アルバム『Hameln』の歌詞に出てくる キーワードについて
【涙】
――「DOOR」に“涙”という言葉が出てきますね。小さい頃は迷子になっても泣かなかったキリトくんではありますが、最近は涙もろくなったとか、変化はありますかね?
キリト:「いや、俺、けっこう普通に泣きますよ。ただ、人に見せないだけで。できる限り、見せたくないのは単に恥ずかしいだけなんだけど、それはそれは泣くときもありますよ(笑)」
――(笑)それはそれは?
キリト:「ひとりのときにね。涙腺は人並みというか、もろい部分もあるので」
――じゃあ、たとえKOHTAくんと言えども涙は見せたくない?
キリト:「やー、イヤです。特にやだ(笑)」
――それってやっぱり兄弟だから?
キリト:「わかんないけど、俺はそうだな。特にKOHTAには……(笑)。っていうのは、やっぱり、俺が兄だからだと思う。つまんないカッコつけで人前では泣かないだけです」
――ひとりで泣くっていうのは忍び泣きですか?それともギャー泣き?
キリト:「(笑)それはケースによっていろいろですが」
――たとえば映画だと、どんなジャンルに弱いんですかね?
キリト:「犬もの(笑)。弱いですね。ベタだろうが何だろうが弱い」
――つい見ちゃうわけですね。
キリト:「ひとりでね(笑)」
――ヒューマン・ドラマはどうですか?
キリト:「ヒューマンなんてどうだっていい(笑)」
――言い切っております。
キリト:「だって、人間なんて醜いからね。人間なんかより動物のほうがよっぽどエライと思うし、ストレートで正しい生き方をしていると思う。人間は余計なことを考えすぎだし、やりすぎ。人間以外の動物はみんなエライんじゃない?」
――それは前から思ってることですか?
キリト:「思ってますよ。動物のほうがよっぽど単純でストレートで自然のルールに従って生きてる。ライオンは目の前に獲物が通っても知らんぷりしてたりもするんですよ。必要に迫られれば狩りをするけど、必要のないときには食わない。人間だけが欲を満たすためとか、貯蓄のためとか必要以上に食べ物を欲するでしょ? 地球上の生き物の中で人間がいちばん下等なのよ。そんな人間である自分が憎い(笑)」
――人間は知能がある分、どうにかできないのかなって思うんですけどね。
キリト:「僕は生まれ変わったとしたら、イルカになりたいね(笑)」
――白イルカとかいいかも。
キリト:「イルカか鳥になりたい。渡り鳥とかいいかもしれない」
――でも、渡り鳥って集団行動ですよ。キリトくん、だいじょうぶですかね(笑)?
キリト:「(笑)そうか、そういうときはなるべく合わせるようにして……。や、でも、できるなら自由に飛べる鳥がいいな」
――鷲とかいいんじゃないですか?
キリト:「うん。そういう系がいいですね(笑)」
【笑顔】
――「Ray」という曲に“笑顔”という言葉が出てきますけれど、キリトくん自身はあまり感情を表に出さないほうじゃないですか? 笑顔に対して思っていることは?
キリト:「コンプレックス。ははは」
――自分の笑顔があまり好きじゃない?
キリト:「ちょっとね。自信がない(笑)」
――うまく笑えないっていうのとは違うんですよね?
キリト:「うーん、自分の笑ってる顔が醜いと思うんですよね。自分の顔だからかもしれないんだけど、写真とかも、今まであんまり笑ってる顔とかないけど」
――そうですよね?
キリト:「でも、ほら、アイドルの人たちって、雑誌の表紙にしても、みんな満面の笑顔で載ってるでしょ? ああいうのは、スゴイなあと、プロだなあと思う」
――ああいう笑顔をつねに見せられるっていうこと自体がでしょ?
キリト:「そう。だって、絶対に写真撮影する時に、あんな笑顔になるぐらいにうれしいとは限らないわけでしょう」
――限らないですよ。人間だから、いろんな感情のときがあるし。
キリト:「でしょ。すごく笑うのがイヤなときもあるかもしれないでしょ」
――今日は笑う気分じゃないとかね。
キリト:「そう、そう。グラビアのコとかアイドルのコって、そういう時にも爽やかな笑顔をつくるでしょ? それって俺には出来ないことだから、尊敬しますね。俺はね、笑いたくない時には笑えない」
――歌詞に“唇震わせ造りだす笑顔が悲しかった”ってあるけれど、だから、つくった笑顔を悲しいと思ってしまうんですか?
キリト:「そう。なんか、その笑顔には深いものがあるんじゃないかなと思う」
――ああ、笑顔の裏にあるものね。
キリト:「毎日、笑顔でいる人って俺はすごく尊敬するな。俺は不機嫌なときは不機嫌な顔をしてしまうし、無理して笑えないから。“毎日、笑顔で悩みがなさそうだね”って言われる人っているでしょ? そういう人ほど、俺はすげえ強いなと思う。絶対、そんなはずないから」
雑誌『Neo genesis Autumn,2005』インタヴュー記事より抜粋。 |
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