サカナクション・山口一郎、「(新曲「僕と花」の)バランスにはとても気を配りました。」

ポスト

2011年に発売された5枚目のアルバム『DocumentaLy』以来の音源リリースとなるニューシングル「僕と花」が、バンド史上初となるテレビドラマ主題歌に起用されたサカナクション。バンドにとって新たな挑戦となったこのシングルについて、メンバーを代表してヴォーカル&ギターの山口一郎にニューシングルにこめた思いを聞いた。

◆サカナクション 画像

「ドラマ(関西テレビ・フジテレビ系『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~』)サイドから指名して頂いて主題歌を担当することになり、素直に嬉しかったですね。ただ、ドラマ用に曲を書き下ろすということが初めてだったので、かなり悩みました。曲を書くにあたっては脚本を事前に全部読ませてもらった上で、楽曲制作に入りました。」

そういった中で、「僕と花」が作られていったわけだが、楽曲についてこのように語っている。

「最初に書いた歌詞はドラマが始まる前のストーリーを勝手に想像して作ったんですけど、切なくなり過ぎちゃったから一度没にして、ドラマが終わった後の設定であらためて歌詞を書き直しました。なので、この曲は、ドラマが進むにつれ、だんだんストーリーとリンクしてくるようになっていると思います。
また、ドラマが“37歳になってからでも人生をやり直せる”という内容なので、ドラマサイドからは、背中を押してくれるような曲を、とお話を頂きました。具体的には「アイデンティティ」や「アドベンチャー」みたいな曲をイメージされていたみたいでしたが、自分からサカナクションでいうと初期のサウンドが合うんじゃないか、と逆に提案させてもらって「僕と花」が完成しました。」

実は、ドラマ主題歌というタイアップの特性を考慮して、いつも以上に“バランス”に気を配ったことも明かしてくれた。

「テレビドラマって、本当に色々な人が観るので、ドラマで曲が流れた時の聴こえ方はすごく意識しました。前からサカナクションを知っている人が聴けば“あの頃の曲調だな”って思ってくれるだろうし、名前だけは聞いたことがある人には“サカナクションってこういう感じなんだ”って認識してもらえる。逆に、まったく僕らのことを知らない人にも“この男性ヴォーカリストは誰だろう”くらいに気にしてもらうきっかけになる。自分たちのこだわりはもちろん反映させていますけど、このバランスにはとても気を配りました。」

また、ニューシングル発売直後からスタートする全国ZEPPツアーについては、「どういうものにしていくのかは大体考えています。ただ、アルバムをリリースしてから回るツアーじゃないので、アルバムの曲をやらないといけないという制約がなくて、自分たちの曲で今ライヴでやりたいものを選曲して、それぞれをどう見せていくか、楽しみですね。」とのこと。3月に行なわれた幕張ライヴBlu-ray / DVD発売記念USTREAMでも語られた、“チームサカナクション”によって創り出されるライヴも楽しみにしていてほしい。

前作『DocumentaLy』を作っている過程あたりから、考え方が変わっていき、せっかく舞い込んだチャンスは全部受け入れてどんどんチャレンジしようと思うようになったというサカナクション。

日々変化し続ける音楽シーンにおいて、音楽と真摯に向き合い、新鮮な驚きと、音楽の持つ可能性に挑戦し続ける彼らの、ドラマ主題歌という新しいフィールドへと誘う「僕と花」。この新曲は、より一層の進化を遂げていくサカナクションを投影した作品となっている。

文:藤井麦丸

◆サカナクション オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報