ASH、激変の業界の中を颯爽と突き進む才能とバイタリティ

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『The A-Z Series』完結編となる『A-Z Vol.2』が、予定通り10月6日に日本先行発売となる。無事に収録曲も発表となりジャケット写真も公開となった。

◆ASH画像

9年もの間、共に活動してきたシャーロット・ハザレイとアッシュは、2006年2月に別々の道を歩むことに同意。時を同じくして、ティムは無使用のスタジオをマンハッタンで偶然にみつけ、レコーディングもリハーサルもできる自分達の拠点を持つこととなった。このスタジオこそが『The A-Z Series』の原点となったものだ。

2007年6月、ASHはワイト島フェスのステージで5枚目のアルバム『トワイライト・オブ・ジ・イノセンツ』が自分達にとって最後のアルバムになると発表。しかし解散の報道は否定し、マンハッタンのスタジオでの12ヶ月近い作業の末、結構な数の新曲を作り上げ、究極のシングル・バンドによる究極のシングル・コレクションの計画を明らかにした。

そこで発表されたのは、1年間で26曲というアルファベットの各文字のシングル曲を2週間毎に発表していくという壮大な計画。無謀とも思われるこの企画は、天才メロディ・メイカー、ティム・ウィーラーの創作意欲に火をつけ、結果、シリーズを形作る26曲のシングルは完璧な内容となった。

「ダウンロード等の普及でアルバムの時代は終わり、シングルが中心だった50年代/60年代にシーンは逆戻りしてしまうかもしれない」と言われている昨今。そうした状況に「人々の音楽の聞き方が変わった。ダウンロードの到来によって単体の曲に重きが置かれるようになった」と新しいデジタルの世界での劇的な復活を約束したのがASHだった。

彼らのチャレンジは、ある種、実現不可能な奇異なものに思えたかもしれない。しかし、アルバムが売れない、と頭を抱えるだけで何のアクションもおこさない今の音楽業界を横目に、自分達なりのやり方を見つけ出し、それを独力で実現し提示してみせたASH。彼らのこの行動が今後、大きな意味を持ってくることだろう。

全てシングル・クオリティ、コンスタントに発表し続けるバイタリティ…ASHの才能は、激変の音楽業界の中で、滝登りをする魚のように奇跡の生命力を輝かしている。
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