【インタビュー】三浦大知と雑談をしよう。後編 「みんなの“気づき”になりたいですね」

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■ グラミー賞、獲りたい

── ところで今回、なんで大知くんに話を伺おうって話になったかというと、個人的に大知くんと雑談して記事化したかっていうのもあるんですけど(笑)、今の音楽シーンって、K-POPとか海外から日本に入ってくる音楽が多いじゃないですか。でもこれからは、逆に日本から海外に向けて音楽を発信していかないといけない。そんな中で、「世界を相手にしてもまったく引けをとらない、世界に誇れる日本のアーティストって誰?」って編集部内で話になり、最初に挙がったのが「三浦大知」という名前だったんです。

大知:いやー、ありがとうございます。光栄です。

── で、大知くん自身、世界進出とかどんなふうに考えてます?

大知:そうですね。あのー、もちろん、もちろんというか、言うのはタダなので言いまわってたんですけど、グラミー獲りたいなって気持ちもありますし、あの、ちゃんとなんかこう、「日本に面白い奴がいるな、日本の音楽面白いな」って思ってもらえるアイテムのひとつに自分がなれたら最高だな、って思いますね。

── YouTubeとかで大知くんの動画って、英語での書き込みも多いですし、日本だけでなく世界からも注目されているのは感じますよね。

大知:はい。ただ、すごい難しいとは思うんですよね。一番いいのは、日本語の曲で海外でヒット。それがしっかりいけたら相当いいなって。……それ考えると、この間のPSYのアメリカでのヒットとか羨ましいですよね。母国の言葉でちゃんと音楽として評価されることができた時に、「日本の音楽やったぜ!」って思える気がするので。

── 確かに。

大知:変な話、サウンドとかって海外と大差ないというか、それこそWebとかもあって、音楽レベルって垣根を飛び越えていけるというか、関係なくなってると思うので。そうですね。だから、日本語の曲で海外で受け入れられたら最高だな、ってすごく思いますね。

── 最後に、今、この時代について。音楽の状況を見ると、利便性こそ高まったものの、作品の大量生産・大量消費で、決して恵まれている時代とはいえない時代だと思うんです。そんなこの時代、2013年、そこから先。三浦大知は音楽を通して、何を伝え、何を残して行きたいですか。

大知:とにかく、去年からずっと言っているんですけど、「理屈じゃない」ものをどんどん創っていきたいなって思ってますね。子供の頃とかに、言葉はわからないけど、向こうの曲で踊ったりとか、聴くと盛り上がるとか。なんか言葉わかんないけどグッとくるとか。当時って、もちろん音楽の概念というかジャンルなんてものもわからないし、でもすごい好きで聴いてた時期とかあって。そういう時の気持ちって、大人になると経験も増えてなかなか刺激に強くなってくるというか、なくなってくるので。どっか考えちゃうところが増えてくると思うんです。そんなフィルターを取っ払って、みんなが、なんかこう、「理屈じゃない」というか、心にそのまま届くものをとにかく創っていきたいですね。

── 心に、届いてますよ。

大知:ほんとは、こういうことを言わなくなった時に創れているんじゃないかって思うんですけどね(笑)。とにかくみんなが……うん。みんなの“気づき”になりたいですね、三浦大知の音楽が。そんなことができたら最高だな、って思います。

  ◆  ◆  ◆

インタビュー終了後、三浦大知の写真を撮影しながら、さらにもうひとつの疑問についてさりげなく訊いてみる。過去、様々なところで質問されていながらにして、その答えがこれまで明言されていないものだ。

「ところで、ホールツアーのタイトルにある<exTime>ってどういう意味だったんですか? 私はてっきり“ex-”という接頭辞が“外側”という意味を持つから、時間の外側。つまり、“時を忘れさせるようなショー”という意味かと思ったんですが。」

ex-,ef-,e-、ラテン語から生まれたこれら接頭辞は同じグループに属し、後ろの単語に“外側”の意味を付け加える(後ろにつく単語の最初の音によって、組み合わせる接頭辞は異なる)。

この質問に大知は、「近い線いってますね。」と、言いつつも、笑顔を見せて答えをはぐらかす。「ライブを観てくれた人がそれぞれに感じたもの、結局はそれが答え」と言わんばかりの笑顔だ。

三浦大知のライブ。それは時を忘れさせてくれるとともに、「ダイチがいるから心配ない。」というフレーズもあるように、三浦大知のほとばしる感情とエナジーから、日本の音楽シーンはまだまだいける、という“力強さ”にも似た感覚を再認識できるステージでもある。

ちなみに、先に取り上げた「ex-」の接頭辞。これに三浦大知のライブで感じることができる「力、強さ(=force)」という単語をつなげてみる。この場合、接頭辞はex-ではなく“ef-”へ、さらにforceは“fort”となる。

日本武道館公演、ホールツアー、そして昨今の三浦大知ムーブメント。どんな場面においても三浦大知が我々に与えてくれる驚きと感動。ただ一方で、表には出てこない“もの”が確かにある。

単語をつなげた瞬間、浮かび上がってくるのは、まさしく“それ”を表す……いや、これはきっと、言葉遊びから生まれた単なる偶然なのだろう。

そんな三浦大知との、雑談。

  ◆  ◆

なお、2月18日、三浦大知に関する新しいニュースが入ってきたのでここに追記しておく。三浦大知の新曲「Half of You」が、『ネスレ キットカット オトナの甘さ』の新CMソングに起用されることが明らかになった。本作は、LADY GAGAなどを手がける作家・Brian Leeと三浦大知による日米共作楽曲。なお、2月20日より着うた(R)配信がスタートする。


text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

◆インタビュー チャンネル
◆三浦大知 公式ファンクラブサイト「大知識」
◆三浦大知 オフィシャルサイト
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