【対談】新山詩織×栗原類が映画『絶叫学級』と音楽を語る「新山さんの曲は映画のシーンを完全に表している」

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新山詩織が主題歌を書き下ろした映画『絶叫学級』が6月14日に公開される。同作品は私立女子校に通う普通の女の子が主人公となるホラー映画だが、いわゆる肉体的苦痛を描いたものではない。人間の心の中に潜む“ちょっとした悪”をあぶり出して展開するストーリーが精神的に突き刺さる作品として注目を集めている。本作で映画デビューを果たしたのがネガティブキャラで人気のモデル栗原類だ。黒いハットを被ったミステリアスな役柄を好演、作品に深みをもたらすキーマンとしての存在感が大きい。新山と栗原の対面は同映画試写会が初だったとのことだが、この対談では『絶叫学級』の捉え方はもとより、私的な感情表現の方法や、コアでマニアックな音楽視点という面で、2人の感性が共鳴した。ピュアで強い意志を持つ2人の姿が露わとなったトークセッションの模様をお届けしたい。

◆新山詩織×栗原類 画像

■控えめな方だと感じるけど、曲を演奏する時や歌う時は目力が強烈──栗原類
■自分をちゃんと持っている人なんだなというのは前から思っていて──新山詩織

──映画『絶叫学級』は、栗原類さんの映画初出演作。主題歌「Don't Cry」を書き下ろしたのが新山詩織さんですが、お2人は、本作の試写会場でばったり会われたことがあるそうですね?

栗原:はい。あの時は少ししかお話できなかったので、今回がある意味、公式の“はじめまして”的な場です。この機会に改めていろいろとお聞きしたいと思います。

新山:ありがとうございます、うれしいです。

──栗原さんは、出演に先立って脚本を読まれた時、どんな印象を受けましたか?

栗原:人間の内面の闇が描かれている、と感じました。ホラーとはいえ、身体を切った痛さなど肉体的なものではなく、心理的な怖さですよね。この映画に出ているキャラクターは、おそらく無意識に自分たちの中にも存在していると僕は思うので、全員に共感できました。誰もが醜さを持っていて、それが逆に人間らしい、と感じましたし。“自分は何のために生まれて来たのか?”と悩んでいる人たちもこの映画を観て、何か共感できるような部分があったら、“自分は人間だ”と実感できるんじゃないかな?と僕は思っています。

──ご自身の演技を振り返ってみて、いかがですか? 手応えはありましたか?

栗原:セリフがない分、いるだけでどう存在感を示すか出すかが難しかったですね。目力や姿勢、頭の使い方などをメインにして演じました。完全に心を無にする、というか、何も感じない、何も考えないというのが役作りのメインだと僕は考えていたので、その精神統一的なものがすごく難しかったです。本番前でも常に首を下に向けていたので、結構痛かったんですよ。後日、首が凝ってるんだって分かりました(笑)。内容に合わせて、共演者の方々ともあまり口を利かないようにもしていましたね。

──栗原さんの出演シーンは、主人公の加奈(川口春奈)がピンチに陥る場面でもあります。新山さんのデビュー曲「ゆれるユレル」が流れ、“変わりたいよ 変われない♪”という歌詞が印象的に響いてきますね。

新山:最初、そのシーンで流れるとは知らなかったので、流れた瞬間はまずびっくりしました(笑)。栗原さんは表情で全部表現されていて、すごいと思いました。独特の存在感がすごくありましたね。

栗原:ありがとうございます、恐縮です! 新山さんの曲はそのシーンを完全に表している、と僕は思いましたね。

──主題歌「Don't Cry」はどのように書き進めていったのですか?

新山:原曲はもともとあったんですけど、タイトルも違っていて。脚本を最初に見させていただいて、その後でいただいた映像を観ながら、“この映画は、どういうことを一番言いたいのかなあ?”と考えながら書いていきました。一番に感じたのは、誰かと話している時に、何か引っかかるようなことを一言いったら、そこで何か世界が一変しちゃうんじゃないかな?ということ。たった一言で世界が変わってしまう、というのを自分の中でキーワードにして歌詞は書いてみたんですけど、けっこう時間が掛かりましたね。

栗原:新山さんは、いつもはどういうふうに曲を作っていらっしゃるんですか?

新山:本当に、その時その時思ったことを曲にしていますね。うれしかったらひたすら明るい言葉を、怒りだったらひたすらすごく反抗的な言葉を書いていきます。

栗原:曲を作る時は、完全にその一日は“この曲を作る!”というふうに専念するんですか? それとも本当に気分で、書き上げた言葉から何かを生み出そう、というふうに考えるんですか?

新山:どちらかと言うと、気分ですね。“作ろう!”と思って作ることはあまりなくて、その時思いついたら、録って、(ギターを)弾いて、作り始めるんです。

栗原:なるほど。僕は新山さんと初めてこうやってお話をさせていただいていて、すごく控えめな方だと感じるんですけど、曲を演奏する時や歌う時は目力が強烈で、全然違いますよね。スイッチの切り替えが鋭いな、と思います。新山さん独特のオーラを持っていらっしゃる、と思いますし、とても繊細な方ですよね。素敵です。

新山:ありがとうございます。栗原さんは、本当に自分をちゃんと持っている人なんだな、というのは前からすごく思っていました。

栗原:ありがとうございます。僕は、新山さんにもそういう部分があると思うんです。他人からどう言われても自分のアイデンティティを持っている、という。

新山:ありがとうございます。私、学校でもクラスの中で一人でいることもあるんですけど……。

栗原:僕もそうでしたよ、基本的に。

新山:いつも、誰かにはっきりとは気持ちを話さないで、自分の中で全部考えながら過ごしているから、それが嫌な方向に行っちゃうことがよくあって。

栗原:それでちょっと控えめになっちゃってる、というのもあるんですか?

新山:……常に、自分の意思は最優先ではない、と思ってますね。

栗原:それは僕もそうです。自分は立場が下だから、常にそれをわきまえておかないといけないと思っている、という部分には、シンパシーを感じますね。

新山:なんか、上に行ったらいけないような気がするんですよね。

栗原:言い方を変えるとしたら、上に行ってもつまらない、というのがありますよね。上に行って持ち上げられるなら、今のポジションをキープして、一般的に見れば地味かもしれないけど、個人としてはすごくいい人生を送ることができる、という。そういうのはあると思います。

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