうと、なんか物足りないなって」

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2014年3月3日にデビュー満10年のメモリアルデーを迎えたBerryz工房。この日、TOKYO DOME CITY HALLにて行なわれたメモリアルな公演を前に、報道陣を集めての記者会見が開かれた。

◆2014年3月3日 <Berryz工房デビュー10周年記念コンサートツアー2014春 ~ リアルBerryz工房 ~> 画像

現在行なわれているツアー<Berryz工房デビュー10周年記念コンサートツアー2014春 ~ リアルBerryz工房 ~>。まずは本ツアーへの意気込みについて。キャプテン・清水佐紀は、「Berryz工房の10年の歴史を感じて頂けるライブになっていると思うんですけど、メンバー7人かなり気合十分なので、その気合いがファンの方に届けばいいなと思います。見どころは…そうですね、頭からすごい盛り上がるんですけど、中盤戦でやるメドレーだったりも、すごい激しい、ノリノリな曲が続いているので、そこはみなさんで一体感を感じられるのではないかなと思います。」と語る。

また、10年のメモリアルデーを前に、つんく♂プロデューサーに「なぜ自分がBerryz工房に選ばれたのか?」を訊いたというももち。「Berryz工房は、ちょっと能力が若干低い、不安要素のあるメンバーを寄せ集めた。」という衝撃の回答があったことを明らかにする。ももち自身も前日の夜に知ったというこの事実。雅ちゃんも思わず顔を両手で覆ったりと、メンバー内に動揺が走る。ももち曰く、つんく♂は「そんな彼女たちが音楽をどれだけクリエイトできるか。」と見たかったそう。報道陣も興味津々となる中で、「ダンスの練習とか歌も何もかもが不安で、先生たちに怒られるのも、毎日ヒヤヒヤしていて。今では、ゆるしてニャン♪で解決できるってことを学べたんですけどもー。」と、ももちは自分の持ちネタを巧妙に織り交ぜていく。ところが即座に「解決してません。」と、ツッコむキャプテン。そんなやり取りに笑いが起こる報道陣。

そう、見事なまでに会見は“Berryz工房劇場”である。

この10年で変わったところを訊かれると、「まぁ、ビジュアルは変わったけどねー。」というももち。横で雅ちゃんは“ビジュアル”というワードが面白かったのか、苦笑しながら「あなたが一番変わったけどね。」と、一言。それに対して「いやいやいや、すごいべっぴんさんに成長して。はい。」と、いろんな意味を込めての雅ちゃんの「あなたが一番変わったけどね。」だったはずが、ももちはそのいくつかある意味のひとつだけを全面的に取り入れた返しを見せる。

そんなももちには報道陣から「そのキャラは演技では?」という、まさかの質問も。ほかのメンバーが失笑する中で、ももちは、タモリからも同じことを言われたことを挙げながら、「ほんとにこのままうまい具合に成長しただけであって、演技とかじゃ……10年以上一緒にいるメンバーはわかってくれてるよね?」と、隣にいた徳永千奈美に同意を求める。そして訪れる沈黙。やがて、ももちの眼力とプレッシャーに負けた徳永は「はい!」と、答えさせられてしまうのであった。

報道陣からは、グループの結束力、団結力についても質問が飛ぶ。徳永千奈美が「Berryz工房が一番結束するのは、スタッフさんに差し入れをおねだりする時。普段、ダンスがそろってないって言われることが多いんですけど、スタッフさんに差し入れをおねだりする時は、7人で打ち合わせしてから一気におねだりする。“これぞBerryz工房”という力を発揮する。」と、はたしてこれは自慢できることなのかどうなのかちょっとよくわからないが、とにかく10年以上一緒に過ごしてきたチームワークの良さを雄弁に語る。ちなみに、どんな差し入れをおねだりするかという質問に、「とにかくスターバックスが大好き。」と、徳永。芸歴10年(以上)のアイドルは、スターバックスを勝ち取るために“これぞBerryz工房”ともいえる団結力を発揮するのである。なんだかほのぼのしている。

久しぶりの単独ツアーとなった今回の<Berryz工房デビュー10周年記念コンサートツアー2014春 ~ リアルBerryz工房 ~>。雅ちゃんは「今回は曲数が多いので、体力が落ちてるなというのを実感していて。若い時はジャンプとか余裕でしていたんですけど、(今は)なんかみんなジャンプ力が低いなぁと。」と、素直な感想を述べる。いつぞやの<ナルチカ>でのJuice=Juiceと自分たちのステージを比較した時のトークを彷彿とさせるその内容に、ほかのメンバーも苦笑いしながら頷くほかない。

「10周年を迎えられたので、20周年、30周年このメンバーで迎えられたら。そして何より、たくさんの方に愛されるグループであり続けたいなって思います。」── 清水佐紀

なお記者会見には、“BKB”こと、ピン芸人のバイク川崎バイクがBerryz(B)工房(K)バースデー(B)のケーキとともに乱入。「誰ですか?」「BKB? 初めて聞いた。」「わかんないです。」「AKBしかわからないです。」と、完全アウェーな中で、バイク川崎バイクは「場の空気、微妙! BKB! ヒィ~ア」と持ちネタを披露していく。よくわからないながらも「おおーっ!」と、手を叩いて感心する7人。芸人として笑いを起こすつもりが感心させてしまったことに、バイク川崎バイクは「あ、すごくはないです。ああ、もう(感心する)リアクションがデカい。」と、この空気をちょっと嫌がっている様子。するとももちは、「すごーい! ほんと素晴らしい!!」「お目にかかれて光栄です! ありがとうございますー。」と、大絶賛し始める。ももち結びの先も鋭さを増し、ももち、これはもう完全に芸人を潰しにかかっている。攻めのももちに狼狽えるバイク川崎バイク。そんな姿に爆笑の報道陣と関係者。

その後も、あっけにとられて若干、瞳孔が開きっぱなしのBerryz工房を前に、バイク川崎バイクは「Berryz工房! BKB! ヒィ~ア」「ぶっちゃけ、頭文字だけで決まったブッキング! BKB! ヒィ~ア」「べっぴん、熊井ちゃんもべっぴん! BKB! ヒィ~ア」「(ももちは)ぶりっ子なのに歌唱力は抜群! BKB! ヒィ~ア」と、今日もアクセル全開で一人独走状態。そしてここでももちが、バイク川崎バイクのネタについて「簡単でキャッチー。キャプテンやってみなよ。」と、まさかのムチャぶりを発動。「無理でしょー! やだー!」と本気で拒否するキャプテンだったが、バイク川崎バイクから「キャプテンもBKBのサイドカーに乗ってくださいよ! バイクだけに~」と促されると「ブンブン!」と、思わず調子を合わせてしまう。挙句の果てには、バイク川崎バイクからマイクを奪って「Berryz工房、20周年目指してエンジン全開で行くぜ。バイクだけに~ブンブン!」と、“これぞBerryz工房”というチームワークで、なぜかバイク川崎バイクのお決まりのフレーズをキメてしまう7人だった。

  ◆  ◆  ◆

すっちゃかめっちゃか~な会見が終了し、そしてスタートしたこの日の公演。10年のメモリアルデーをお祝いしようと集まったファンの熱気に一歩も引けをとらないBerryz工房のパフォーマンスで、冒頭からテンションは最高潮。そして最初のMCではハロー!プロジェクトのメモリアル公演恒例ともいえるサプライズも用意される。

「みなさーん、どうもどうもこんばんはー。みんなの親友、さわやか五郎でーす!」と、天の声ならぬ、さわやか五郎の声が会場に響く。「Berryz工房のみなさん、10周年おめでとうございます! 雅、おめでとう!」と、雅ちゃんに呼びかけると、「ありがとう、五郎!」と、調子を合わせてあげる雅ちゃん。そしてさわやか五郎は、どうしても会場に行くことができなかったつんく♂プロデューサーから預かった手紙を代読する。「僕をつんく♂さんだと思って、聞いてや。」と、突然、関西弁で話し始めるさわやか五郎。「どういう人選?」「もうちょっといい人いたでしょ。」「まことさんとか」と、嗣永と徳永ペアからは不満の声も挙がる。

つんく♂Pは、「メンチェンありき」で17年目を迎えたモーニング娘。を引き合いに出しながら、新メンバーを迎えることなく10歳の誕生日を迎えることができたBerryz工房へのお祝いの言葉を伝える。が、しかし、ここで一気に雲行きが怪しくなる。

「それは、それですごいこととして、ここで言わせてもらいましょう! ここまでのこのメンバーでやって来たからこそ・・・・そろそろ・・・・ここらで・・・・Berrry工房も・・・・ 新・・・・ メンバーを・・・・(つんく♂Pからの手紙、原文ママ)」

10周年。サプライズ。つんく♂Pからの手紙。ステージ上も客席側も胸騒ぎが止まらない。そして代読するさわやか五郎の口からは、次の句が告げられる。

「募集・・・・したりせず、やって行こうと思うので、メンバー気合いを入れて新たなる一歩を踏みしめてもらいたいと思います。」

肩透かしを食らって、ほっと胸を撫で下ろす観客とメンバーたち。そしてつんく♂Pは、アイドルは4年が限界という持論を披露しつつ、それを越えて活動を続けるBerryz工房に、プロデューサーとして「あなたたちのことをリスペクトしていますよ。」という、メンバーにとってもファンにとっても嬉しい一言を贈った。

ライブは、Berryz工房の10年を凝縮したようなセットリストで展開。最新曲「大人なのよ!」では、7人がセクシーにかっこいいステージングで魅せていく。先月エクステをつけて久しぶりにロングヘアにイメチェンした雅ちゃんが、ラストフレーズ「付き合うのは 私なの」で、ウインクを飛ばせば、それはもう会場全体が恋に落ちてしまうというものである。

そして本編が終了。アンコール前の暗転時には、今度はBerryz工房ファンが魅せる。

Berryz工房のライブでのアンコールといえば、声を合わせて「Berryz行くべ!」のコールがお約束。ところがこの日は、この「Berryz行くべ!」コールに少しの違和感、不協和が生じていた。耳を澄ましてよく聞くと、従来のコールに混ざって聞こえてきた言葉は「Berryz 10年!」。まったくの自然発生的に起こったこのコール。しかし、じょじょに「Berryz行くべ!」から「Berryz 10年!」へと変わっていく。やがて会場全体は「Berryz 10年!」の大コールに包まれた。

Berryz工房が10年なら、活動を支えてきたファンも10年。前年の日本武道館公演もそうだったが、Twitterのハッシュタグ企画など、Berryz工房ファンは自分たちなりのやり方で、Berryz工房の活動を盛り上げてきた。そんなファンひとりひとりが生んだ、この日の素敵なアドリブ。制作側が仕掛ける演出だけではなかなか感じることができない“ライブはステージと客席によって作られる”ということをこれでもかと見せつけられた瞬間だった。
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