【イベントレポート】Berryz工房イベントにて嗣永桃子「台湾で、ありえない現象を目の当たりにした」
2013年、デビュー10年目を迎えているBerryz工房が、6月19日にニューシングル「ゴールデン チャイナタウン/サヨナラ ウソつきの私」をリリース。6月22日には池袋のサンシャインシティ噴水広場でリリースイベントを開催した。
◆Berryz工房「ゴールデン チャイナタウン/サヨナラ ウソつきの私」リリースイベント 画像
土曜日ということもあり、多くのファンが噴水広場の周りをぐるりと取り囲む。いつもの「Berryz工房行進曲」のSEが壮大に鳴り響き、菅谷梨沙子を先頭に、最近、髪色を落ち着かせた夏焼 雅らメンバーが姿を見せると、地鳴りのような大歓声で池袋が揺れる。何事かと驚く通行人が足を止め、ももちこと嗣永桃子を目にして声を上げながら取り囲む人垣の中に混じっていく中高生の女の子たちの姿も。
イベントは、両A面シングルからの「ゴールデン チャイナタウン」でスタート。大人っぽい……というよりも、大人になったBerryz工房を堪能できる今回のシングル。麗かでセクシーな雅ちゃんの、じれったそうに身体をくねらせながら歌い上げる姿はもちろん、7人が(残念ながら金ではなかったが)マイクで歌えば、それはもう輝くTonightである。
曲の途中、Berryz工房のライブに少々テンションを上げすぎたのか、噴水が派手に水を吹き上げる。ところが飛び散った水に、はっちゃけ担当にして海外担当・徳永千奈美が足を取られてしまう。思わずうずくまる徳永に雅ちゃんが声をかける。各所でイベントを行なうたびにファンに対する気づかいや思いやりが最近、特に噂となっている雅ちゃん。副キャプテンとなり、これまで以上にグループ全体に目が届くようになったのだろう。思えば彼女はイベント本編はもちろん、公開リハの段階から事あるごとに前方、後方、上手下手の4方向のファンにちゃんと手を振って応えている(地下1階に位置する噴水広場は、1階から3階まで吹き抜け構造になっており、4方向からステージを観覧できる)。
怪我はなかったようでフォーメーションに合流する徳永と、キャプテン・清水佐紀もコンタクトを交わす。一方、ほかのメンバーはBerryz工房のステージを壊さないよう、何もなかったかのようにパフォーマンスを続ける。さり気なく仲間を気づかう一方で、どんなトラブルが起きても動じることなく、プロフェッショナルとしてステージを滞りなく進行させるBerryz工房。彼女たちのサンシャインシティでのイベントというと、前回は熊井友理奈のマイクトラブルがあったが、前回にせよ今回にせよ、10年のBerryz工房だからこそできるトラブル時の対応は見事である。
自己紹介のあとのMCでは、「ゴールデン “チャイナ”タウン」ということで、海外に行った時の思い出を語る。「タイに去年、(メンバーと一緒ではなく)ひとりで行かせていただいたんですよ。そこで「cha cha SING」っていうシングルをプロモーションしてきたんですけど、プロモーションと関係あるのかどうかわからないんですけど、急にヘビ使いのおじさんが現れて、大蛇を首に巻かされたんですよ。その時は、“自分、アイドルなのにな……”って、あらためて思った。」という徳永千奈美。ももちは「しょうがないよ、(今年)巳年だもん。」と一言。すると徳永は「ううん、(私は)申年。」と自らの干支を応える。「今年のはーなーし!」「行ったの去年の話だもん。」と、このふたりの会話はまったく噛み合わない。そんな様子に笑いが起こる。確かに、ワット・ポー前で起こったこの“事件”に「10年間やってきた中で一番辛い」というコメントを残すなど、その後に飲んだテンモーパン(スイカジュース)の味とともに、徳永にとってはいまだに忘れることのできないものとなっているのだろう。
一方、ももちは、「ありえない現象を目の当たりにした」と、台湾に行った時の話をはじめる。「みなさん、日本で大流行中の“可愛く謝る言い方”って、御存知ですか?」と、ギャラリーに問いかける。集まった観客たちは老若男女、様々な年代の人がいるはずなのに、不思議と誰もそんな謝り方を知らないのか、「知らなーい!」の声。「知らない? “許してにゃん”ってやるんです。……Say?」と、ももちは“許してにゃん”を一緒にやるようアピール。マイクをオーディエンス側に向けると、集まったファンは苦々しさを滲ませながら「許してにゃん」とつぶやく。「嫌々やらないでくださいよー!」と、定番の流れが無事キマリ、会場は笑いに包まれる。
「このように、正直、日本ではスベり気味なんですが、なんと台湾では、ももちが許してにゃんをやったら、“アンコール!アンコール!”と、ずっと鳴り響いていて、まさかの許してにゃんがウケるという不思議な現象を台湾で体験しました。台湾、合ってると思った。」
台湾での熱狂を思い出し、感慨にふけるももち。そんなももちに、雅ちゃんはじめほかのメンバーは、口々に「じゃあもう、台湾で。ひとり台湾で。」と、ももちの活動の拠点を台湾に移すべきと進言。ももちが今よりも輝ける場所があるならば、ももちのためを思って(?)台湾へ送り出そうという仲間思いの素晴らしい姿勢。そんなメンバーからの気持ちをありがたく受け取りつつも、ももちは「メンバーはもちろん、みなさん、ももちが日本にいないと悲しいじゃないですか。だから台湾の方には悪いけど、日本を第一に考えたいなっていうのはあるんで。」と、日本に留まるという苦渋の決断を下す。すると今度は菅谷梨沙子から、「たまに帰ってくればいい。」という、実に理にかなった提案がポンと出されて、ももちも思わず苦笑い(会場は手を叩いて爆笑)。さらにももちからは「タイでもナーラッ(ク)、ナーラッ(ク)言われた」という報告もされ(タイ語で「可愛い」の意味)、その人気は日本ではなくアジアまで波及している模様。「もうね、タイも合ってるね!」と、嬉しそうに語るももち。すると今度は「じゃあそっちに(移住すればいい)。」という再び親切な提案が行なわれる。
「少しずつ日本と感覚が違うんだろうね。こういう髪型って、日本では“不思議ちゃん”というか……はっきり言うと、「あ、キモいな」って思う人が多数だと思うの。でも向こうではこういうのが日本で流行ってるのかなって思っちゃって、「可愛い」って言ってくれるんだと思う。」
雅ちゃんによる、アジアでウケるももちに対する鋭い分析。クール・ジャパン、Kawaiiなど、日本文化に憧れを抱いていくれている海外の人たちは多い。彼らの日本に抱く親しみの感情と、ファンタジックかつエキセントリックなももち結びがリンクしてしまったのではないか、という解説。雅ちゃんこそが真実と、集まった誰もが納得する。もっとも、ももちだけは「ちーがーうー!」と否定したものの、確かに“あ、ちょっとキモいな”って顔して通り過ぎる人が今日もいたことを認め、「ももちはまだまだ日本でいきたいので、捨てないでください。よろしくお願いします。」と頭を下げた。
そして、こんな一連のやり取りに、サンシャインシティは“爆笑の噴水広場”となっていた。
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