LUNA SEA、東京ドーム公演2日目は5万5000人の熱量が爆発する聖夜
LUNA SEAの東京ドーム公演<LUNA SEA 20th ANNIVERSARY WORLD TOUR REBOOT -to the New Moon- >2日目が12月24日のクリスマスイブに東京ドームにて開催された。
◆LUNASEA 画像@2010.12.24<LUNA SEA 20th ANNIVERSARY WORLD TOUR REBOOT -to the New Moon- >
「LUNA SEAの集大成となるライヴだけに、これを最後に封印される曲もかなりあると思う。ともかく、20年前に自分たちが作った音楽を現在のスキルをフルに使ってやってみたい。」── SUGIZO
「5人それぞれの個性と奇跡的なバランス、その火花を見てほしい。だからこそ生まれる音楽の素晴らしさ、だからこそ生まれるテンションを俺らはまだ信じている。それを見せたいし、それを味わいにきてほしいし、それがまた新しい俺たちの未来を作っていくと思う。本当にすごい大きなエネルギーのうねりを感じる。それこそが、このバンドの持つ不思議な力だと思う。」── J
2010年12月1日に正式に交わされたエイベックスとの所属契約を挟んで、ドイツにロサンゼルス、香港、台北と世界ツアーを回った後の、12月23日から25日まで3日間開催されるLUNA SEAのドーム公演(25日は無料ライヴ<LUNACY 黒服限定GIG ~The Holy Night~>)。ツアー全体の観客動員は約20万人で、そのうち東京ドーム3日間の観客動員は、計17万5000人にものぼる。これだけでもLUNA SEAのすごさを語るのには十分だろう(ちなみにドーム公演3日間でのバンドやスタッフなどの総数も、のべ1万人と、LUNA SEAを中心に本当に膨大な人数が動いていたのだ)。
18時43分。BGMが突然止まり、流麗なピアノの調べとブルーのライトが空間を切り取る。この日のドームを埋め尽くした5万5000人のスレイブたちはクラップでその時を待つ。そして、スポットライト。センターにはRYUICHIが立ち、「Time Has Come」のフレーズをアカペラで歌いあげる。まさに“Time Has Come”。時は来たのだ!
ステージから発せられるまばゆい閃光と音の塊。真矢とJの、体の中に突き上げるようなリズムと、INORANとSUGIZOの歪んだギターが重なり、RYUICHIの艶やかなヴォーカルが響き渡る。ステージ上部の大型スクリーンには、5人の姿が映しだされる。続く「Dejavu」のイントロで、オーディエンスからは再び大歓声が上がる。東京ドームの暗闇よりも深い黒をまとった5人が立つステージに、歓喜の拳が向けられる。
「みんな会いたかったぞ。みんな会いたかったぞ。今夜も、今夜もあなたにLUNA SEAの息吹を、みんなに感じてもらいたいと思います。約10年の時を待ち続けてくれたみんなに、本当に、1曲1曲を通して、想いをぶつけていきたいと思います。みんな用意はいいか! いけるか!」
RYUICHIもサングラスを外して、ブーストがかかる。スリリングな「JESUS」から「END OF SORROW」の展開にオーディエンスはステージから目が離せなくなる。さらに「SHINE」では、5万5000人が一斉に手を振る。強烈な求心力から生まれたその景色は、風にたなびく稲穂のような美しさすら備えていた。
「LUNA SEAという5人の旅の行方は、まだどうなるかわからないけど、みんなが3年前に、そして今回、ずっとLUNA SEAを信じてくれたから、俺たちは帰ってくることができました。いや、みんなほんとにすげぇと思うよ。待っててくれてありがとう! 俺たちはもう一度始めたこの第一歩をみんなと一緒に過ごすことができて、本当に嬉しく思っています。」
2夜目をともに過ごすスレイブたちにLUNA SEAが捧げたのは、Jの地をはうような重厚なベースが曲全体を支配する「FACE TO FACE」。RYUICHIが次の曲を紹介するたびに、オーディエンスからは地鳴りにも似た声が響く。<さよなら 揺れていた せつなくて ずっと>。「gravity」では、グリーンとホワイトの光の粒が東京ドームという空間を優しく包みこんでいく。あの頃と変わらない時間の中で、あの頃より少し大人になり、切なさも優しさも少しは受け止められるようになった。そんなLUNA SEAとオーディエンスによって作り出した空間がそこにはあった。
SUGIZOのバイオリンの調べに乗せたワルツのリズムといえば「Providence」、さらに「GENESIS OF MIND」と続き、「今日を最高のイブにしようぜ!」と、ステージ上に炎も吹き上がった真矢のソロへ。そして真矢のドラムに鼓舞されてステージにJが飛び出し、ふたりによるヘヴィーかつ雄々しいリズムが東京ドームを叩き潰す。これにはオーディエンスも両手を上げて大喜びだ。
「世界一のバンド、LUNA SEAが帰ってまいりました。」
メンバー紹介ののち、こう述べて少しハニカミながらお辞儀をするRYUICHI。そしてメンバーは、花道の脇のオーディエンスに手を振りながらセンターステージへと移動する。
「今夜は、この世界の中心から、みんなに想いを届けたいと思います。今夜も、世界の中心から、俺たちの言葉を届けたいと思います。」
彼らが東京ドームの中心、いや、世界の中心から2010年のクリスマスイブの夜に届けたかった言葉。それは「I for you」。LUNA SEAからの言葉に、360度、ファンからの温かい拍手が揺れる。「ホントに最高です。みんなどうもありがとう。」という言葉通り、オーディエンスに負けないくらい、メンバーも誰もが笑顔だ。
いよいよライヴは佳境。ラストに向けて加速していく。
「今回のワールドツアーは、ドイツ、ロサンゼルス、香港、台北、すべての都市で、本当に熱いオーディエンスに囲まれながら、本当に幸せな時間を過ごすことができました。日本は…負けてられないでしょ? 正直、ドイツのオーディエンスにはビビったけどね。すっげぇパワーだった。でも、日本は負けてられないでしょ。そろそろお前らの底力を見せてみろ、いけるか!」
「STORM」「DESIRE」「TIME IS DEAD」「ROSIER」、そして本編ラストの「TONIGHT」と、LUNA SEAが放出するエネルギーga、そのひとつひとつ、一音一音がオーディエンスを確実に貫いていく。息もつかせぬ、とはまさにこのこと。繰り出される名曲の連続に、呼吸をすることすら忘れるほどの勢いで、会場のボルテージはひたすら上がり続ける。
INORANとSUGIZOがステージ上からオーディエンスを煽ると、真矢のスティックは手の中で華麗に回転する。恐ろしいほどに高い演奏技術と激しいパッション、そして釘付けになってしまうほどのカリスマ性。躍動するオーディエンス。この瞬間、暗闇を切り裂く無数のフラッシュライトの先には、その3つを備えたロックの獣が牙を剥き出しにしていたのだ。
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