世界が熱狂するアークティック・モンキーズを直撃! INTERVIEW編

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──前回日本に来たのは11月。その間にアルバムも発表されてイギリスでは国を挙げての大センセーションになったりもして、随分あなたたちを取り囲む環境も変わったんじゃないかと思うんですが。

アンディ・ニコルソン(B):まあ、変わったというのは事実だと思うけど。

マット・ヘルダー(Dr):でも、僕ら自身、そこまで変わったという意識はないかな。

──チャート上の結果を見ると、イギリスがほぼ一ヶ月1位、アメリカでは初登場24位(インディ・レーベルのCD発売週の売り上げで史上2位)で、ここ日本でもトップ10入りを果たしてます。

マット:あと、オーストラリアでも1位を取った。こうやって、世界中の人たちが僕たちの音楽を聴いてくれていると思うと、素直にうれしいね。

──しかも、あなたたちの場合、インディに所属したままで成し遂げたわけだから。

マット:たしかに、その意味で僕らはすごくラッキーだったと思うし、僕らのような若いキッズたちに勇気を与えることができた意味でも良かったと思うよ。

──そして今や、あなたたちは、かのミック・ジャガーやデヴィッド・ボウイ、ストロークスやホワイト・ストライプスまでもがフェイヴァリット・バンドにあげる存在になっていますね。

アンディ:ありがたいことにね。

マット:ライヴ、誘ってくれたりしたらいいのに(笑)。

──もし、ライヴで前座を務めるとしたら、今言った中だったら誰のがやりたい?

マット:やっぱ、ストロークスかな。すっごい憧れてたもん。

アンディ:もちろん、ストロークスもいいけど、ホワイト・ストライプスの前座っていうのも良いよね。

──モリッシーとオアシスのノエル・ギャラガーがあなたたちのことでNMEの誌上で議論したのは知ってます?(モリッシーが「彼らの成功は早過ぎた」と発言したのに対し、ノエルが「成功に早すぎるも遅すぎるもない」と反論したこと)

マット:ああ、読んだよ(笑)。

アンディ:“あっ、人ってそんな風に考えてるんだな”って思ったけど、そんな程度かな(笑)。

マット:でも、人々があんな風に僕たちを話題にしてくれているんだとわかった意味ではうれしかったけどね(笑)。

──そして、あなたたちくらい話題のバンドになると、そろそろタブロイド誌の対策が必要になってくると思うんですよ。何でも先日、マットの元カノジョが早速ザ・サン(UK最大のタブロイド誌)にネタを売ったんだって?

マット:あ~、あれね(苦笑)。あれ、ホントに最悪なんだよ。アイツ、僕だけじゃなく、アレックス(・ターナー/Vo)とも付き合ってたとかって、デマカセ言いやがってさ。ああいうヤツが出て来るとなると、さすがにウンザリするよね。

──アンディには、何かトラブルあった?

アンディ:いや、僕の友達には幸いにそんなひどいことをするヤツはいなかったよ(笑)。

──他にそのテのトラブルは?

マット:幸い、今のところはないね。

──友達と言えば、さすがにこれだけ長いことツアーに出てると、郷里の友達や家族・親類とも連絡が取りにくいんじゃない?

マット:それはそうなんだけど、でも、何とかしてるよ。やっぱり、どんなことになろうとも、彼らみたいな人たちが僕たちには一番大切なわけだから。

──どんな風に連絡取ってるの?

アンディ:電話はなんだかんだで、しょっちゅうしてるよ。料金のことで怒られちゃいそうなぐらいにね(笑)。

マット:あと、メールはホントに頻繁にやってるよ。だから、案外と孤独は感じないもんだよ。

アンディ:あと、世界各地で撮った写真なんかもメールしてね。

──そう考えると、たしかに昔よりは便利になったよね。

マット:それは絶対にそう思うよ。昔のロックスターが「ツアーでおかしくなってた」というのも、わかるよね。

──あと、オフの時間って、取らせてもらってますか?

アンディ:ツアーには必ず移動日ってものがあるから、そこで結構楽しませてもらってるよ。買い物に行ったり、その地域にしかないもので楽しんだりさ。

──ちなみに音楽以外の趣味って何ですか?

アンディ:僕の場合、ショッピングなんだ。だから、趣味はツアーで兼ねられているから、問題ないね。

マット:前からこれはよく言ってるけど、僕らにとっては、このアークティック・モンキーズってバンドが最大の趣味みたいなものだから(笑)。だから“時間がなくて苦痛”みたいな思いは感じないよ。趣味だもの(笑)。

──でも、音楽以外の趣味をツアーが終わったらやりたいという気持ちはあるでしょ。

マット:まあ、あったとしたら釣りに行くくらいかな。でも、それよりはギターを学んで弾けるようになりたいね(笑)。

──いい意味で本当に“音楽バカ”ですね(笑)。

マット:そうだね(笑)。僕ら、音楽以外に本当に趣味がない連中でね(笑)。

──でも、あなたたちは成功しても自分たちのペースを貫いていますね。『TOP OF THE POPS』(UKでお馴染みのテレビ音楽番組)の出演をシングルが1位になったのにもかかわらず出演拒否したり、2月に行なわれたブリット・アウォードにも欠席していたり。

マット:やっぱり、セレブリティみたいな立場になりたくないんだよね。僕たちは、そういう存在になるにはふさわしいバンドだとは思わないんだ。

──アリーナでの演奏なんかも嫌いかな?

マット:ああ、ああいうのは本当に嫌だね。一回、カナダでオアシスのツアーの前座やらせてもらったけど。ああいう会場で演奏するのはものすごく違和感があったなぁ。

──アリーナのスターになったら、自分たちがセルアウト(売れ線主義に走った)したみたいに思われるのが嫌だから?

マット:正直な話、それはあるよ。僕たちが一番気にしている部分がそこでもあるから。

──アークティックの場合、普通のキッズの日常に近い歌詞でウケてる部分もかなり大きいですからね。でも、これからは普通のキッズではなくなって行くわけで。それに関して、ジレンマは感じてる?

マット:感じていないわけではないけど、そこはなんとかやって行かないと、とは思ってるよ。

──アークティックのファンを、あなたたちから見てどう思います?

アンディ:もちろん大好きだよ。僕たちのことを心から理解しようとするしね。あと、日本のファンは中でもとくに忠実だね。

マット:それは本当にそう。ギグの時のリアクションも、独自のものがあって面白いし、話しかけて来る時の熱意にもすごいものがある。だから、今回のジャパン・ツアーは本当に楽しいんだ。

アンディ:よく、僕ら冗談でこういうこと言うんだ。こないだ、僕らのロゴをタトゥーしたファンがいたんだけど、それ見てさ、こういうこと考えたんだ。“ヘイ、クールなタトゥーだね! このクールなアークティック・タトゥーをしたキッズを10名抽選でアークティック・モンキーズのコンサートにご招待!”ってね(笑)。

マット:“そして、バックステージにもご招待!”ってね(笑)。って、思いっきりバカバカしいけど(笑)。

──(笑)。そう言えば、新曲も早速演奏しているみたいだけど、もう新曲は書いてる?

マット:うん。ツアーの間中、ずっと書いて、時間を見てはスタジオで音合わせをしてたりしてるよ。今回のツアーは8月ぐらいで終わるけど、それが終わり次第、すぐにスタジオに入って早速レコーディングしたいと思ってる。そして、1stアルバムと同じく、また1月に2ndアルバムを発表したいと思っているよ。

──本当にワーカホリックですね(笑)。

マット:ああ、自分たちでもそう思うよ。でも、本来こういう活動ペースであるべきなんだと思うよ。

取材・文●沢田太陽


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