Present | | BARKSに初登場していただいた槇原敬之さんのインタヴューはいかがだったでしょうか? 音楽への深い愛情、そしてファンや関係者に対する大きな敬意が感じられるインタヴューとなりました。そんな槇原さんから、アルバムジャケットを模した特製ノート・パッドをプレゼント☆ 特集の感想などを書いてドシドシご応募くださいね!(応募締切:2005年11月15日)
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| ──カヴァー・アルバム『Listen To The Music2』をリリースされます。今作は『Listen To The Music』と違って洋楽が多くなってますよね?
槇原敬之(以下、槇原):去年くらいから、もう一度自分のルーツなんかも辿りながら、そういうのを新旧織り交ぜていろいろと曲を探したから、ある種、『2』のほうがより原点回帰的なところがありますね。
──でも、槇原さんが大好きなカーペンターズが入ってませんよ?
槇原:カーペンターズは、好きすぎて自分の中でまだ厳しいんです(笑)。できない。じゃあ、エルトン・ジョンは中くらいしか好きじゃないのかっていうと、そういうことじゃないんですけどね(笑)。エルトンに関しては、いわゆるブリティッシュ・ルネッサンス的なところも含めて、ぼくがポップス歌手として自己形成をしていく過程で受けた影響という部分での選曲かな。あとはやっぱり、選んだ理由としては詞が今であろうが、当時であろうが、これからであろうが絶対に必要だと思う曲っていう部分。なんていうか、今回は、変わらずに良い歌、変わらずに僕たちに投げかけてくれる歌っていうのだけに、とりあえずは絞りました。テーマとしては、“生まれ変わっても、もう一度聴きたい曲”っていう感じ。
──そういうことだと、選曲はかなり大変だったんじゃないですか?
槇原:それはもう!(笑)。色んな方に“推薦する曲を出してください”ってお願いして、MDとかいただいたり。その膨大な楽曲を聴いてるうちに、この『Listen To The Music』は、2で終わりじゃないんだって考えられるようになったんです。とりあえず、今回は15周年らしく、今のアーティスト“槇原敬之”を作ってくれた曲や、僕のアーティスト人生の中で衝撃を受けた曲で作ろうと思った時から始まりましたね。
──つまり、『Listen To The Music』っていうのは、これっきりではなくて、ずっと続くひとつのプロジェクトとして認識できた、ということですね。
槇原:うん。それでも、選曲はすごくたいへんでしたが……(笑)。とにかく選べないんですよ。家の中や車の中で色んな曲を聴いてある程度選んでも、何かもう少しストーリーがほしいなとか、例えば和訳を見てみたいなとか、そういうようなことをずっとやって。いざ選んだんだけど、やめとこうと外した曲も結構あってね。外した理由も、別に楽曲がダメということではなく、“もうちょっと寒い時期がいいな”とか、そういうDJ的なセレクトの仕方というか。楽しかったですよ。もう、何ナイトって名前つけようかなぐらいの(笑)。
──“Listen To The Musicナイト”で決まりですね(笑)
槇原:だよね(笑)。でも、今回、すごくラフな感じで、「じゃあやろう!」という感じで始めたんですけど、いざ始めてみると“のっけからこんなかよ……”っていうぐらい大変で。すごく楽しいんですけど。あまりにも原曲がすばらしいから、ドキドキするんですよね。
──やっぱり、シンガー・ソングライターが他人の歌を歌うのって、越えなきゃいけないハードルや、整理しなきゃいけない気持ちがあったりするものなんじゃないですか?
槇原:すっごくありましたね。この場合、もう槇原敬之が歌うっていうことに何ら付加価値はないわけですから。僕なんかが歌わなくても素晴らしい曲ばかりだし、逆に驕った気持ちを持っていると、曲の純粋な良さを殺してしまう。だから、良い意味でも悪い意味でも“名曲を豪華なカラオケで歌わせて頂きます”的な感覚を持っておかないといけなかった。妙に気負って、ぼくらしいアレンジにしようとか、そういうことではないのかな、と。何よりも、“この歌を好きになってもらいたい”っていうのが基本にあったから、僕がその歌を聴いて“本当になんか生きて行きたいな”とか“これを誰かに聴かせたいな”とか思った気持ちを、リスナーの方にも持ってもらいたいというのがありました。
──とても苦労された制作だったようですが、カヴァー・アルバムを再び作ろうと思わせたキッカケなんだったんでしょう?
槇原:この作品に関しては、『1』をリリースした直後から作りたいとは思ってたんです。ただ、具体的な制作のイメージを持ち出したのは、ツアー<本日ハ晴天ナリ>で、美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」をカヴァーした頃からですね。そのへんからずっと(『2』のことを)考えていて、去年くらいから本格的に動き出したという感じですね。
──去年そうやって考えるようになったという背景はあるんですか?
槇原:やっぱり、15周年だったっていうのが大きいんじゃないですかね。ベスト盤とかでも良かったんですが、僕の場合、もうけっこう出ちゃってるし(笑)。それよりも “今の槇原にとって15周年をどういうふうに捉えるのか”ということの方が重要かな?って。そうなった時に、やっぱりよくここまでみなさんに力をいろいろいただいてこれたなっていう想いが強くなって。そういう気持ちを歌として還元したいというか、お返しですよね。僕もこんなに大きくなりました的な、発表会みたいな感じで作りたいなっていう。
──なるほど。恩返しみたいな感じでもあるんですね。
槇原:僕も初めは3年できればいいなぐらいに思っていたのに、いろいろあったにも関わらず15年も続いたことは、これはまぁお祝いしてもいいだろうと思って。とか言いつつ、去年14周年目の時には本人は、(来年が15周年だってことを)忘れていたんですけどね(笑)。
取材・文●田家秀樹/構成●BARKS編集部 |
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