ポップ・アートの草分け的デザイナーが死去

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ポップ・カルチャーに比重を置いたアート・ムーブメントを先導し、ビートルズの『ザ・ホワイト・アルバム』のカバー・ジャケットのデザインを手掛けたことでも知られるポップ・アートのパイオニア、芸術家リチャード・ハミルトンがイギリスで死去した。ハミルトンの代理を務める画廊の話によると、亡くなったのは9/13(火)の早朝だったとのころで、享年89歳だった。

しばしば“ポップ・アートの父”と呼ばれたハミルトンは、自らのアート作品にコマーシャルやポップ・カルチャーのイメージを取り入れるという斬新な手法で知られ、1950年代に発表した影響力の強い作品としては、『JUST WHAT IS IT THAT MAKES TODAY’S HOMES SO DIFFERENT』が有名だ。これは家の中にある様々な物に囲まれている裸のカップルをコラージュした作品で、男は“POP”と書かれた大きなペロペロ・キャンディーを抱えている。

一方、1968年にリリースされた2枚組アルバム『ザ・ホワイト・アルバム』は対照的に至ってシンプルなデザインで、真っ白な四角いジャケットの中には中心から若干ズレた場所に“The BEATLES”の文字が描かれているだけが、同じくハミルトンが手掛けたアルバム内部のアートワークでは、メンバーたちのランダム・ショットがコラージュされている。その中には、裸のジョン・レノンがベッドでオノ・ヨーコの隣に横たわっているものや、バスタブの中に潜っているポール・マッカートニーの写真もある。

昨年、ハミルトンは『ザ・ガーディアン』紙のインタビューの中で、ビートルズとの関係やこの『ザ・ホワイト・アルバム』を手掛けることになったきっかけを語っている。それによると、もともとは1950年代半ばにハミルトンがロンドンの有名なアート・ディーラーだったロバート・フレイザーのパーティーに出席し、そこで自らの作品を彼に見せていたときにビートルズの面々と知り合ったそうだ。

「ロバート(・フレイザー)は、僕にビートルズの新作のデザインを手掛けたらどうかと薦めてくれて、その後ポールと直接会って話をした」そうで、ビートルズのオフィスの周りには、常に短いスカートにロング・ブーツ姿の女の子たちであふれかえっていたのが印象的だったと語っている。

また、このアルバムのデザインに対する報酬は非常に少なかったそうで、「我々デザイナーへの払いは、なんて少ないんだ!って驚いたよ。ピーター・ブレイクが受け取った『サージャント・ペッパーズ』のデザイン代は、たったの200ポンドだったしね。僕は自分が幾らもらったのか正確には覚えていないけど、ピーターの話では同じ200ポンドだったらしい。ひどい額だよ」とコメントしている。
br>◆ニュース提供:ビルボード
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