【連載】Salley・うらら『人生まんがだらけ』第3回「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」
BARKSをご覧の皆さん、Salleyボーカルのうららです!
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3回にわたってお送りしてきたこの『人生まんがだらけ』も今回で最後となりました。私としては「まだまだ語り足りない!もっとたくさん漫画の話がしたい!」という感じですが、最後ということで、今回は私の人生において一番大切な漫画をご紹介したいと思います。どうぞ最後までお付き合いください。
この「人生まんがだらけ」、第1回目は「少女レトロ漫画」、「ベルサイユのばら」について、そして第2回目は現在連載している少女漫画、「町でうわさの天狗の子」「海街Diary」についてと、どちらも「少女漫画」の紹介をしてきました。
そこで今日は、私の人生に多大なる影響を与えた漫画、「ダイの大冒険」という少年漫画について熱く語って行きたいと思います。この漫画がなかったら、今の私は存在しません。それでは、皆さんついてきてくださいね!(笑)
「ダイの大冒険」という漫画は、本当のタイトルは「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」で、あの国民的ゲーム「ドラゴンクエスト」の世界観で描かれた少年漫画です。もう初めに言っちゃいましょう。この漫画の素晴らしいところはずばり「絶対悪が存在しない」というところ! 魔物=絶対悪、人間=正義という構図ではないのです。
主人公のダイは、赤ん坊の頃に船が難破し、魔物が平和に暮らすデルムリン島に流れ着いたため、心優しい魔物に育てられます。その為、先入観なく人や動物と接することができるのです。しかし人間は、ダイの必要以上の強さに恐れを抱き距離をとったり、罪のない魔族と人間のハーフの子どもを迫害したりと、「自分達と違うもの」を受け入れない人が多く、ダイはとても悩みます。
最大の敵である大魔王バーンは、人間だけが地上で太陽の恵みを受けて生活し、魔族やモンスターは日の光の届かない魔界に押し込められたことに納得がいかず、地上を破壊して魔界に太陽をもたらしたいという理由で侵攻しています。悪にも、理由があるのです。
大魔王バーンは、ダイに説きます。人間は愚かだ。弱くてずるい。都合のいい時だけ絆を持ち出し、都合が悪くなると平気で手のひらを返す。魔界は力こそ正義で、シンプルでわかりやすいんだ、と。
けれどダイは言います。人間は確かに良いやつばかりじゃない。ひどいことをする人もいる。けれど、俺はこの世界に育ててもらった。大切な仲間や友人がいるから、この世界を守りたいんだ。
これはまるで、戦争の縮図のようです。どちらにも理由があり、どちらが絶対的に悪いということはない。それでも戦う理由は、大切な人を守る為なのです。
他にもたくさん、素晴らしい台詞が登場します。
例えば、ダイが「俺がもっと魔法が使えれば」と嘆いたとき、魔法使いのマトリフが言ったのは、「魔法は魔法使いが使えればいい。力は戦士に頼ればいい。できないことは仲間におぎなってもらえばいいんだ」ということ。
例えば、ねずみのモンスターのチウが、実力以上の名声を求めていたときに、チウの師匠が言ったのは、「かっこいいところに憧れてその真似をするばかりでは名声はもらえない。自分が死にもの狂いで努力した後に、名声はついてくるんだよ」ということ。
魔王軍のフレイザードが言った「俺は戦うのが好きなんじゃない、勝つのが好きなんだ」というセリフも、人間の、自分の、きれいごと抜きの本音をさらけ出されたような気がします。
そしてこの漫画の最大の魅力は、ダイの親友「ポップ」の存在です。
ポップは、仲間の中で一人だけ「普通の家庭に生まれ育った普通の人間」。そのコンプレックスが強く、一生懸命修行してみんなについていこう、みんなの力になろうとするポップは、「私達の代表」。生まれ持った強い能力や、特別な環境がなくても、努力で強くなれることを教えてくれたのはポップです。普通の人間だって、誰もがみんな価値のある存在なんだと、弱いからだめだとか、できないからだめだとかじゃなくて、一生懸命生きることが大切なんだと、お話を通してポップが教えてくれます。なんだか、書きながら涙が出てきました……。
ここにはもう書ききれませんが、他にも魅力的なキャラクターやたくさんの名言が出てきますので、みなさんにも是非読んでほしい! ちなみに、ドラゴンクエストをプレイしたことがない人でも十分に楽しめる内容ですのでご安心ください。
自分としっかり向き合うきっかけになる。道に迷った時に必ず光を射してくれる。「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」は、そんな漫画です。
とっても長くなりましたが、それだけこの漫画は私にとって大切な漫画なんです。最後まで読んでくださってありがとうございました。
3回にわたって書かせていただいた『人生まんがだらけ』でしたが、いかがでしたか? 漫画が大好きな私にとっては、本当に楽しく最高の連載となりました。皆さんに紹介した漫画を手に取ってもらえたら、なお嬉しいです。ぜひ読んでみてくださいね。
そしてもちろんSalleyの音楽にも興味をもっていただけたら嬉しいです。2ndシングル「その先の景色を」発売中です!
それでは、またどこかでお会いできる日を楽しみに待っています。
text by Salley・うらら
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Salley 2ndシングル「その先の景色を」好評発売中
「”どうなっててもいいからその先の景色を見たい”というこの曲のMVは『赤い靴』、『green』と同じ監督に撮っていただきました。今回もとても綺麗な映像で何度も見返したくなる仕上がりになっていますので、ぜひチェックしてくださいね!」── Salley・うらら
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