榎本くるみ、「未来記念日」特集内インタビュー

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──この「未来記念日」はどんな想いから生まれたんですか?

榎本くるみ:誰でも自分の記念日っていうのを持ってると思うし、私も持ってるんですけど、記念日ってけっこう忘れてしまいがちだったりして。だから自分の記念日を忘れたくないなっていうのと、それを未来につなげる記念日にしたかったので、そういう願いを込めて書きました。

──今ちょうど卒業シーズンだし、この曲を“卒業”に重ねて聴く人も多いんじゃないかと思うんですが。

榎本くるみ:私は卒業シーズンのことって、実はあんまり記憶にないんですよ。もちろんこの曲が卒業シーズンに当てはまるものになってるなっていうのは、すごく嬉しいことなんですけど。自分としては母親のことを思って書いたんですね。母とはずっと一緒に連れ添ってきて、喧嘩とかいろんなことがあったけど、それでも憎めないというか。そういった気持ちが大人になればなるほどハッキリしてきたんです。で、そういうふうに考えてみると、それは友達とかいろんな人にも当てはめられるのかなって。

──うん。当てはめられるから、誰もが感情移入しやすい曲になってるんだと思いますよ。しかも、他者への想いがここでは“ずっといっしょだね”とか、相手に語りかける口調になっていて、それが優しさとなって全体に滲み出てますよね。

榎本くるみ:そうですね。そこは以前とえらい違いだなぁと自分でも思っていて。例えば「RAINBOW DUST」とか「心のカタチ」とかは、とことん自分のことを歌ってて、そうすると息詰まることもたくさんあるんですよ。もちろんそれをやったことはすごい意味があったなって、今になって思うんですけど。でも今回の曲は“あなたの幸せよいつまでも”とか、自分でもハッとさせられるところがあって。まぁ、私が毎日本当にそう思って生活してるかって言ったら、そうじゃない時もあるんですけど、できるだけそういう気持ちを持って生きていけたらなっていうのはすごいあるんですね。だから、この曲とはいい友達になれたなぁって。

──愛せる曲ができた?

榎本くるみ:うん。この子とだったらこれからもずっと一緒に歩いていけるっていうか。くじけそうになった時とか、自分を強く持っていける曲だなと思いますね。

──あと、この曲は歌い方もいつもより抑え気味な感じがあって。その抑えた歌い方も歌詞をより効果的に伝えてるんじゃないかなと思ったんですが。

榎本くるみ:そう、そこは今回、すごい意識して取り組んだところなんですよ。私は元々、自分の感情をあからさまに歌に込めちゃうタイプで、“聞いて! 聞いて!”っていうのが歌に結構出てたんですね。でも、もうちょっと違う伝え方があるんじゃないかって最近思うようになってきて。例えば、話せばわかることもたくさんあるし、怒鳴ったからってわからないこともたくさんある。そう考えた時に、冷静な気持ちで歌っていけたらいいなと思って。今回はそれができたなって思うんですよね。

──そういう意味では今回、歌詞にしても歌い方にしても、自分の中で“より進化した”とか“何か新しい扉を開けた”感っていうのは大きい?

榎本くるみ:ん~、今までと違うっていうのは感じてるし、自分が何かを得たっていうのも事実なんですけど。この曲を産んでからも、なかなかこの状態を保つことができてない部分もあるので。まだまだこれからだなとは思いますね。でも、新しい扉じゃないですけど、今、ケータイの“おりおん☆”っていうサイトで、この「未来記念日」と連動した小説をかいているのですよ。

──あぁ、それもチャレンジですね。

榎本くるみ:はい。自分の人生はこんなふうで、こういう経緯で私にとっての<未来記念日>っていうのができて、っていうのをみんなに伝えたかったので。

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