音楽という言葉で互いを理解し共鳴し合う、テイ・チャー・シアン

◆テイ・チャー・シアン画像
――日本の読者に自己紹介をお願いできますか。
テイ:私はマレーシアのマラッカという町の出身で、高校卒業後はクアラルンプールのカレッジに行き、演奏活動を開始しました。その後、アメリカのウエスト・ヴァージニア大学の大学院でクラシックとジャズを専攻し、在学中にヤングアーティストコンテスト等を受賞しています。クアラルンプールに戻ってからは、大学などで生徒の指導をしたり、様々なグループのメンバーとして活動してきました。WVCトリオなど、自分のバンドのアルバムも何枚かリリースしています。

テイ:日本やタイのトップ・ミュージシャンと一緒に仕事をする機会を得て、とても光栄に感じています。メンバーからは音楽に対する真摯な姿勢など、たくさんのことを学び、本当にいい経験を積むことができました。
――それぞれのメンバーは、出身の国やバックグラウンドが異なりますが、とても仲がいいそうですね。
テイ:皆と初めて顔を合わせたのは、マレーシアだったのですが、最初はうまく意思疎通ができるか心配していました。しかし、リハーサルを始めてみると、すぐに息があって、まるで長い間一緒に演奏をしてきたように感じました。普段、話すときは英語を使いますが、英語で言いたいことを表現するのはむずかしい場合があります。でも、音楽的には私たちは話をしなくても、通じ合うことができる。音楽という言葉は、国籍やどこで育ったかといったことは、まったく関係ない。お互いの音を聞けば分かり合うことができるんです。
――子どもの頃はクラシック・ピアノを学んでいて、10代の頃にジャズに興味を持ったそうですが、ジャズの魅力はどんなところにあるのでしょうか?

――来日は今回で3度目だそうですが、日本の印象はいかがですか?
テイ:日本では、様々なことに驚かされます。電車は時間通りに来るし、町も清潔。私のような外国人が、日本国内を旅行しようと思っても、時間のことなど余計な心配をする必要がありません。日本の人は、何にでも真面目に取り組んで、物事がすべて予定通りに進みますね。
――村上春樹のファンだそうですが。
テイ:彼の小説は、高校のときから読み始めました。村上春樹もジャズが好きで、私がこの世界に関心を持ったのは、彼の影響でもあります。その他、村上龍のエッセーや片山恭一なども読みますよ。日本については小説だけでなく、奈良や京都のお寺にも興味があり、刺身やラーメンなどの食べ物も大好きです。
――本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
Text: Emi Saito