| ――半年振りに早くも出来たアルバムについて、その達成感を教えてください。
佐々木康之(G/以下、佐々木):ツアーや夏のフェスへの参加を経て、今回はよりバンドらしさを一層込めたいなと思い、一発録りというのを考えたんです。なので、今までとは違いスタジオに入る前によく話あっていろんなものを準備して……結果、目標になるようなものがギュっとつまったかな、力強いアルバムが出来たと思っています。
辻 凡人(Dr/以下、辻):『electlyric』は、僕はまだバンドに入りたての頃なので、bonobosとはどんなバンドなんやろ?って思うところがあって。言葉が悪いかもしれないけど、受身状態だったんですね。でもその時に比べて、今回は自分の色を出していこうと思って、それが具現化された感触もあるからちょっとは成長したかなあと。あと、一発録りをメインにしたので、その方法は僕にとっても嬉しくて。何故なら僕のパートは大抵一発なんですよ。だから歌と一緒にだったり、ギター、コンガと一緒に盛り上がって楽しく録れたのは新鮮で面白かった。
森本夏子(B/以下、森本):一発録りだったので、テイクによって出来上がりというか曲の雰囲気がまったく違うんですよ。CDなんだけど、すごい生っぽいものが出来たと思う。今もまだその感触が残っているぐらいなんで。
蔡 忠浩(Vo&G/以下、蔡):辻くんが入ってからアルバムだして、ずっとツアーをやって、やっと5人の立ち位置というかお互いのコミュニケーションがとれて、バンドとして充実してきたと思うし。その結びつきが録っていてとても楽しかったですね。あと、一発録りという性質上、フレッシュなままで終えているので、そのフレッシュさが今聴いても出ていると思うからbonobosは今後、ずっとこの方法がいいんじゃないか?と思うくらいです。
松井 泉(Per/以下、松井):いきなり3文字で言えっていわれてもなあ(大笑)、あ、そんなリクエストしてないか。難しいなぁ。“唯一無二”ですかね、あ、4文字や(笑)。
――『electlyric』を経て、更に数々のライヴを経験できたからこそ、このアルバムは生まれたという感じでしょうか。
辻:すごい自然な流れで制作に入っていけた。なんていうか普段の生活の続きのような感じ。前だったら、少し構えてというのがあったんですけど。こうなったのも<FUJI ROCK FESTIVAL>での3日間で得たものが大きいんですよ。「音楽ってもっとリラックスして気楽にしていいんだ。やる側にも見る側にも」というのをあの場から学びまして。特に僕のパートというのは、人を踊らせたりバンドをまとめるところなんで、もっと楽に考えていいんだと思いました。
森本:ライヴでどれくらい自分が成長したかなんて、最初は分からなかったんですね。でも一発録りをしてみて、自分では細かいところでミスをしてたりとか分かるのでこれは使えないと思っていたのに、そのテイクを使うって聞いたときには、すごいびっくりして!で、あとからそのテイクを聴いたときに自分が思っていたより、「全然聴けるやん、ここまで弾けているんだぁ」と分かって。力が付いてきているんだと思いました。
佐々木:ギターは2年位前から上手くなっている感じがしないんですけど、単純な技術は上を見たらきりがないというか。今回はゲストミュージシャンが多いから、前やったらガーッと前に出ていったりとか、何をしていいか分からないまま終わったこともあったかもしれないんですけど、今回は自分の中で、出たり下がったりというバランスがとれた気がして、それはライヴを重ねてきた結果かなと。
蔡:僕はひたすらリラックスして望みまして。前回はいい物つくるぞと気負う部分があって、自分のコントロール出来ることは最大限に範囲を広げてやったるぞというのがあったんですけど、シンドクなりまして(笑)。“いっせーのせ!”で録れるその感じがすごく良かったというか。あと、特に今回のように一発録りだったら、多少よれていても、ライヴで録った感じでそうなっているのだから必然性は絶対あると思うので、こっちのほうだと思うし。失敗したら、録音で取り直せばいいからとか、個人で気にしているところが皆一杯あったとは思うんですよ。でもそんな細かいところをほじってもしょうがないのでは?って感じでどんどん進めていって、全体のグルーヴ感にだけこだわりましたね。今回はあまり細かいことに、口挟んでないよな? 俺?
森本:自分の歌については、言ってたやん(笑)。
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