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現在リアルな世界で有名なロボットといえば、ベック「Hell Yes」のビデオ・クリップでダンシングしていたホンダのASIMOか、彼らのどちらかだろう……ここではそういうことにしておこう。いまやすっかりおなじみとなったシルエットがロボット・ダンシングしていたCMで、初めて2人のパリジャンを知った人は多いはず。リップスライムやm-flo、A BATHING APE周辺のファンなら、TERIYAKI BOYZのトラックを通じて、初めてロボットたちを知った人も少なくないかもしれない。
トーマ・バンガルテルとギ=マニュエル・オメン・ドゥ・クリストは、そんなビギナーたちに一歩でも接近すべく、ベスト盤『Musique Vol.1 1993-2005』をインストアさせた。彼らにとってベスト盤は初めて。彼らのミュージックを知らない人には新鮮に届くだろうし、彼らのミュージックを知る人も、メジャー・デビューから10年という軌跡を辿ることは、ノスタルジックな思いはありつつも新たな感動を抱くこともできるはず。“ワン・モア・タイム”というフレーズは、このときのために準備されていたかのような。
少々ゲットしづらい存在だった初期のフィルター・ハウス・クラシック“Musique”に始まる『Musique Vol.1 1993-2005』。『Homework』『Discovery』『Human After All』という3枚のアルバムからのシングル、さらには彼らのユニークな実力を知らしめた初期のレア・リミックス3曲が収録されている。ワールドワイドなミレニアム賛歌となった「One More Time」に代表される『Discovery』は、歌心のあるファンタジックなサウンドで日本でも彼らの人気を決定づけたが、全世界で250万枚を超えるセールスを記録している『Homework』時代の曲も、クレイジーな初期衝動の勢いがあっていまなお痛快。ギターを掻き鳴らし、ドラムを叩きまくった「Robot Rock」、可愛らしくも不気味なロボ声のiPod CM曲「Technologic」といった昨年の『Human After All』(リミックスを集めた『Human After All - Remixes』もベスト盤と同時リリース)からカットされた曲も強力だ。インパクトの強いキャッチーなトラックはロボットたちの持ち味として一貫しているが、それぞれの時代のアプローチの違いをチェックできる。また、彼らの世界を広く知りたいなら、ニュー・ビデオ「Prime Time Of Your Life」までのベスト・クリップ集DVD付きのスペシャル・エディション( TOCP-66539 \3,200)を推薦したい。スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリーらの人気映像作家やジャパニーズ・アニメの巨匠・松本零士らが手掛けたビデオ・クリップは、ロボットたちの重要な機能の一つなので。
そこに収録された「Rollin' & Scratchin'」のライヴ・イン・LA映像が懐かしい――ついに、ダフト・パンクがステージに帰ってくる。この夏の『サマーソニック』での来日が決定。まずは4月末に行われる「Coachella Valley Music Festival」で第一報が届くだろうが、彼らのこと、また何かしらやらかしてくれるに違いない。
文/栗原 聰(Zelig) |
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