【ライヴレポート:詳細】VAMPS主宰<HALLOWEEN PARTY 2013>、幕張二日目に「覚悟はよろしくて?」

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10月26日(土)の幕張メッセ国際展示場9-11ホール。同会場のVAMPS主宰イベント<HALLOWEEN PARTY 2013>二日目は、全5公演中4公演目の佳境となる。VAMPSはもとより、DAIGO、yasuといったこのイベントの中核アーティストが集結した白熱のステージをレポートしたい。

◆<HALLOWEEN PARTY 2013>幕張二日目 画像

▲DAIGO
▲Tommy heavenly6
▲HALLOWEEN COLLECTION
▲Acid Black Halloween
▲VAMPS
▲HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA
楽しい時間ほど瞬く間に過ぎる。始まったときには“5公演も!”と思っていた<HALLOWEEN PARTY 2013>も、気づけば4公演目だ。限りがあるからこそ、その一瞬はまぶしく、そして美しい。今日も今日とてハロウィンの夢を骨の髄まで楽しみ味わい尽くそうと、想いの丈を仮装に凝らした大勢の観客が幕張メッセにこぞって集った。チケットは当然のごとくソールド・アウト。ひとり一人の想い、並ならない情熱がこのパーティーを作り上げているのだと広い広い場内にさざめき満ちる華やかな活気につくづくと実感する。

台風は大過なく去った。心配されたyasu(Acid Black Cherry)の体調も回復し、Acid Black Halloweenの出演が正式にアナウンスされた。となればもう全力で盛り上がるだけだ。うずうずとしたオーディエンスの熱気を狂騒に駆り立てたのはトップバッター、DAIGOだ。神戸初日に引き続き、話題の人気アニメ&コミック『進撃の巨人』から主人公のエレン・イェーガーならぬダイゴ・イェーガーとして登場するや、満場の興奮に沸き立つ客席フロア。超硬質ブレードを両手に構え、向かってくる巨人に豪腕を振るう。BREAKERZとして『るろうに剣心』の仮装で出演した昨年も見事な殺陣を披露したDAIGOだが、すっかり板に付いた華麗な剣さばきで会場中を虜にした。『あまちゃん』から『進撃の巨人』への振り幅の広さもすごいが、それを難なく我がものにしてしまえるDAIGOが何よりすごい。さすが<HALLOWEEN PARTY>の旬モノ担当を自称するだけのことはある。

「ついに始まりました、幕張2日目! 今日はもしかしたら台風が来て、ちょっとヤバいんじゃないかと思いましたが、神がコースを曲げてくれましたね。ちょうど僕の後ろに神がいるんですけど、わかりますか?」

これまた神戸同様、HYDEから誕生日プレゼントにもらったという革のグローヴがマイク・スタンドの先端に祀られていて「僕たちには守り神がついてます」とオーディエンスと一緒に二礼二拍手、「これで2日目も大成功間違いなしですね、みなさん!」と全員の心をひとつにするDAIGO。「今日はアニキ(yasu)も無事に出れますから」、そう言葉を添えるのも忘れない。MCの後、突入した「無限∞REBIRTH」、中央から下手側、上手側とメインステージを経由しながらランウェイを隅々まで軽やかに回る。拳を突き上げては、客席に向かって手を振り指を差してコミュニケーション、後方の客席にも伸び上がっては視線を送ったりと360°対応で魅せるDAIGO。ゴツい立体起動装置を両腿に装備したままゆえ、1曲分の運動量は相当なものになるだろう。続いての曲は、「無限∞REBIRTH」とともに7月に両A面シングルとしてリリースされたもう1曲「いつも抱きしめて」。「今のところソロ・アーティスト、DAIGOとしての持ち曲はこの2曲しかない」と言って場内に笑いを誘いつつ、しっとりと聴かせるこの温かなバラードにオーディエンスの手拍子がやさしく寄り添う。

幕間にオーディエンス参加企画のダンス・パフォーマンス“HALLOWEEN DANCE PARTY 2013”を挟みつつ、続くはHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAのメンバーにして2年連続出演のTommy heavenly6だ。イベント名が<HALLOWEEN PARTY>となる以前にもこのハロウィンのステージに立っていることもあり、すでに準レギュラー的存在感。マリー・アントワネットな仮装も相まって姫の風格さえ漂わせている。ディストーションを利かせたヘヴィなサウンドでいきなり客席を圧倒した「CALL ME PRINCESS」、疾走感溢れる「Pray」からローラーコースターのごとく聴く者の心を揺さぶるハロウィン・ナンバー「Lollipop Candy BAD girl」とダークかつキュートなTommy heavenly6の世界観を余すことなく伝えて客席を呑み込む。まさに独自にして無二。

「え、何? 誰さん?」

フロアから押し寄せる“Tommy!”の声に、わかっていながら聞き返す様がまた小悪魔的。そんな可愛らしさにくすぐられて歓声もさらにボリューム・アップする。

「ふふ。今日、いきなり失敗したことを言うと、ふだん家から出ないこともあって、動くとすごい息切れするんですよ。リハでそう思ったので1曲目はとりあえずしっかり歌おうと思ったのに、みんながいるからいきなりウロウロしちゃって、ちょっとテンパっちゃって。でも今は落ち着きました。みんなが“Tommy!”って私のこと知っててくれたから」

いつになく饒舌な彼女の言葉に盛り上がるオーディエンス。Tommy heavenly6は、同じく彼女のソロ・プロジェクトであるTommy february6のダーク・サイドというキャラクター設定もあってか、このパーティーやHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAにおいてはいつの間にか不機嫌キャラが定着した感もあったが、今日は実に無邪気でオープンだ。そんな彼女のモードが場の空気をもアッパーにして、狂騒を明るく加速させる。11月にリリースされるニュー・アルバムに触れ、「実はすごいスランプで歌詞を書こうとしてお菓子を食べてしまったりとか……でも今日はみんなにいろいろエネルギーをもらえたので、たぶん(発売日に)間に合うと思います!」と力強く宣言、収録されている最新曲「Ruby eyes」を熱唱。求心力のあるタフなアンサンブルに乗って届く歌声は実にエモーショナルで、“Ruby”を具現するかのごとく真っ赤に染まったステージに、Tommyの白い素肌が映えてとても綺麗だ。

ファッション・ショー“HALLOWEEN COLLECTION”にはなんとスペシャル・ゲストとして最初に分島花音とROLLYが、それぞれ赤ずきんと、昨日からさらにパワーアップしたジャックの仮装でやってきた。俄然、ヒート・アップするオーディエンス。畳み掛けるようにシドの明希と、ナイトメアの柩が揃って現われるや、場内は驚喜の歓声に沸き返った。明希は今日もブチャラティ、そして柩は昨年のクマのぬいぐるみ姿ではなく、映画『アリス・イン・ワンダーランド』のマッド・ハッターにシフト・チェンジ。「こんなに顔を白くしたのは初めて」と語る柩に爆笑が起こる。そんな柩の頬にブチャラティがキス、爆笑はまたも凄まじい萌えの嬌声に変わるのだった。

猫耳をつけ、鼻と口にリアルな特殊メイクを施した黒猫の仮装で颯爽と現われたyasu(Acid Black Cherry)。無事出演の叶ったAcid Black Halloweenは体調不良もものともしない全力全開なパフォーマンスでオーディエンスの興奮をMAX以上に引き上げる。サポート・メンバーは神戸と同様、Shinya(DIR EN GREY)がドラム、HIRO(Libraian/La'cryma Christi)とLeda (ex.DELUHI)がギターを務め、ベースにはJu-kenという<HALLOWEEN PARTY 2013>のためだけに結成された盤石の布陣で、「1954 LOVE/HATE」から容赦なしの怒濤。

「おい、幕張! ぶっ飛ばしていこうぜ!」

「少女の祈り」で、そうアジテートするとyasu(Acid Black Cherry)、HIRO、Ledaが一斉にステージ広く散らばっては入れ替わり立ち替わり、めまぐるしくオーディエンスを翻弄する。このメンバーでまだ2回目のライヴにも関わらず、すでに貫禄さえ感じさせる息の合ったパフォーマンスに目をみはってしまう。それにしてもyasu(Acid Black Cherry)の、猫でありながらのこの色気! いや、猫だからこそだろうか、彼から芬々と匂い立つフェロモンに惹きつけられずにはいられない。ファー付のベストを羽織り、毛足をなびかせてステージ狭しと駆け回る姿はなんとも美しく、俊敏な野性を思わせた。

「Yeah! 幕張のみなさん、お元気ですか! こんばんは、Acid Black Halloweenです。ニャー!」

鳴き声も高らかに客席を沸かせるyasu(Acid Black Cherry)。前日の不在を詫び、「無事に出させていただけてよかったです。僕にとっては今日が最終日、これはもう猫の手でも……ビックリするほど面白くないわ!」とノリツッコミ、「今日は僕、こんな格好をしてますけど次の新曲(Acid Black Cherryの11月リリース・シングル「黒猫〜Adult Black Cat〜」)は関係ありません! そんなことより今日は楽しみにきたんです。みんなの声で風邪を吹き飛ばしてくれよ!」と煽りに煽る。このメイクだから鼻声になるとMCでは言っていたが、歌が始まれば微塵もそれを感じさせず、クリアなハイトーンはどこまでも伸びた。そうしてラスト「SPELL MAGIC」まで一気。去り際にyasu(Acid Black Cherry)が掲げた裏ピース・サインは次に控えるVAMPSへの感謝でありエールだったに違いない。

スペシャル・ゲストはカラオケ・コンテスト“From KARAOKE to the STAGE”にも登場した。カラオケ、とくれば青木隆治だ。なんと4年連続の参加だという青木はブレイズの髪型まで完コピしたHYDEの仮装(衣装はすべて本物だから“仮”と言っていいのかどうか迷うところだが)で現われて「the Forth Avenue Cafe」「flower」「Shout at the Devil」「Blurry Eyes」「あなた」とL'Arc〜en〜Cielメドレーでオーディエンスをたっぷりと楽しませるや、「お邪魔しましてすみません!」とお約束の土下座をキメる。

すっかり温まりきった場内をVAMPSが再びのメキシカン・スカル、再びの“HYDEツリー”でひときわ熱くした。神戸からさらにパワー・アップした装飾的なメイクはスカルでありながらも、どこか陽気な神秘性を放ってゴシックな衣装とも、VAMPSの特異な佇まいにもよく似合う。「REVOLUTION II」で野太く吼えるHYDE、その歌に合わせて自らも唇を動かしながら、ランウェイにずんずんと進み出てくるK.A.Zの足取りが頼もしい。K.A.Zが中央をいけば、Ju-kenは下手側、HYDEが上手に回るのと入れ違いにメイン・ステージに戻るK.A.Z、と自在なフォーメーションでステージを行き交うフロント3人。スクリーンには彼らの勇姿に重なって歌詞が浮かび、ゆえに会場中が大合唱で幕張メッセの床を踏み鳴らす。「大きい声、出せ!」「聞こえねぇ!」とHYDEのシャウトが火に油を注ぎ、オーディエンスの歌声はどこまでも膨らんだ。

「今日も着たままやっちゃうからね。覚悟はよろしくて? 悪い子になっちゃって!」

「DEVIL SIDE」のサバトな狂騒ではセクシャルにドレスの上から股間を押さえてみたり、一方、「GLAMOROUS SKY」ではステージにちんまりとしゃがみこんではスカートをつまんでフリフリと左右に揺らしたりとあどけない仕草で観る者を釘付けにするHYDE。徹底してクールを貫きながら音にその情熱を秘めて、会場のいちばん後ろまでまっすぐに飛ばす。静かな熱を体現するように燃え盛る銀髪は同時にK.A.Zという人を象徴しているとも思えた。MC中、HYDEが「イケメン」とハートマーク付きで囁いたのもよくわかる。

おごそかで悩ましくも物悲しい「HALLOWEEN PARTY〜JAZZ Ver.〜」、馬車に乗り込んだHYDEが屋根に登って場内を走らせた「TROUBLE」。ラストの「MIDNIGHT CELEBRATION」ではステージも客席も思う存分暴れまくり、幕張メッセは怒濤のカオスと化したのだった。

メンバーが日々入れ替わっているとはいえ、4回目ともなればさすがに腕も上がるだろう。今日も「Penalty Waltz」からスタートしたお待ちかねのセッション・タイム、HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAのコーナーだが、嬉々として指揮棒を振るHYDEのドSなフェイントにも皆、ずいぶん引っかからなくなってきた。それがつまらないのか、yasu(Acid Black Cherry)の構えるCO2砲を客席に向かって撒かせるHYDE。それでいて「Rhythm Game」ではまんまと流れを止めてしまいアウトを喰らうのだから、面白いというか、世の中よくできているというか。しかし、そこで披露した「叙情詩」のアカペラは罰ゲームとするにはあまりにも素晴らしすぎた。なにせyasu(Acid Black Cherry)とDAIGOをしてクラクラとステージに倒れ込ませるほどの威力なのだから。VAMPS、yasu(Acid Black Cherry)、DAIGOに加え、Tommy heavenly6、青木隆治、明希、柩、分島花音というHJOのオリジナル・メンバーが軒並み顔を揃えたこの日の「Lucy In The Sky With Diamonds」(THE BEATLESのカバー)、「HALLOWEEN PARTY」も抜群の聴き応え。5公演あって一度たりと同じステージがないのもこのイベントの魅力だと改めて知る思いがした。

「サンキュー! ハッピー・ハロウィン!」

HYDEのこの言葉が聞けるのもいよいよ明日で最後となる。

取材・文◎本間夕子
撮影◎緒車寿一/田中和子

■<HALLOWEEN PARTY 2013>
2013.10.26 (Sat) 幕張メッセ国際展示場SET LIST
【DAIGO】
M1:MARIA
M2:無限∞REBIRTH
M3:いつも抱きしめて
M4:SUMMER PARTY
【Tommy heavenly6】
M1:Intro
M2:CALL ME PRINCESS
M3:Pray
M4:Lollipop Candy BAD Girl
M5:NEVER ENDING PARTY NIGHT
M6:Hey my friend
M7:Ruby Eyes
【Acid Black Halloween】
M1:1954 LOVE/HATE
M2:少女の祈り
M3:罪と罰〜神様のアリバイ〜
M4:SPELL MAGIC
【VAMPS】
M1:RUMBLE 〜HALLOWEEN Ver.〜
M2:REVOLUTION Ⅱ
M3:DEVIL SIDE
M4:GLAMOROUS SKY
M5:HALLOWEEN PARTY 〜JAZ Ver.〜
M6:TROUBLE
M7:MIDNIGHT CELEBLATION 
【HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA】
M1:Penalty Waltz
M2:Rhythm Game
M3:Lucy In The Sky With Diamonds
M4:HALLOWEEN PARTY
※HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA
VAMPS / DAIGO / Tommy heavenly6 / Acid Black Halloween:yasu(Acid Black Cherry)、Shinya(DIR EN GREY)、HIRO(Libraian/La'cryma Christi)、Leda(ex.DELUHI)、Ju-ken / ROLLY / 青木隆治 / 柩(ナイトメア) / 明希(シド) / 分島花音 / Anis .

◆<HALLOWEEN PARTY 2013>BARKS特設サイト
◆HALLOWEEN PARTY 2013 特設サイト
◆HALLOWEEN PARTY 2013 オフィシャルサイト
◆VAMPS オフィシャルサイト
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