「Berryz工房が変わった!」 春ツアーファイナル公演レポ
2009年2月から行なわれていたBerryz工房の春のツアー<Berryz工房 コンサートツアー2009春 ~そのすべての愛に~>が5月17日、東京厚生年金会館でファイナルを迎えた。
2009年2月からという長期にわたって行なわれた今回のツアー。最中にはメンバーがインフルエンザにかかり名古屋公演が中止されるといったアクシデントにも見舞われたりもしたが、最終日の最終公演(夜公演)は、これまでのアクシデントを持ち前の団結力で乗り越えてきたという彼女たちの自信からか、彼女たちの成長と可能性を強く感じることのできるライヴ、言い換えるなら、Berryz工房がただのアイドルグループという存在から抜け出さんとしている、進化の片鱗のようなものがいたるところに見られたライヴとなった。
◆<Berryz工房 コンサートツアー2009春 ~そのすべての愛に~>ファイナル公演 フォトアルバム
“そのすべての愛に”というツアータイトルにふさわしい、レッドカーペットとバラのオブジェで彩られたステージ。そして開演前から流れるは、ショパンの「英雄ポロネーズ」をはじめとするクラシックの名曲。開演前は、さながら舞踏会でも始まるかのような様相だ。
ライヴは約10分遅れでスタート。ベートーヴェンの「交響曲第9番」が鳴り響く中、客電が落ち、オーディエンスのボルテージは一気に最高潮へ。オープニングのSEの中ステージ上に登場したBerryz工房のメンバー。ひとりずつにスポットライトが当たり、オーディエンスからは大きな歓声。そしてそのまま1曲目のBerryz工房19枚目のシングル「抱きしめて 抱きしめて」へ。
今回のツアーで大きな驚きを与えてくれたのが、ライヴ初盤のアカペラ&ヴォイスパーカッションコーナー。Berryz工房の代表曲のひとつである「ギャグ100回分愛してください」を自分自身の声のみで披露するという試みには、荒削りではあったもののアカペラグループとしてのBerryz工房の可能性を感じさせた(Berryz工房は全員がヴォーカルをとることのできるグループだが、言うまでもなく、全員がヴォーカルをとれるということと、コーラスワークやヴォイスパーカッションができるというのはまた別の話である)。
菅谷梨沙子が、より高い演出力を身につけたというのも注目すべきポイントかもしれない。Berryz工房の中でも、歌唱時に核となっているのが、夏焼 雅と菅谷梨沙子。最年少ながら歌手として高いセンスを持つ菅谷梨沙子だが、彼女のソロとして披露された「さぼり」では、歌声だけでなく表情や仕草(キュートなアヒル口を含む)でもオーディエンスを魅了するなど、完全に彼女のステージを作り上げていた。そして菅谷梨沙子の実力アップによって、グループ全体のステージングが底上げされたというのも明らかだ。
一方、魅了といえば、嗣永桃子は、歌の途中で見せる大人びた表情で我々を魅了した。いつまでも天真爛漫なキャラクターで普段、我々を楽しませてくれる嗣永桃子。MCコーナーでは、キャプテンの清水佐紀と“どちらのほうが大人の色気があるか”を競い、オーディエンスから“桃子には色気がない!”ともとれるような、お約束のブーイングを浴びていた彼女。そんな、童顔であるがゆえにいつまでも子供っぽくみられてしまう彼女が、歌の最中、多くは自分のパートが歌い終わった直後に見せる、涼しげで大人びた表情。“彼女はこのフレーズを歌い終わったら、次はどんな表情を見せるのだろう。” 瞬間的に見せる桃子の大人の女の表情を一度目にしてしまうと、ステージ上の彼女の一挙手一投足に釘付けとなってしまう。
キャプテンの清水佐紀は、実に細かいところまで自分のパフォーマンスに関してこだわりを持っているのがよくわかった。ダンスセンス、リズム感はグループ随一、いや、ハロー!プロジェクトでもTOPレベルともいえる彼女のこだわりが感じられたのは、嗣永桃子とのデュエットで披露した「Ah Merry-go-round」でのステップ。実は彼女、センターに移動したり、桃子の周りを回る際など、すべて、曲のリズムにステップを乗せていた。この公演にはDVD用のカメラが入っていたようなので、映像作品化された際に一度チェックしていただきたいのだが、彼女のアクションのひとつひとつには、曲のリズムに合わせるように緩急がつけられている。そしてこのキャプテンの動きによって、ステージ全体にノリが生まれる。自分が常に前に出て、というよりも、一歩引いたところで縁の下の力持ち的なポジションに徹するキャプテンが、ともすればファンにすらも気づかれないような細かい部分にも見せるこだわり。彼女のひたむきな姿勢には、もはや感動すら覚える。やはり清水佐紀というキャプテンの存在があってこそのBerryz工房。Berryz工房にキャプテン・清水佐紀あり、なのだ。
そして、ライヴ全体を通してBerryz工房のメンバー全員が、オーディエンスと一緒にライヴを楽しんでいるというのが、同じ空間を共有して伝わってきたことだろう。ともにライヴを楽しみ、ともにライヴで燃え、そしてともにライヴで感動する。気持ちと気持ちのキャッチボールが交わされた最終公演の充実感は、エンディングで菅谷梨沙子が見せた涙が何より物語っていたはずだ。
新曲にも触れておきたい。アンコールでは、6月3日リリースの新曲「青春バスガイド」が初披露された。テレビ東京系アニメ『イナズマイレブン』のエンディングテーマとなっているこの曲は、年上の女性(バスガイド)に憧れる青少年の甘酸っぱい複雑な恋心(=青春)をBerryz工房が歌う。男性のオーディエンスはその歌詞ひとつひとつに共感しながら、この真新しい楽曲に耳を傾けていたことだろう。
ラストに薔薇の花びらが舞った「そのすべての愛に」まで、Berryz工房の今の実力を存分に見せつけたファイナル公演。余談だが、終演後のバックステージで、“Berryz工房が変わった!” “すごい!”という声が、ステージを観ていた複数のメディア関係者の口から聞かれたというのも、彼女たちが進化・成長している証といえるだろう。
“Berryz工房の今後に目が離せない。” 記事の最後に常套句として付加されてしまいがちなフレーズとしてではなく、今のBerryz工房にはこの言葉こそがふさわしい。次回我々が彼女たちのステージを目にするとき、今度はどんなBerryz工房を見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
なおその際には、オーディエンスの体温を一気にグッと高めるため、再度“雅ビーム♥”が発射されることを切に希望したい。
◆iTunes Store Berryz工房(※iTunesが開きます)
◆Berryz工房「青春バスガイド」PV映像など
◆ハロー!プロジェクト オフィシャルサイト
2009年2月からという長期にわたって行なわれた今回のツアー。最中にはメンバーがインフルエンザにかかり名古屋公演が中止されるといったアクシデントにも見舞われたりもしたが、最終日の最終公演(夜公演)は、これまでのアクシデントを持ち前の団結力で乗り越えてきたという彼女たちの自信からか、彼女たちの成長と可能性を強く感じることのできるライヴ、言い換えるなら、Berryz工房がただのアイドルグループという存在から抜け出さんとしている、進化の片鱗のようなものがいたるところに見られたライヴとなった。
◆<Berryz工房 コンサートツアー2009春 ~そのすべての愛に~>ファイナル公演 フォトアルバム
“そのすべての愛に”というツアータイトルにふさわしい、レッドカーペットとバラのオブジェで彩られたステージ。そして開演前から流れるは、ショパンの「英雄ポロネーズ」をはじめとするクラシックの名曲。開演前は、さながら舞踏会でも始まるかのような様相だ。
ライヴは約10分遅れでスタート。ベートーヴェンの「交響曲第9番」が鳴り響く中、客電が落ち、オーディエンスのボルテージは一気に最高潮へ。オープニングのSEの中ステージ上に登場したBerryz工房のメンバー。ひとりずつにスポットライトが当たり、オーディエンスからは大きな歓声。そしてそのまま1曲目のBerryz工房19枚目のシングル「抱きしめて 抱きしめて」へ。
今回のツアーで大きな驚きを与えてくれたのが、ライヴ初盤のアカペラ&ヴォイスパーカッションコーナー。Berryz工房の代表曲のひとつである「ギャグ100回分愛してください」を自分自身の声のみで披露するという試みには、荒削りではあったもののアカペラグループとしてのBerryz工房の可能性を感じさせた(Berryz工房は全員がヴォーカルをとることのできるグループだが、言うまでもなく、全員がヴォーカルをとれるということと、コーラスワークやヴォイスパーカッションができるというのはまた別の話である)。
菅谷梨沙子が、より高い演出力を身につけたというのも注目すべきポイントかもしれない。Berryz工房の中でも、歌唱時に核となっているのが、夏焼 雅と菅谷梨沙子。最年少ながら歌手として高いセンスを持つ菅谷梨沙子だが、彼女のソロとして披露された「さぼり」では、歌声だけでなく表情や仕草(キュートなアヒル口を含む)でもオーディエンスを魅了するなど、完全に彼女のステージを作り上げていた。そして菅谷梨沙子の実力アップによって、グループ全体のステージングが底上げされたというのも明らかだ。
一方、魅了といえば、嗣永桃子は、歌の途中で見せる大人びた表情で我々を魅了した。いつまでも天真爛漫なキャラクターで普段、我々を楽しませてくれる嗣永桃子。MCコーナーでは、キャプテンの清水佐紀と“どちらのほうが大人の色気があるか”を競い、オーディエンスから“桃子には色気がない!”ともとれるような、お約束のブーイングを浴びていた彼女。そんな、童顔であるがゆえにいつまでも子供っぽくみられてしまう彼女が、歌の最中、多くは自分のパートが歌い終わった直後に見せる、涼しげで大人びた表情。“彼女はこのフレーズを歌い終わったら、次はどんな表情を見せるのだろう。” 瞬間的に見せる桃子の大人の女の表情を一度目にしてしまうと、ステージ上の彼女の一挙手一投足に釘付けとなってしまう。
キャプテンの清水佐紀は、実に細かいところまで自分のパフォーマンスに関してこだわりを持っているのがよくわかった。ダンスセンス、リズム感はグループ随一、いや、ハロー!プロジェクトでもTOPレベルともいえる彼女のこだわりが感じられたのは、嗣永桃子とのデュエットで披露した「Ah Merry-go-round」でのステップ。実は彼女、センターに移動したり、桃子の周りを回る際など、すべて、曲のリズムにステップを乗せていた。この公演にはDVD用のカメラが入っていたようなので、映像作品化された際に一度チェックしていただきたいのだが、彼女のアクションのひとつひとつには、曲のリズムに合わせるように緩急がつけられている。そしてこのキャプテンの動きによって、ステージ全体にノリが生まれる。自分が常に前に出て、というよりも、一歩引いたところで縁の下の力持ち的なポジションに徹するキャプテンが、ともすればファンにすらも気づかれないような細かい部分にも見せるこだわり。彼女のひたむきな姿勢には、もはや感動すら覚える。やはり清水佐紀というキャプテンの存在があってこそのBerryz工房。Berryz工房にキャプテン・清水佐紀あり、なのだ。
そして、ライヴ全体を通してBerryz工房のメンバー全員が、オーディエンスと一緒にライヴを楽しんでいるというのが、同じ空間を共有して伝わってきたことだろう。ともにライヴを楽しみ、ともにライヴで燃え、そしてともにライヴで感動する。気持ちと気持ちのキャッチボールが交わされた最終公演の充実感は、エンディングで菅谷梨沙子が見せた涙が何より物語っていたはずだ。
新曲にも触れておきたい。アンコールでは、6月3日リリースの新曲「青春バスガイド」が初披露された。テレビ東京系アニメ『イナズマイレブン』のエンディングテーマとなっているこの曲は、年上の女性(バスガイド)に憧れる青少年の甘酸っぱい複雑な恋心(=青春)をBerryz工房が歌う。男性のオーディエンスはその歌詞ひとつひとつに共感しながら、この真新しい楽曲に耳を傾けていたことだろう。
ラストに薔薇の花びらが舞った「そのすべての愛に」まで、Berryz工房の今の実力を存分に見せつけたファイナル公演。余談だが、終演後のバックステージで、“Berryz工房が変わった!” “すごい!”という声が、ステージを観ていた複数のメディア関係者の口から聞かれたというのも、彼女たちが進化・成長している証といえるだろう。
“Berryz工房の今後に目が離せない。” 記事の最後に常套句として付加されてしまいがちなフレーズとしてではなく、今のBerryz工房にはこの言葉こそがふさわしい。次回我々が彼女たちのステージを目にするとき、今度はどんなBerryz工房を見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
なおその際には、オーディエンスの体温を一気にグッと高めるため、再度“雅ビーム♥”が発射されることを切に希望したい。
◆iTunes Store Berryz工房(※iTunesが開きます)
◆Berryz工房「青春バスガイド」PV映像など
◆ハロー!プロジェクト オフィシャルサイト
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