| ──今年の3月にした初のUSツアーはどうでしたか?
Ohyama"B.M.W"Wataru(以下、Ohyama):音そのものに反応してくれる人が多くて。こっちが仕掛けると、しっかりノッてくれるから、やりがいありましたね。
──日本での反応とは違うんですか?
Ohyama:言葉にするのは難しいんですけど。(海外は)メンバー5人がすごいエネルギーを発してパフォーマンスすると、観客からの反応がいいですね。
──今回のアルバムは、そういった海外での経験に影響されて作ったところはありますか?
Ohyama:そうですね、USの他にも韓国、カナダ、イギリスでもライヴを経験して、その反応を感じて日本の名曲をカバーしたいって思ったんですよね。
──ナショナリズムを刺激された?
Ohyama:そうかもしれないですね。
──アルバムの収録曲ですが、日本ポップス/歌謡曲のスタンダードばかり。この選曲はどうやって決めたんですか?
Ohyama:(今までもそういう思いはあったんですが)親への感謝の気持ちを込めて、その世代が気持ちよく聴ける音楽を作りたくて。数ある日本の名曲のなかでも名曲と呼ばれるようなものをカバーしたいと思ったんです。そういうテーマで探していったら、自然とこの12曲をカバーしようってことになったんです。
──古いものだと60年以上も前のものもありますが、これらの曲すべて知ってましたか?
Ohyama:みんな認識はバラバラですよ。俺は選曲した人間なので、一番(曲は)知っていたのではないかな。ただ「鈴懸の径」はメロディは聴いたことがあって、「用心棒」もまた耳馴染みのない曲だったかも。
──どの曲も原曲の持つメロディを大切にしながら、PE'Zらしいサウンドを作っていると思います。アレンジするにあたってこだわったことは?
Ohyama:原曲からかけ離れ、聴き手を驚かせるようなアレンジにすることは大切だと思うんですけど、ただ驚かすだけのカバーなら、誰だってできる。なので原曲に対して愛情を持ちつつ、どれだけ新しいものを作るかということを大切にしてアレンジをしました。
──何か演奏するにあたってこだわったことはありますか?
ヒイズミマサユ機(以下、ヒイズミ):普段のPE'Zの曲よりテンポが遅い曲があるので、必然的に弾き方も違っていて。大人っぽく弾いてみたりとか、いろんな弾き方をしてます。特に印象深かったのが「おもちゃのチャチャチャ」でしたね。普通に弾いてないフレーズがあったり、ちょっとルーズな感じで弾いてみたりとか、いろいろ大変でした。
航:今回は例えば「用心棒」のドラムパターンは、これまでやったことのないものだったので新鮮でした。和太鼓を叩いているような気分でしたね。また「小春おばさん」は、ゆったりしたリズムなんだけど、すごく演奏してて熱くなれたりとか。今まででは経験できなかったことができましたね。
Kadota"JAW"Kousuke(以下、Kadota):今まで以上に音色に気を使ったというか。音色の幅がこれまで以上に広かったんです。だからいつもとは違うニュアンスの音を出すことができた。曲としては「みずいろの雨」で、久々にソプラノ・サックスを吹いたんですけど。あまり吹いたことのない楽器だったので、一生懸命練習しましたね。
Ohyama:トランぺッターとしてのこだわりよりも、俺の場合はアレンジ全般で考えるので、パートとしてのこだわりと言うと…「みずいろの雨」かな。ソプラノ・サックスでメロディを吹き、トランペットでハーモニーを付けるフレーズがあって。そこでしょぼいメロディにあわせるのが大変だったなぁと(笑)。
Kadota:メロディの大切さを実感しましたよ(笑)。
Nirehara Masahiro(以下、Nirehara):テンポが遅いことに関係しているんですけど。そのことによって、音と音の間に隙間ができるようになったんです。いつもそこを埋めるためにガンガン音を入れてたんですが、今回はその空間がもたらすグルーヴを大切にしたというか。なかでも「花」は難しかったですね。自分的にはすごく遅いテンポの、非常にドラマ性の高い曲だと思った。だからそれを後ろでどううまく支えるか、またイントロではベースのソロパートがあるので、目立たなくてはならないし。いろいろあの曲は苦労しましたね。
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