【インタビュー】曽根由希江「この曲は自分以外の誰かを大切にする気持ちを改めて自分も持っていたいという思いで書いているんです」

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大学在学中からbay FMにてラジオパーソナリティーとしても活躍し、2012年リリースした「ねぇ、どうして」は、有線放送問合わせチャートで三ヶ月連続でトップ10入り。ジワジワと話題を集める曽根由希江がニューシングル「願っているから」をリリース。この曲は、これまでずっと心に秘めていた願いを歌に込め、等身大の気持ちを歌ったスケールの大きなラブソングとなっている。その熱い想いを語ってくれた。

◆曽根由希江「願っているから」~拡大画像~

■自分が何を言いたいのかはちゃんと持って行きたい
■ある意味プレッシャーもありますけど

――二歳からピアノをやってたなんて、英才教育ですね。

曽根由希江(以下、曽根):さすがに自分の意思ではないので、そこに関しては親に感謝です。二歳の途中から、三歳のクラスに入ったんですが、まだ力もないし、一本指で弾くっていうところから始めた感じですね。

――小学校に上がったときは、かなり弾けたんじゃないですか?

曽根:はい。いろんな場面で確実に伴奏を頼まれるって感じでした。校歌とか。自分の卒業式でまで伴奏してましたからね(笑)。

――校内でも有名だったんじゃない?

曽根:そうですね(笑)。学校ではピアノの子とか、ピアノの先輩って言われてましたね。

――シンガーソングライターを目指したのは学生時代とのことですが、大学生?

曽根:中学です。それまではクラシックピアノをやってるだけだったんですが、中1のときにポップスを弾きたいと思って、独学でコード進行を勉強しはじめたんです。Kiroroさんの「長い間」を弾き語りしてみようと思って。歌も好きだったし、ピアノも弾けるし、一緒にやってみたらどうだろう?っていう単純な興味からなんですけどね。で、中2のときに謝恩会で発表したんですが、弾き語りをやってくうちに、じゃあ、自分で作ったらどんな感じになるんだろうって、楽しい気持ちが芽生えて。高1くらいから歌詞を書いたり曲を作るようになったんです。でも、人に聴かせるでもなく。誰にも言えないような自分の感情を歌にぶつけてスッキリした! みたいな感じだったんですよ。

――その時はまだ自己満足だったんですね。

曽根:はい。でも、大学一年生のときに、親友に、「せっかくだから、作ってる曲、もっとみんなに聴いてもらえばいいじゃん」って言われて、学園祭で初めて披露したんです。そしたら、その時に、周りの友達が「良かったよー!」って言ってくれて嬉しかったんですが、「良かったってどういう意味なのかな」って思っちゃったんです。友達がステージの上で何かやってることに感動した良かったなのか、それとも歌詞が伝わったという意味の良かったなのか。初めてその時に考えて。曲って歌詞に共感したり、歌から伝わってくるものがあったり、心の奥底に届いているものに感動して聴いてたなぁって改めて感じたんですね。果たして自分が今まで書いてた曲は届く曲なんだろうかって思った。そこから、プロの人はどうやって曲を作ってるんだろうって気になって、一気にプロを目指したくなったんですよ。趣味じゃなく仕事に出来たらって。

――プロになりたくて曲作りを始めたわけではなかったんですね。

曽根:そうなんです。小学校の頃から音楽が好きで、ピアノも習って、歌も好きだったから、どこかできっと、将来は音楽をやる人になりたいというのは思ってたと思うんですよ。でも、自分なんかなれるはずもないって思ってたから、口に出す勇気もなかったのかなって。でも、それまでコソコソ作ってた曲を発表したら、音楽への想いが開いちゃったというか。

――コソコソ(笑)。

曽根:そうですよ(笑)。自分の奥底の誰にも言えない気持ちを日記代わりに歌にしてたって感じで、人に知られるのも恥ずかしいような感情を書いてましたからね。当時はまだ思春期で、今なら笑い話にできるようなことも出来ませんでしたし、だからこそ、その気持ちをぶつけるために書いてたわけですから。だから「誰も聴かないで!」くらいの感じでしたから(笑)。

――ラジオのパーソナリティとしても活動されてますよね。どっちにしろ声のお仕事ではあるわけですけど。

曽根:はい。ラジオはやってみなければわからないという感じだったんですが、リスナーさんとの心の距離がめちゃくちゃ近いんですよね。向こうも近付いてきてくれるし、こっちもなるべく心の柔らかいところに行きたいと思って言葉も選んでしゃべっているので。そういうところが音楽とめっちゃ似てるなって。

――生放送はライヴみたいですよね。

曽根:本当に。音楽も心のどこかを触れるように伝えて行きたいと思っているので、ラジオで届けることも音楽を届けることも根本的なところが似てるんです。だからすごく勉強にもなった。ラジオの仕事をしたから書ける曲もあったと思います。

――リスナーから恋の悩み相談とかも来そうですしね。

曽根:そうなんですよ。それこそ中学生の女の子がくれた恋の悩み相談をきっかけに書いた曲もありますし、ランチタイムの休憩中に「落ち込んでます」ってメールをもらって、そういう人を元気づける曲を書けないかなって作ったりとか。メールの数だけ人生があるって思ってるんですが、色んな人生のカケラを分けてもらってるぶん、色んなことが書けるんですよね。近い距離感が好きです。対、人間にもっと何かを届けたいという思いをもっと強く持たせてもらったような気がします。

――パーソナリティーとしての活動を経て、いざシンガーソングライターとして活動を始めてからの気持ちはどうですか?

曽根:デビューまでが長かったので、やっとデビュー出来るっていう気持ちが強かったんですが、念願のシンガーソングライターとしての活動が出来るわけですから、超がむしゃらに走ってたイメージですね。なかなか自分を振り返る時間もなく、ただただ自分に出来ることを一生懸命やり続けて今に至るっていう感じ。やっとデビューして、それからもう二年半が過ぎて、昨年ワンマンライヴを初めてやらせていただいたんですね。自分が曲を作っているときとかはどう届くかわからないし、聴いてくれる人のことを想像しながら作るんですけど、ちゃんと聴いてくれている人がいるんだなっていう感謝の気持ちはすごく感じるようになりました。自分の気持ちや感情を歌にして届けて、聴いてもらってというのは普通のことじゃないって思うんです。ある意味、毎回毎回怖いんです。人って、何か意見を言うときって怖いじゃないですか。

――「どう思われるのかな?」っていう気持ちはありますね。

曽根:そう。批判されるんじゃないかとか。本当にそういう感じで毎回ぶつかっていきたいって思います。自分で音楽を発信するのが怖いなって思うくらい、自分の本心をぶつけていきたいなって思えるようになってきました。そういう部分がアーティストっていう職業で頑張ってこれて、もっと続けて行きたいなって思える理由かもしれないですね。本当は怖いって思ったりもしますけどね(笑)。普段だったら言いづらいことこそぶつけていけることが、実はすごいことなんじゃないかなって思うので。それって、自分が作詞作曲を始めたときに人に言えないことをこっそり書いてたっていう感覚があるから思うのかもしれないんですけど。自分が何を言いたいのか、そういうものはちゃんと持って行きたいと思っています。ある意味プレッシャーもありますけど(笑)。

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