【BARKS編集部レビュー】ローランド、V-Drumsの床への振動を吸収するノイズ・イーター「NE-1」「NE-10」でドラムの自宅練習が画期的に静かに

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■静かなV-Drumsをさらに静かにするアイテムが登場

プロアマ問わず、練習場所の確保はドラマー共通の悩みだろう。音は大きいし振動も激しいから、よほど環境に恵まれていない限り自宅での練習は難しい。以前は練習台もポピュラーだったが、それにしてもパッドを叩く音は小さくなかった。そんなドラムの自宅練習を劇的に静かにしたのが、ローランドのV-Drumsだった。独自のメッシュヘッドを採用したことで、それまでの練習台や電子ドラムに比べて飛躍的に打撃音が小さく、かつ静かになったのだ。音作りの幅が広くドラムサウンドがリアルなところや、ステージでも使えるルックスも魅力だが、叩き心地がリアルなのに、驚くほど静かだったからこそ、爆発的人気を呼んだのだろう。

それでも、どうしても完全には抑えられないのが床に伝わる振動だ。とくに問題になるのがバス・ドラム。床に置かれたパッドを、ペダルを踏みビーターで叩く構造だから、パッドそのものは静かでも、叩いた振動はドスンドスンと床に直接伝わってしまう。筆者の知人にも、V-Drumsを持っているドラマーが何人かいるが、床に伝わる振動には誰もが頭を悩ませているようだ。カーペットを数枚重ねたり、スノコの裏側に防振ゴムを張り付けてドラム台を作ったりと、色々な工夫をしているようだが、あまり効果がなかったり、大掛かりにすればするほど安定性に欠けたりと、どれも決定的な解決策にはなっていないという。


▲「NE-1」と「NE-10」をV-Tourシリーズ TD-15KV-Sにセッティング。

そんなドラマーの悩みを簡単に解決してしまうアイテムが、今回登場した“ノイズ・イーター”、「NE-1」と「NE-10」だ。「NE-1」はハイハットスタンドなどの脚の下に装着する小型タイプ、「NE-10」はキック・ペダルの下に敷くボードタイプだ。どちらも独自形状の防振ゴムによって、床に伝わる振動を大幅に軽減してくれるものだ。階下への振動は、なんと75%も軽減するというから驚きだ。

今回は、ボード・タイプの「NE-10」とキック・パッドの「KD-9」を使って、音や振動がどれくらい抑えられるのかを試してみた。

■剛性が高く、ペダルもずれない、思いきり演奏できる構造


「NE-10」は、幅21cm、奥行き54cmのボード・タイプで、V-Drumsシリーズのキック・パッド、「KD-9」とキック・ペダルがちょうど収まるサイズだ。特徴的なのは裏面で、ゴムの出っ張りがイボのように並んでいる。これこそが、振動を抑えるための中空構造の半球型防振ゴムなのだ。中空だから、指で強めに押してみると簡単にへこむ。演奏時にぐらつかないか心配になったが、試しに「NE-10」の上に乗ってみると非常に安定している。まったく問題はなさそうだ。

では実際に、「NE-10」の上にペダルと「KD-9」をセッティングして演奏してみよう。セッティングしていて気付いたのは、表面に落ち着いた色の固めのカーペットが張られているのが、とても便利だということだ。ペダルと触れ合ってノイズが出ることはないし、キック・パッドやペダルのスパイクが喰いこむから、演奏時にずれるのも防いでくれる。これなら思いきりペダルを踏めそうだ。

■“ドスン”から“パチン”へ、驚くほど振動が軽減

実際に演奏するにあたって、やはり心配だったのは安定感だ。前述のように事前に少し確認していたので、大きくぐらつくようなことはないとわかっていたが、それでも思いきりペダルを踏んだときには、少し沈みこんだりするのではないかと心配だったのだ。しかし実際に演奏してみると、そんなことはまったくなかった。床に直接置いて演奏しているのと変わりない感触で、違和感なくプレイすることができる。床と接しているのがゴムだから、「NE-10」自体が滑ってずれたりすることもない。とても安定している。

そして音と振動だが、これは本当に驚くほど効果があることがよくわかった。床に直接置いてプレイしたときは、ペダルを踏むたびに“ドスン、ドスン”と床や壁が響き、衝撃が伝わっていることがわかった。この状態では、階下はもちろん、近所の家にも音が響いてしまいそうで、遠慮がちな演奏になってしまうだろう。しかし、「NE-10」を下に敷くと、床や壁に響いていた音がほとんどしなくなるのだ。“ドン”という低い音がなくなり、ペダルのビーターがパッドを打つときの“パチン”という音だけが聴こえてくるようになる。ただボードを下に敷くだけなのに、これは本当にスゴい。

このすごさの秘密は、やはり裏面の半球型防振ゴムにあるのだろう。床に接している12個の半球型ゴムが振動を分散、かつ半球形になっているから、床との接地面積は非常に少なくなる。また、接しているゴムも中空構造だから、振動が直接伝わらないのだ。

■コンパクトな「NE-1」はスタンドの脚にも

今回は「NE-10」をV-Drums用キック・パッド「KD-9」と市販のキックペダルとの組み合わせで試してみたが、そのほか「KD-7」とペダルの組み合わせにも対応している。また、ハイハット・ペダルの「FD-8」でも使えるから、左右両方の足元に置くことができる。ハイハットを踏む足でもリズムを刻んでいるので、かなりの振動が起こるのだが、それもしっかりとシャットアウト、さらに左右のペダルを簡単に同じ高さにできるから、より違和感なく演奏することができるだろう。また、「KD-140」や「KD-120」のようにレッグが伸びているキック・パッドでは、ペダル部分に「NE-10」を、それぞれのレッグには同時に登場したコンパクトなタイプの「NE-1」を足元に装着すればいい。「NE-1」は、「NE-10」の半球型防振ゴムを1つ取り出して、上下を逆にしたような構造のノイズ・イーターだ。中身はやはり中空構造の防振ゴムだから、振動をしっかり抑えてくれる。

この「NE-1」はこのほか、三脚タイプのスタンドの足元に装着することもできる。たとえばローランドのデジタルパーカッションパッドをスタンドに取り付けている場合などは、スタンドの下に「NE-1」を置いて、叩いたときの床への振動を抑えることができる。もちろん「NE-10」との組み合わせで市販のハイハット・スタンドに使うこともできる。使い方としてはペダル下に「NE-10」を、スタンド脚部の本数にあわせて「NE-1」を装着するかたちとなる。「NE-10」と同様に安定感があるし、滑りにくいゴムだからスタンドの位置がずれるのも防いでくれるだろう。

■置くだけのシンプルなアイテムなのに効果が高いノイズ・イーター

ノイズ・イーターは、コンパクトで、設置はただ置くだけというシンプルなアイテムだが、その効果はかなり高い。音も小さくなるが、とくに不快な振動が抑えられるところが大きい。そしてキック・ペダルとハイハットという、特に振動を発する場所に使えるのが便利だ。ノイズ・イーターを使えば、これまでよりずっと思いきりドラム練習に励むことができるだろう。ただし、いくらノイズ・イーターの効果が高いからといって、振動や音が完全になくなるわけではない。階下の住人とトラブルにならないよう、演奏する時間などには注意してもらいたい。

●「NE-10」主な仕様
外形寸法 / 質量:幅 (W)210 mm 奥行き (D)540 mm 高さ (H)30 mm 質量2.8 kg
対応機種:KD-9、KD-7、FD-8
※以下の機種には、合わせてNE-1(別売)が必要です。
KD-140、KD-120、VH-13、VH-11

●「NE-1」主な仕様
外形寸法 / 質量:幅 (W)70 mm 奥行き (D)70 mm 高さ (H)32 mm 質量110 g
対応機種 KD-140、KD-120、VH-13、VH-11
※ペダル部にはNE-10(別売)が必要です。

◆NE-10
価格:11,000円(税別)
◆NE-1
価格:2,300円(税別)


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