【ライブレポート】Mayday、日本デビュー後初ライブで見せた、圧倒的ダイナミズム

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2013年日本で正式デビューを飾った台湾のロックバンド、Maydayが、2014年最初の海外公演として1月11日に大阪 なんばHatchで12日に東京 Zepp Tokyoにて<Mayday Special Live 2014 >を行った。

◆<Mayday Special Live 2014> 画像

日本以外では観客動員3~4万人規模の大型スタジアムでライブを行なうことが常のMayday。そんな彼らを小さなスタンディング会場で見られるということで、数秒で完売した今回の日本公演はまさにプレミアムなものに。ライブには日本を含めアジア各国からファンが集結し、日本でしか見られないMaydayのスペシャルライブを楽しんだ。

1月12日、Zepp Tokyo。もちろんいつもの超巨大なセットもメカエレファントも方舟の形をした移動ステージも出てこない。ものすごい数の花火が上がったり、大量の花吹雪が舞い落ちる特効もない。なのに、この会場全体をどこまでも引き寄せていく歌の吸引力、Zeppの屋根や壁がぽっかり開いて彼方まで広がって行くような壮大なスケールのメロディーとドラマティックなサウンド、場内に広がるオーディエンスの歌声のボリューム。そのインパクトたるや、ここがZeppだということを何度も忘れてしまう程だった。これが彼らがワールドクラス、とりわけ中華圏ではNo1という絶大なる人気と動員を誇る最強のライブバンドと謳われる由縁だ。

Maydayがこれまでリリースしてきたアルバムジャケットを巡るオープニングムービーに続いて、ライブは「第二人生」で幕を開けた。スクリーンの右端には中国語の歌詞とその日本語訳がダブル字幕で映し出される。次の「君は幸せじゃないのに」では、ライブはまだまだ序盤にも関わらず場内はすでにクライマックス感が漂う。そこに阿信(アシン)(Vo)がピアノをバックに歌うバラード「小さなことだけど」をソロver.で披露し、追い討ちをかける。パワーではなく観客を丁寧に包み込むような歌の包容力。その引力が半端じゃない。続いて楽器隊も加わり、ユーモアたっぷりの歌詞とサウンドで盛り上がるライブ定番曲「孫悟空」へ。ここではコーラス、マニピュレーター、キーボードなどサポートメンバーも動員して7声のコーラスを響かせる。曲に劣らず、彼らの音楽はコーラスもダイナミックだ。こうして前半はスクリーンに当時のバンドのヒストリーを映し出しながら、その時代ごとの代表曲を楽しむというMayday初心者にも親切なライブが展開されていった。加えて、怪獸(モンスター)(G)と石頭(ストーン)(G)がパワー感たっぷりのリフを奏で、瑪莎(マサ)(B)が冠佑(ミン)(Dr)をずっと見ながら疾走感たっぷりの8ビートを刻んでいった「ゴッドギャンブラー」などは、ニューアレンジを施して昔からのファンも喜ばせた。

MCではメンバーが椅子に座って日本語で自己紹介。「日本語勉強中です」というストーンは「じぇじぇじぇじぇじぇ」と言って場内を笑わせ、マサは「東京、こんばんは。僕は日本語全然ダメです」と言ってスマイルパワーを見せた。メンバーのなかでも1番日本語が得意なモンスターは、「今度は日本武道館で会おうか。今日はそのためのリハーサル」といって観客を喜ばせた。「お元気ですか?」といった後は言葉につまり、とうとうカンペを見ながら挨拶をしだしたのはミン。それを見て「ミンさんの日本語、すいません」と言って笑いをとったアシンは、自らも「今、日本語を勉強中」と前置きして「お手洗いはどこですか?」とお得意(11月に行われた3D映画ジャパン・プレミアイベントの際に披露)の日本語フレーズで会場を和ませた。そんなフレンドリーな日本語トークの後に始まった「T1213121」では、タイトルの英数字を繰り返すサビを日本語読みで歌うなど、日本デビュー後初となるこのライブにかける彼らの意欲を感じた。

モンスター(「ナインボール」)とマサ(「ちょっと聞くけど神様たち」)がボーカルをとるナンバーを挟んで、「クレイジーワールド」からはMaydayのロックスピリッツがサウンドでも歌詞でも炸裂。ここではアシンと背中合わせになり、モンスターがめちゃくちゃカッコいいフレーズを弾きまくる。続いて、マサのベースのイントロから始まった「三人のおバカ」からは、ファンが振っていたブルー(Maydayのイメージカラー)のペンライトがザイロバンドのように音に反応して激しく点滅する。スタジアム級のサウンドと観客とのコール&レスポンスで場内を熱狂させた「モーター・ロック」では、モンスターがギターのボディを後頭部にあててソロを弾くおなじみのパフォーマンスから各メンバーのソロへ。スタジアムバンドならではの“魅せる”ステージパフォーマンスにショーの盛り上がりは最高潮となった。そこから「君は唯一」という、COLDPLAYを思わせるような大陸的スケール感を持った曲からバラードゾーンへためらいなくシフト。続くアジアンバラード「一歩一歩」という展開では、観客の心の奥深くに歌と言葉を刻み込んでいく。

が、そこからまた一転。涙をぬぐったり感動に浸る暇はない。ステージの彼らは「Dancin’Dancin’」、「OAOA」を立て続けにパフォーマンスする。GLAYのTERU(Vo)とTAKURO(G)、flumpoolの山村隆太(Vo)とコラボした楽曲たちをこの日はアシンが1人で日本語で歌うと、場内からは大歓声が起こった。その勢いのまま、「恋愛ING」では“L・O・V・E”のコール、「瞬間少年ジャンプ」ではメンバーも観客もジャンプジャンプ。楽しくはじけ、大声で大合唱を響かせた後、本編ラストの「人生は海のようだ」では“人生を歩いていくことを諦めるな、たとえこの世界に見捨てられても”という胸熱のエールをダイナミックなサウンドにのせて観客に届けた。

アンコールでは、ドラマティックで濃いMaydayの楽曲たちが続けざまに放たれる。ラストまでクライマックスに次ぐクライマックス状態、なかでも満を持しての「ノアの方舟」、「乾杯」では、彼らが最強のライブバンドであることを証明するようなアクトを見せた。その素晴らしさに涙と身体の震えが止まらなかった。明るいだけでもなく、切なさマックスのメロディーで激情するのでもなく、骨太なロックサウンドでマッシブに押し切るのでもなく、Maydayの奏でる音楽はロックなサウンドであってもどこかソフトで温かみを持っている。そして、そこに綴られる歌詞がとにかく美しい。日本語訳で、ここまで人を感動させられるのはすごいことだと本当に思う。恋愛や離別、社会について、そして生と死と、日本のアーティストが描かないところまでをリアルな言葉で表現する。人生の在り方を解き、エールを送る歌詞の奥深さ。これだけでも“Maydayの音楽を聴く価値が絶対にある”という説得力がそこにはある。

アンコールラストは「馬鹿」。“辛くても、それでも頑張ろう”と背中を押してくれる歌詞に賛同した観客たちは、最後に次々と大合唱。メンバーとアジア各国からライブに訪れた観客たちが、温かい気持ちでひとつにつながり、ライブは終了した。

この後、韓国、ヨーロッパ、カナダ、アメリカとワールドツアーを続けていくMayday。今回ライブを見られなかった人はぜひ3D映画<Mayday 3D LIVE MOVIE「NOWHERE ノアの方舟」>で彼らのスゴさを体感してみてほしい。アジアにこんなにとてつもないバンドがいたんだという事実に驚愕するはずだ。

文◎東條祥恵  写真◎橋本塁(sound shooter)
 
<Mayday Special Live 2014>
2014年1月12日 Zepp Tokyo
1.第二人生
2.君は幸せじゃないのに
3.小さなことだけど
4.孫悟空
5.ゴッドギャンブラー
6.信じる
7.孤独の終わり
8.ピーター&マリー
9.T1213121
10.ひとり上手にならないで
11.ナインボール
12.ちょっと聞くけど神様たち
13.君は唯一
14.クレイジーワールド
15.三人のおバカ
16.モーター・ロック
17.一歩一歩
18. Dancin' Dancin'(日本語ver.)
19. OAOA(日本語ver.)
20.恋愛ING
21.瞬間少年ジャンプ
22.人生は海のようだ
EN
23. 出陣の歌
24. ノアの方舟
25. 乾杯
WEN
26. 愛の記憶は突然に
27. 馬鹿

<Mayday 2014 NOW-HERE WORLD TOUR>
■ヨーロッパ公演
2月21日(金) ロンドン Wembley Arena
(CAP:12,500人)
2月23日(日) パリ Zenith de Paris
(CAP:6,300人)
2月26日(水) アムステルダム Heineken Music hall
(CAP:5,500人)
■カナダ公演
3月17日(月) バ ンクーバー Pacific Coliseum
(CAP:17,500人)
3月20日(木) トロント ACC Theatre
(CAP:19,800人)
■アメリカ公演
3月22日(土) ニュー ヨーク Madison Square Garden
(CAP:20,000人)
3月24日(月) シ カゴ Auditorium Theater
(CAP:3,900人)
3月28日(金) サンノゼ San Jose State Event Center
(CAP:5,000人)
3月29日(土) ロサンゼルス L.A. Sports Arena
(CAP:16,000人)


◆Mayday 日本オフィシャルサイト
◆Mayday Mayday 3D LIVE MOVIE 「NOWHERE ノアの方舟」情報サイト
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